「日本人」はお茶、「韓国人」は何飲んでる?(その3) 2015/2/27

前回記事
「日本人」はお茶、「韓国人」は何飲んでる?(その2)


皆さ〜ん!ちょっと聞いて聞いて。「朴」、先週生まれて初めて日本の「お茶会」に行ってきたんだよ〜♪

当日の早朝「お茶会の基本的な知識」に目を通し、着物を持ってなく、韓国の民族衣装で出向いたわけでもなく、胡坐をかいた足が隠せるようにフワッとした洋風のロングドレスではあるけど、派手ではないちょっぴりシックな服装で中村公園内にある豊国神社へ。

天気も良く、日本色漂う趣の落ち着いた雰囲気の公園がすっかり気に入った「朴」は上機嫌。でもでも、「〇〇先生」の茶道教室で20分程見学はさせて頂いたものの、礼儀作法がとても重んじられる「お茶会」と聞いてる上に、「理論」と「実践」は異なる場合があるので、≪ハプニング(happening)が起きたらどうしよう〜≫と超緊張。

お茶会の世話係の人に色々訊いたり、≪茶室に入る前には持参した白靴下に履き替え、後ろに続いている人に「お先に」の挨拶を静かに会釈で行い、履物は揃えて……云々≫との「お茶会の基本的な知識」を繰り返し唱えたりして、茶室の「正面」の引き戸の間近に立っていた。

いよいよ、引き戸が開き、先に茶室にいた一同が出てきたので、「朴」が予習(?)してきた作法通りに茶室へ入ろうとしたところ、

「あのう〜すいません〜、入口あちらですよ〜」

って。

≪ハ〜ア〜、入口と出口別なの???≫

真っ先に入室しようと思い、引き戸の間近に立ってたのにどうもこちらは出口らしい。戸惑って建物の「左側」の列の最後尾に並んだのだけど・・・

≪な〜んだ〜あれは???本当かよ〜???≫

茶室の正面の引き戸と側面の「躙り口(にじりぐち)」 出典:関心空間

この「大型犬専用」の「出入口」っぽい穴を、「躙り口(にじりぐち)」と称するらしい。

上品な着物姿でにじり口からくぐって茶室へ。 出典:耕日庵

≪茶室へ入るときは身をかがめてくぐって入る。「にじり口」は武士も商人も誰も身分の差なく、同じように頭を下げなければ入れない、茶室に入れば平等である≫

との意味が込められているとか?

なるほどね〜「茶室へは謙虚な気持ちで」とのことなのよね〜「茶道」の世界は奥深い!!!

誰だったっけ?≪欧米人は広場に集まり、日本人は茶室に集まる≫と、書いた人。これだけ狭い茶室に15名も!!!日本人は狭い所にいるとき、どうも一番落ち着くらしい。

小さな「にじり口」をくぐり抜けた「茶室」で、甘い「和菓子」&渋い「薄茶」を味わい、枯淡な「掛け軸」&素朴な「茶花」を眺め「和の趣」を楽しみ、「正座」の姿勢のお客様と、「胡坐」をかいた「朴」の触れ合いを通じて日本人の温かい心をいっぱい感じ、「お茶会」大好きになって帰ってきたんだよ〜♪

ソウルの「경복궁 景福宮」で「다례 タレ 茶礼(茶道)」体験のために設けられた一室の光景。出典:ART insight

現在、日本では若者の「日本茶」離れが進むと言われる中、「茶道」の良さを知ってもらう為のセレモニー(ceremony)的な「お茶会」があちこちで開かれているらしいですが、韓国の「高麗時代」が朝鮮半島における茶文化の「絶頂期」であったとしたら、「朝鮮時代(1392年〜1897年)」は茶文化の「衰退期」であったと言われています。

仏教において「お茶」とは、「甘露茶(天から降りる甘い露)」で「甘露茶」 = 「不死薬」の意味をもち、衆生の五欲「食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲」を洗い落とす象徴らしい。故に、「お茶」は「六法供養」の儀式を行う際、仏前に捧げる六つの大切な供養物「香、燈、花、果物、茶、米」の一つとされているみたいですよ〜。

又、仏前に毎日「清浄水」を捧げる際に用いられる現在の「供養具」が「茶具」と呼ばれていることから、「お茶」は単なる嗜好品ではなく、「心性(本来の清浄な心)」を取り直すための聖なる飲み物であったと解釈されています。

このように、朝鮮半島では宗教的な概念の強い「お茶」でしたので、「朴」が2、30年前に読んだ資料では、

≪高麗時代に盛んであった「お茶」が朝鮮時代に衰えていったのは「仏教」から「儒教」へと宗教の転換に因るもの≫

との見方が強かったような気がします。

でもでも、「朴」の発想、人と大概ずれるうえに「天の邪鬼(アマノジャク)」。

≪だって、キリスト教の信徒めちゃ少ない日本で12月24日・25日2日間、「クリスマスケーキ」&「(七面鳥ではなく)フライドチキン」の売上どれほどあると思って……全く……≫

と、尊重すべき相手の主張(宗教転換に因る説)を否定。

ところで、最近の研究は、

≪朝鮮時代に「茶文化」が衰えた原因は、経済的な要因が大きく作用している≫

との見方に変わってきているような感じ。

漠然と「朴」も≪そうではなかろうか……≫と推論はしていたものの、「天の邪鬼」である「朴」は≪いやいや、そんなはずない≫と、また反論のための反論がしたくなる癖が発動。(これに関する「朴」の異見は次回に………)

