ドリップコーヒーの抽出技術 Part2 2015/1/2

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。今回は前々回の続きで、「ドリップコーヒーの淹れ方」を順に説明してまいります。

@ドリップの前提条件
好みの新鮮で良質な豆。美味しいコーヒーは良い素材なくしてはありえません!詳しくは、「素材に勝る味はなし」をご覧ください。

手挽きコーヒーミル

A良いコーヒーミル(グラインダー)の条件
抽出の直前にコーヒーを挽く事は、良いコーヒーの必須条件!体に優しい美味しいコーヒーは鮮度が一番!コーヒーの賞味期間は・・豆で約3週間から1か月。

しかし、粉にしてしまうと数時間で炭酸ガスや香りが抜けだします。炭酸ガスが抜けていたり、湿気を帯びたコーヒーは、抽出の時に膨らまず、灰汁がエキスと一緒に抽出されてしまい、雑味の多いエキスになります。

また、古くなって酸化したコーヒーには「過酸化脂質」(※注)なる物質が多く含まれるため健康を害するといわれています。

では、良いコーヒーの条件とは・・・、それぞれどれも欠かすことができませんが、その中でも一番大切な事は、「良いコーヒーミル」です。

良いコーヒーミルなくして、良い抽出もできませんし、体に良く美味しいコーヒーもできません。全ての始まりは素材の豆があってのことなのです。では、どんなミルが良いのでしょうか?

≪注≫
★「過酸化脂質とは?」
食用油を長く放置すると嫌なにおいがしたり、日の当たる場所においてあったインスタントラーメンを食べるとおなかをこわしたりするのは、その中の油が空気により酸化され、劣化しているからです。この油の酸化により、過酸化脂質が生成されます。酸化とは、相手の電子を奪うことで自分が安定しようとする働きで逆に、酸化させられた側は、もとの安定した状態が壊されるわけです。リンゴの皮をむいてちょっと置いておくと変色して黒ずんでしまうのは、空気中の酸素によって酸化されたからなんですね。

★「過酸化脂質による影響」
生体内の種々の老化現象に関与している他、ガン、炎症等の疾病にも関与しているといわれている。また加齢と共にしみのような老化色素が肌に沈着することがあるがこれはリポフスチンと呼ばれる過酸化脂質とタンパク質が結合した色素といわれています。

a.コーヒーミルの役割
コーヒーミル (coffee mill) は、焙煎されたコーヒー豆を粉砕するための器具で家庭用のものを指す名称です。業務用はグラインダーと呼ばれることが多い。

焙煎豆は豆のまま抽出しても、コーヒーエキスの抽出効率は低く、香味も乏しいので、ミルによって焙煎豆を細かく砕き、抽出効率を高め、また、抽出時間を短縮してコーヒーエキスを最大限引き出します。
b.良いコーヒーミルの条件
◎豆を挽くときに発生する「摩擦熱」は品質変化、劣化させますので、なるべく熱が出ないミル。
◎豆を挽くときに出る「微粉末(粉ではない)」が少ないミル。微粉末は雑味が出たり、くどいエキスになったり、抽出液が濁ったり、品質劣化が早くなったり、抽出時間オーバーになるなど、抽出や品質に影響を与えます。
◎粒子(メッシュ)がなるべく揃うミルが良い。粒子が不揃いだと、淹れるたびに味が違う。
◎粒子の調整が簡単にできるもの。
◎使いやすく負担のかからないもの(体力的、金銭的?など・・)。

カッティングミルの刃
臼式ミルの刃
プロペラ式ミルの刃

C.コーヒーミルの粉砕方法の種類      
イ)「臼式ミル」
のこぎり(凹凸)状の表面を備えた鋳鉄の固定歯(刃)と回転歯(刃)を備え、手動または電動で回転する。回転歯(刃)は円盤または円錐または円筒状をなす。 コーヒー豆は2つの歯(刃)の凹凸の間で回転を与えられながら圧縮・打撃・剪断されて細かくなる。

低回転しか与えられず放熱性に優れた鋳鉄製手動式の場合は問題とならないが、電動式では高速で回転するために粉砕された粉には高温が発生し、コーヒーを黒化変色させ脂質の加熱変化に起因するオフフレーバー(香り成分の逸失。味も香りも抜けてしまい、ただ苦味だけを感じる)が発生しやすい。

また歯(刃)の表面温度は瞬間的に鉄の融点を越えることがあり、鋳鉄製歯(刃)の場合、歯(刃)の寿命が長持ちしない。機種にもよるが、粒子度合いはそろいやすいが、濁りや雑味の原因になる微粉末が多く出る傾向にある。

