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4月4日 またまた皆既月食 パート1 2015/3/13
今年イチオシの天文現象である皆既月食が、4月4日の宵空で起こる。月食といえば半年前の10月8日に起こったばかりだが、見た人も見られなかった人も、半年ごとに起こるわけや、今回の月食と前回の月食の違いは?そんなことを考えながら、4月4日に起こる皆既月食に思いを馳せよう。
●月食とは
月食とは、太陽に照らされた地球の後ろ側に伸びている影に月が入る現象だ。月食は、太陽−地球−月が一直線に並ぶとき、つまり満月のときにしか起こらない。
とくに皆既月食は、満月が徐々にかけてゆき、月が完全に影の中に入ってしまうドラマチックな現象。月が完全に地球の影に入ると太陽の光は全く月に当たらないことになるので、月の姿は見えないはずだが、実際は赤黒い月がぼんやりと見える。
これは、太陽の光が地球の大気を通過したときに、波長の長い赤い光だけが大気を通り抜け、内側に曲げられて、月をうっすら照らすためだ。
とはいっても、満月のたびに、月食が起こる訳ではない。満月のときはまばゆいほどのまん丸の月が夜空を照らしているし、もし満月のたびに月食になっていたら、ちっとも珍しい現象ではなくなってしまう。
ではなぜごくまれにしか月食は起こらないのか?その理由は、太陽を回る地球の軌道に対して、地球の周りを回る月の軌道が、約5°傾いた状態で軌道全体が18.6年で回転しているために、満月といっても、一直線に並んで地球の影に入るのはまれで、多くの場合、月は影に対して北か南にずれているからだ。
●月食は半年ごとに起こる?
月食といえば、昨年10月8日の皆既月食を思い出すが、あれから半年後の4月4日に再び月食が巡ってきた。ちょうど半年の間隔だ。実は2014年4月15日の皆既月食以降、10月8日、今回、9月28日(日本では見えない)と、このところ半年ペースで月食が起こっている。では、なぜ半年ごとに起こるのか。
月食は、満月のときにおこるが、月の軌道は地球の軌道に対して約5°傾いているために、太陽地球月が一直線に並ぶのは、地球の軌道と月の軌道の交点が太陽の方向に向いているときの満月だけ。ちなみにその交点は180°離れて2ヶ所ある。
一方の交点が満月ならば月食、そしてもう一方の交点は新月となり日食が起こるということになる。そして、地球が太陽に対して月食が起こった位置から公転して半年後、180°離れた反対側にやってきたとき、やはり地球の軌道と月の軌道の交点は太陽の方向を向いていることになるので、満月のときに再び月食となるわけだ。
しかしこの半年ペースは永遠に続くわけではない。月の軌道は地球の軌道に対して18.6年の周期で1周するために、少しずつ互いの軌道の交点がずれていってしまう。その結果、月食が起こる日付も少しずつずれていって、半年周期はそんなに長くは続かないということだ。
(つづく)
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プロフィール
天文研究家
1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。
天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。
最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。
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