転じて、日本語では「色」という漢字を「イロ、ショク、シキ、クサ……」と読む如く、同じ字なのに読み方が「複数」ありますが、韓国語では例外を除いては「1字1音」が基本です。

「茶」の字は韓国語読みで「차 チャ」と「다 タ」2音。

「다 タ」と読む単語の例:「다례 タレ 茶禮(礼)」。
「차 チャ」と読む単語の例:「차례 チャレ 茶禮(礼)」。

◆「다례 タレ 茶禮」とは、説明が長くなるので簡単に言えば、「喫茶」のための礼儀作法を指す語。(「茶道」の意だよ〜)

◆「차례 チャレ 茶禮」とは、説明がもっと長くなるので超簡単に言えば「祖先を供養するための儀式」を指す語。(「法事」の意だよ〜)

韓国のある「宗家(本家)」の「法事」用のお供え食膳。出典:Creative Commons Korea

高麗時代には宮廷や寺院などの儀式で用いられていた「お茶」。朝鮮中期には一般庶民にまで広まり、庶民の「차례 チャレ 茶礼」にも「お茶」が供えられるようになり、「仏教」を重んじた社会であっても「儒教」を重んじた社会であっても「차례 チャレ 茶礼」を行う際には「お茶」が用いられていた模様。ところが、その後「茶文化」が衰えてしまった原因は、

≪朝鮮後期、「日本」による2回に亘る朝鮮侵略「壬辰倭乱 임진왜란 イムジンウェラン」(1592年〜1598年にかけての文禄慶長の役)、中国の「清」による朝鮮侵略「丙子胡乱 병자호란 ピョンジャホラン」(1636年12月〜1637年1月)などにより、国力が大きく消耗され、経済的にも極端に疲弊。

従って、「お茶」が珍品となり値段が急騰した結果、「차례 チャレ」を行う際「お茶」の代わりに「お酒」が用いられるようになった≫

との主張が発表されています。

ちなみに、現在韓国では「お酒」が供えられる、「お茶」抜きの祖先供養儀式であっても「차례 チャレ 茶礼」と称されているからね〜。(続く)

16世紀頃の「朝鮮・日本・明」の地図。 出典:「白地図・世界地図・日本地図」の無料HP
PR情報

記事一覧

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その4〜【中編】

前回記事韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その4〜【前編】 「朴家」難題山積み。で、昨年の12月27日から今年の1月4日まで「9日間」緊急一時帰国してい…

2019/5/14

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その4〜【前編】

前回記事韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その3〜 前回の「負け組女性」に求められた結婚の重要な条件に続き、今回からは「勝ち組女性」に求められた…

2019/4/6

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その3〜

前回記事韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その2〜 大昔、読んだエッセイにこんな一文があった。 「★ 牛の労働力は人間の10倍 ★」 軽い衝撃だったの…

2018/11/6

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その2〜

前回記事韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その1〜 高尚な「両班(ヤンバン)☆支配階級」の気高い「★ 美意識 ★」から話を変え、今回は「常民 ☆ 被支配…

2018/10/3

韓国って「内面」より「顔」が大事?!〜その1〜

「朴」は今から凡そ30年前である1988年に来日しましたが、来日後しばらく「朴の姉(次女)」の家に居候していました。そのとある日、姉の友人「Pさん(女)」…

2018/8/22

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い 〜その1+その2〜【結び編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【後編】 皆さん!目を閉じてみて下さい。それから考えてみて下さい。この地球には浜辺の砂の数ほ…

2018/6/13

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【後編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【中編】 2016年3月30日(木)から4月5日(火)まで「5泊6日」で一時帰国していました。ソウルでは…

2018/5/5

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【中編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【前編】 ある年の夏休みに、韓国で勤めていた頃の「ボス」の「秘書官」が「朴」に会いに名古屋ま…

2018/3/31

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その2〜【前編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【後編】 「朴」には、 ≪あの人、どうしてるかな〜≫ と、ずっと忘れられない人が「☆☆さん」以外に…

2018/2/24

不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【後編】

前回記事不思議なご縁の話、ある韓国人との出会い〜その1〜【中編】 「朴」は、1979年に韓国の「大統領」が「中央情報部部長」に「射殺」された「★10・26事件★…

2018/1/31

プロフィール

19

達人に質問をする

韓国語講師

韓国ソウル出身。韓国国会事務局退職後、1988年来日。大学で高等学校教諭1種免許(国語)取得。大学院で日本文化専攻。

名古屋市の官公庁などの翻訳・通訳人として活躍後、大学や名古屋市内の生涯学習センターなどで「コリア文化」に関する講座を担当。

現在は愛知大学、中京大学、中日文化センター、愛知大学オープンカレッジなどで韓国語講師をつとめる。

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(17:00発表)
名古屋
晴れ
13 ℃/4 ℃
東京
晴れ
12 ℃/4 ℃
大阪
曇りのち晴れ
13 ℃/6 ℃
  • 現在、渋滞情報はありません。
  • 登録路線が未設定です。

企画特集(PR)

  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集