ドリップコーヒーの抽出技術 Part3 2015/2/1

SCJAコーヒーマイスターテキストから「焙煎濃度」

いつもありがとうございます。ドリップ抽出は日本で飲まれているブラックコーヒーには欠かせない最良の抽出法ですね。

前回は新鮮で体に良いコーヒーを淹れるには、コーヒーミル(グラインダー)は欠かせないというお話をいたしましたね。話が前後してしまいましたが、今回からは「豆を選ぶ」ために最も大切な「焙煎」についてのお話をいたします。

◎「コーヒーの焙煎」 
焙煎とは?
「焙煎されたコーヒー豆。焙煎(ばいせん)とは食品を乾煎り(からいり)すること。ロースト(roast)ともいうが、英語では乾煎り以外にもっと広い意味で使われる。容器に食品を入れ、水分は加えず容器の外から高い温度に加熱する。水分を飛ばし、あるいは消化しやすい性質に変えたり、香ばしい風味を付ける為に行われる。コーヒー豆は専ら焙煎して用いられる。焙煎の程度によって、「浅煎り」(あさいり)、「中煎り」(ちゅういり)、「深煎り」(ふかいり)などという。」(ウィキぺディアより抜粋)

手網焙煎
カルモページより
フライパン焙煎〜Penelopeさんのページより

要は銀杏や大豆を炒るように、網や鉄板の焙煎機(もしくは焙煎器)にコーヒーの生豆を入れて、火にかけ、化学変化させて、豆を自分の好みの濃度まで炒めていく事。網(銀杏煎り器)で焙煎したものを直火焙煎と言い、鉄板(フライパンなど)で焙煎したものを輻射熱焙煎という。この2つは同じ焙煎濃度でも味が違います。

その他、自家焙煎珈琲屋やコーヒーロースター会社が一般的に使っている焙煎機には様々な焙煎方法がありますが、専門的になりますので今回は割愛させていただきます。

ただ、焙煎機が良ければ良い豆がローストできるとは限らないですし、炭で焙煎すれば美味しいコーヒーがローストできるとは限りません、ということは理解してください。

「当店は何々製の焙煎機で焙煎しました」、「備長炭で焙煎している」などと、さも、その機械で焙煎すれば、炭で焙煎すれば、とても美味しいコーヒーが出来上がるかのように宣伝している珈琲屋のいかに多いことか・・。

また、「焙煎職人」なる人がクローズップされて、「天才職人が焙煎したコーヒー豆」などを謳い文句にした珈琲屋もしかりです。

確かに欠点(排煙能力が悪いなど・・)のある焙煎機や火力が豆に対して適応していなければ良い豆は焙煎できませんし、焙煎には努力と経験と感とセンスが大切です。焙煎機や焙煎人で微妙に味が違いますがそれがすべてではありません。

嗜好品の飲み物であるコーヒーには絶対的に美味しいなんてものは存在しません。要はその人がどんな香味を好むかということです。

昔から三大嗜好品と言われている「酒」、「珈琲」、「タバコ」には、どれだけ多くの種類が存在するかを考えるだけでもお分かり頂けると思います。もちろん全てにおいて質が良くなければならないと私は思っていますが、実際、一般的に売られているコーヒーは古く酸化した商品が多く、それを多くの方々が購入、消費している現実を目のあたりにするとびっくりいたします。

コーヒーは麻薬のように常用性はありません。しかし、習慣性があり、酸化した味のコーヒーでも毎日飲み続けていると習慣化され、その味が「美味しい」となってしまうようです。缶コーヒーでも然りです。皆さんはいかがですか?味覚の判断!

「良いコーヒー」が「美味しいコーヒー」になるように、それを判断できる良い味覚を育てることがとても大切です。

缶コーヒーやインスタント(ソリュブル)コーヒーをどれだけ多く飲んでも良い味覚は育ちません。良質なコーヒーをたくさん経験することで良い味覚は育ちます。新鮮で良質なコーヒーをたくさん飲んでいろいろな香味を感じて記憶してください。

では、新鮮で良質な焙煎豆であればすべてというわけではありません。そこはスタートなのです。

長野県茅野市「井上製作所の優秀な焙煎機」

焙煎した煎り豆は食べるわけではありません。一杯のカップコーヒーとして楽しむのです。要はカップになったコーヒーがどんなコーヒーであるかということが問題ですね。

一杯のカップコーヒーになるまでに何十というプロセスがあります。

産地の気候、土地の肥沃さ、雨量、品種、手入れ、摘み取り、乾燥、脱穀、選別、保管、輸送方法、税関、保管、品質管理、焙煎、冷却、粉砕、鮮度、水、ポット、抽出器、抽出技術、カップ、その他・・・などなど。

細かく言えばもっと多くに分かれます。その中の一つでも悪ければすべて台無しになってしまいます。

コーヒーの生産国は「私の国のコーヒーが最高!」
コーヒー商社は「私の会社のコーヒーが最高!」
焙煎機メーカーは「当社の焙煎機は最高!」
自家焙煎店は「私の焙煎は最高!」
喫茶店の店主は「私の抽出は最高!」
その他、水が最高! ミルクが最高!…など、

さもそれさえ良ければ美味しいコーヒーが楽しめるがごとく主張しています。

よく見かける看板やノボリ

私は暇があれば全国の珈琲屋を訪ね歩いています。何十年も前に、とある喫茶店に入りました。

「当店は水にこだわりこの地を選び、素材にこだわり・・・・」云々など、店内にこれ見よがしにいろいろなことが張り付けてありました。

私は「スマトラ・マンデリン」を注文しました。運ばれてきたコーヒーの、それはそれは酸化臭満載の匂い(香りではない)、その匂いを嗅ぐだけでとても飲むことが出来ませんでした。

後にも先にも一口もつけられなかったコーヒーはこの時だけでした。こだわりも良いが、鮮度にも気をつかってほしいと心で思いました。

その他、経験で言うと、「美味しいコーヒーがあります」などの看板が出ている喫茶店や珈琲店で美味しいコーヒーに出会ったことがありません。先ほどから何度も書いているように、嗜好品の飲み物のコーヒーには沢山の美味しさがあります。

「美味しい」とは作り手が決めることではなく、飲み手が決めることですね。自ら「美味しい」などと言っている店は、自ら「美人」という名札を付けて歩いている人と同じですね。

美人ですか?

本当に良いコーヒーを提供している店は静かです。お客さんに多くの「概念」を抱かせるような演出はしていません。

自家焙煎店でも焙煎機を店先において、さも「当店は自家焙煎をしています!」と主張している店がありますし、「自家焙煎」を過剰に謳い文句にしている珈琲屋が沢山あります。

何も悪いと言っているわけではありません。

先ほどから申しているように、多くの要素の「自家焙煎」というのも一つの方法に過ぎないと申し上げたいのです。私の今までの経験で、いろいろを主張しすぎている店には良いコーヒーを作っている店は意外に少ないように思います。私の経験だけの「私論的」な話ですので誤解無きようにお願いいたします。

このようなことを踏まえ、次回から自分が美味しいと感じる一杯のコーヒーを、家庭で淹れるための焙煎豆選びから説明していきます。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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