ロ)「カッティングミル」
カッティングミルは、幾つもの刃が付いた2枚の円盤を向かい合わせて片方を回転させ、刃と刃の間で砕くことをその原理としている。円盤の間隔差により、粒子度合いの調整が可能である。

この方式のミルは一般的には業務用に用いられるが、最近では家庭用の小型電動式や手動式のものもある。相対的に熱発生が抑えられる構造である。粒子度合いはそろいにくいが、微粉末発生は少ない傾向にある。

磨耗により刃の部分に性能、品質劣化を引き起こす場合もあるので、刃の隙間の調整や刃の交換、清掃など、定期的なメンテナンスが必要である。また、小石等が混じる粗悪なコーヒー豆を挽くと、刃に致命的なダメージを被る場合があるので特に注意。

ハ)「ミキサーミル」
焙煎コーヒー豆粉砕に応用した機械。家庭用小型電動タイプのものに限られる。焙煎豆を入れるコンテナー内にプロペラをモーター駆動で高速回転させて豆を砕く。粒子度合いは通電回転させる時間により調整する。

スイッチを押している時間が長くなるほど細挽きになる。ただし秒単位で粗さが変わるので、挽くたびに味が違う傾向にある。粒子度合いが極めて不ぞろいになりやすく(挽きムラがなるべく起きないようミルを上下に振りながら挽くのが基本)、熱の発生も大きく、微粉が多いのが難点である。安定して同じ味のコ−ヒーにはなりにくいが、短時間で豆を挽くことができる。

「その他」大型工業用破砕機(ロールグラインダー)、リードミルなど特殊なミルが業務用として使われている。

電動式ミル

d.手動式と電動式
イ)「手動式コーヒーミル」
電動式に比べ、必ずしも手軽とはいい切れないが、装飾性や挽くことによる演出効果がある。また電動式と違い熱や静電気を発生させにくいという効果もある。価格帯は日本製の千円台〜ドイツやフランス製の数万円台のものまで様々である。

中には実用に使えず、装飾品に近いものがあるので注意。また機種により工作精度や機械的剛性、回転軸ズレ、ブレ等にひらきがあり、これらが劣っていると、耐久性がなく、粒子の大きさがそろいにくくなる。

量が多いとき、時間がないときは面倒であり、また、浅煎りの豆や古くなった堅い豆は挽きにくい。手動式ミルは主に家庭用に用いられるが、毎日使うには、時間と労力と気力が必要になる。手間を楽しむ方や香りをゆっくり楽しみたい方にはドイツ製のザッセンハウスやフランスのプジョー製の優れた刃のミルが良いでしょう。

ロ)「電動式コーヒーミル」
家庭用の小型のものから、業務用の中型、工業用の大型のものまで様々である。家庭用のものは手動式よりも手早く挽きやすく、また、粒子の粗さの調整が簡単に変えられて便利。

しかし小型のものは、内蔵モーターを効率よく冷却することを考慮していないものが多いため、200gなどの大量の豆を一度に挽くと熱が発生して香味に悪影響を与える(カリタ・ナイスカットミルのような低回転の機種は原則的にコーヒーのアロマを損ないません)。

結局、低価格で多量の豆を一気に挽く用途に向く機種は意外と少ない。その他では、コーヒーメーカーの付属についている、「ミキサーミル」などがある。

e.コーヒーミルの選び方
イ.「抽出器に合ったミルを選ぶ」
ドリップ抽出、サイフォン、パーコレーター、ブレス等は普通のミルで良いが、ターキッシュ用の微粉末挽くには乳鉢が、エスプレッソ用には高性能カッティング専用グラインダーが必要。

ロ.「好みのコーヒーに合ったミルを選ぶ」
雑味がなくコーヒー本来の特徴が出やすく、スッキリした味わいを好む人は「カッティング式ミル」、「微粉も味のうち」といいますが、ミルクに負けないような重い味のコーヒーを好む方には「臼式ミル」が良いでしょう。

ハ.「自分のライフスタイルに合った機能、大きさのミルを選ぶ」
一日に何杯淹れるのか?一回に何杯分淹れるのかによって、大きさ、機能など、それに見合うミルを選ぶ。しかし手動式のミルは大きくて重たいミルの方がハンドルが回しやすく安定しているといわれています。

ニ.「手動か電動」
ホ.「粗さの調整が簡単にできる」
へ.「耐久性と値段」
一般的には安価なものほど耐久性がないといわれています。

まずは自分に合った良いコーヒーミルを1台持ってみてください。格段にコーヒーの質が向上しますよ!

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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