【第5回】日本一の地元愛スーパー「ファミリーストアさとう」 2015/5/8

新緑まぶしい山々に囲まれたご当地スーパーで、あの話題のご当地食を入手することを目的にした旅はいかがでしょう? 今回は、私が日本で一番「ご当地愛がスゴい!」と感じている、岐阜県高山市のご当地スーパーをご紹介します。

【飛騨はご当地食の楽園】
岐阜県の北部、山深い飛騨地方の中心にある高山市は「飛騨高山」と呼ばれ、古い町並みや、春の高山祭りなど、雅やかな雰囲気で観光客を魅了していることは、ご存知の通り。今まで名古屋からの経路が普通でしたが、今年、北陸新幹線の東京〜金沢間が開通したことで、富山経由でのアプローチが可能になりました。

ですが、かつての高山は流通事情は悪く、近年まで「陸の孤島」と呼ばれたこともあるほど。ただ、その環境だったからこそ、高山は「食のガラパゴス」と言える奇跡のご当地食の楽園となったのです。つまり高山ではどのスーパーもご当地食の宝庫と言えます!

観光客で賑わう、飛騨高山の古い町並み

【崇高な信念で届ける、飛騨の味】
中でも強力なご当地愛を発信しているのが高山市内でのみ6店舗展開している「ファミリーストアさとう」※以下「さとう」。もしかしたら、TBSの「マツコの知らない世界」で知った方も多いかもしれません。そうです、あのマツコさんが「美味しい!」と絶賛した「あげづけ」をネットで買えるのは、メーカーの古川屋と「さとう」だけ。

そして「さとう」が他のご当地スーパーと違うのは、ネットスーパーで高山の日常食を日本中どこからでも注文できること。送料は有料にはなりますが、これは、じつは手間ばかりかかってあまり儲けになりません。それではなぜ、ネットスーパーを続けるのでしょうか?

佐藤社長によれば「飛騨の味を県外で生活する人に届けたい、その一心です」と。佐藤社長がまだ他県のスーパーで修行中だった若い頃、恋しい飛騨の味が手に入らなかった体験に基づきます。離れて気づく、ご当地食の素晴らしさ。

油揚げにお醤油味の染み込んだ、シンプルなれどマネのできない逸品。そのままでも、少し炙ってなお美味しい「あげづけ」/古川屋 ¥160
さとうのネットショップで見る飛騨の日常食は、ワンダーランド

【さとうの魅力は飛騨の惣菜】
もちろん、ネットスーパーだけがさとうの魅力ではありません。地元の日常食、飛騨の惣菜が豊富なんです。「さとう」の惣菜売り場には驚きがいっぱい。「地元の家庭の味をそのままに」という思いでつくる惣菜は、飛騨に昔から伝わる地元食が多いため、食べ方さえもわからないもの多数。

山に阻まれ限られた食材しか手に入らなかった歴史の中で、なんとか食卓を豊かに彩ろうと工夫してきた、地域の人たちの知恵も満載なのです。

初夏はフレッシュな朴葉が採れるこの時期だけのお楽しみがいっぱい。「朴葉寿司」(2個399円)は、鱒と茗荷竹が混ざった素朴な風味。

【ここはまさに飛騨の食のテーマパーク!】
流通事情が悪かった、という高山の歴史をお伝えしましたが、それはつまり「地域の中だけで製造販売せざるを得なかった」ということでもあります。だから、地元だけで人気の食品が数多く存在。なんとも個性的なご当地食の数々に、きっとあなたの目は釘付けになること間違いなし! 

お店も「ご当地色」を全面に押し出して、なんだかテーマパークのわくわく感でいっぱい。ここでのご当地食の掘り出し感は、もうレジャー感覚です。

レジャー感高まる、店先の地元屋台。さとう各店舗の店先に、必ずある「のりくら屋」での買い食いが楽しい。飛騨の名物「みだらし団子」や「五平餅」が焼き立て! もちろん持ち帰りもOK。
地元の定番!(左上から時計回りに)泥棒するほどご飯がすすむ、名産の赤かぶ漬物「めしどろぼ漬」/昔、茹でただけの「煮イカ」が刺身代わりでした/スに味が染み込む、こもとうふ(古川屋)/大豆に砂糖醤油の衣をつけて揚げた郷土菓子「豆つかげ」(大塚さん)/味噌の香ばしさがたまらない「朴葉みそ」(さとう食彩館)/「きり漬」が酸っぱくなったら飛騨名物の漬物ステーキに/滋味深い飛騨豆腐「枝豆とうふ」(宮春)
地元のソウルドリンクも! 雪の多い飛騨でなぜか南国の香り漂う「飛騨パイン」(飛騨酪農農業協同組合)。昭和40年ごろに発売らしいのですが、その経緯はメーカーにも不明とか。いわゆるフルーツ牛乳。
こんなお野菜、知ってます?「虹いろ菜」サラダに油炒め、お汁にと。

【あったかくって、おもしろい、宝の山】
さて、こんな愉快な飛騨の食テーマパーク的スーパーは、どうやって誕生したのでしょう?

昭和34年、佐藤祐介現社長の父、佐藤幸平氏が現在の食彩館の所在地そばに「さとう商店」を創業。昭和50年にスーパー「ファミリーストアさとう」となり、蕪のロゴマークが誕生。平成20年、地元の味を県外にと届けたいと、ネットショップ開設。現在は、高山市内に6店舗展開しています。

途中、安売り店が近所にできて、来客数が減ったこともあったそうですが、安さに走ることをしなかったのが、現在の魅力を作っていると考えられます。飛騨の味を作り続ける地元メーカーを守りたいと、地元商品を豊富に取り揃えていくうちに、また来客数が戻ったのです。

安さよりも、食べ慣れた地元の味を好む人々も多いということ。昔から、厳しい環境下でお互いに助け合って生きぬいてきた飛騨高山の人々の強さと温かさが、ご当地スーパーの中にも受け継がれているのかもしれません。毎日の買物が楽しくなる、そんな温かなお店です。

ん?魚屋さん? いいえ、さとうの会長です! さとう創業の地「食彩館」でバリバリ働いていらっしゃいます。

そうそう、温かな雰囲気を醸し出しているのは、会長手づくりの案内板かもしれません。入口の滑りやすい場所に、魚が入っていただろうトロ箱に「足元気をつけて!」なんて手書きされちゃあ、思わずホッコリ&ニッコリしてしまう。これが、さとうマジックです。

写真は桐生店

「ファミリーストアさとう」
岐阜県高山内に6店舗 
営業:9:30〜21:30 日曜9:00〜21:30
休み:1/1 ※ピュア店のみ「ピュア」の営業時間、定休日に準ずる

食彩館:岐阜県高山市片野町6丁目522 TEL(0577)35-3310
桐生店:岐阜県高山市桐生町2丁目271 TEL(0577)34-8877
国府店:岐阜県高山市国府町広瀬町諏訪前1548-1 TEL(0577)72-2237
石浦店:岐阜県高山市石浦町2丁目355-1 TEL(0577)34-8850
ピュア店:岐阜県高山市西之一色町3丁目1135 TEL(0577)35-7211
三福寺店:岐阜県高山市三福寺町359-1 TEL(0577)33-3322

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スーパーマーケット研究家
東京在住。2012年に出版した著書が話題となり、出演したテレビ番組で紹介した岐阜県高山市の隠れた日常食「あげづけ」が大ブレーク。現在は、テレビ出演や新聞・雑誌の連載、講演活動をこなしつつ、子育ての隙をみて、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。新刊「東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食」(ぴあMOOK中部)

著書/『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見〜つけた!』(講談社)

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