星は昴(すばる) 2014/12/27

凍てつく夜空に駆け上がった「おうし座」その背中で「すばる」やさしい光を放っている

しんしんと冷え込む真冬の夜、寒さも第一級だが星空も最高。思い切り首を曲げて天頂付近を見上げると、明るいく光輝く木星とともにおうし座が迎えてくれる。

木星の南にある赤っぽい星アルデバランはお牛の赤い目。その西には、ボーッとした光のかたまりが眼に入る。眼を凝らすと6〜7個の星がゴチャゴチャかたまっているのがわかる。これがプレアデス星団。

肉眼で6〜7個数えられ、双眼鏡では無数の星が集まっていることがわかる。

プレアデスの名は、ギリシャ神話に登場する巨人アトラスと妖精プレイオネの間に生まれた、プレアデス7人姉妹を指している。

しかし、この星の集団、よほど目立ったとみえ、世界中で様々な名前が付けられている。たとえば「乙女の群れ」「おばあさんたち」「踊り子たち」「ラクダの群れ」。また星がかたまっているところから、「群れ星」「寄り合い星」「鈴なり星」「ごちゃごちゃ星」「じゃんじゃら星」。6〜7個の星が数えられることから、「六つら星」「六地蔵」「七福神」「七変化星」などなど。

その中でも最も多くの人に知られている名前は「すばる(昴)」ではないだろうか。谷村新司さんや中島みゆきさんの歌に登場するし、乗用車の名前にも付けられている。日本がハワイに建設した望遠鏡の名でもある。

ところで、「すばる」って、外国語のように聞こえるが、れっきとした日本語。結ぶ、まとめるという意味合いの言葉「すまる」から名付けられたらしい。

清少納言は平安時代の女流作家。「枕草子」を綴った

この「すばる」の名が平安時代の女流作家清少納言が書いた随筆「枕草子」の中に登場している。それは、ものづくしのなかの「星は」の条。

星は昴(すばる) 彦星(ひこぼし) 太白星(ゆうづつ) よばい星少しをかし 尾だになからましかば まいて…

この文は、夜空に見える星の中で、清少納言が美しいと思ったものを並べたものだ。そのトップに「すばる」が輝いているのだ。

ちなみに、彦星は、七夕のひこぼし、太白星は宵の明星金星、よばい星は流れ星のこと。

すばるは、同じガス雲の中で生まれたまだ若い兄弟星。ガスが産着のように残っている

清少納言は、これらの星を本当に見たのか定かではない。一説によると,源順(みなもとのしたごう)が編纂した、平安時代の百科事典「和名抄」の「天の部」天文用語16項目から、語呂のいいものを選んで並べたのではないかとも。

だとしても明るく目立つ星や流星のような劇的な天体ではなく、あまり目立つことなくほのかな美しさを醸し出す「すばる」をトップに選んだ清少納言。女性らしい優しさ奥ゆかしさが感じられる。

澄んだ冬の夜空で、ぜひ「すばる」を見つけて、清少納言の「すばる」に対するやさしい思いに、浸ってみてはいかがだろう。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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