<第12話>相撲人気回復の秘密 2015/5/15

皆さん、お久しぶりです。
2年前の連載当時と今は、大相撲を取り巻く環境が大きく変わっています。
相撲人気がなぜここまで回復してきたのでしょうか。
今回の連載では、その秘密を私なりに分析してみようと思います。しばらくの期間、おつきあいください。

昨年の前半は遠藤フィーバーに沸きました。甘いマスクで、相撲っぷりも「雰囲気」があります。
そして、後半は逸ノ城が出てきました。
先日、逸ノ城と食事を一緒にする機会があったのですが、周囲がご飯をたくさん食べるよう勧めるのですが、彼は「いまダイエット中です」と断るんです。体重200キロを切りたいようで、細めのあの目は愛嬌があり、憎めないですよね。

今年になってからは照ノ富士が大活躍。彼はサービス精神があり、よくしゃべってくれます。

複数の若手が次々と出てきて、彼らはどことなく惹きつけるものがあります。

横綱、大関は全員28歳以上なので、世代交代が進むでしょう。
照ノ富士は先陣を切って大関になるのではないでしょうか。
名古屋場所でどんな成績を残すかによって、見えてきます。

逸ノ城はまだ入門して1年ちょっとですから。そんなに簡単に大関、横綱になるほど、この世界は甘くないです。時々出てしまう叩きは「やめます」と本人も言っていますが、封印して頑張ってくれれば、期待できます。

遠藤は相撲の筋がよく、「雰囲気」もありますから。大関にはなるでしょう。

そして、忘れてはならないのは、相撲協会の姿勢です。
数年前に不祥事に揺れ、大ピンチを経験してから、親方はじめ協会が新しい時代にどう対応していけばいいのか、行動に移しました。

両国国技館で人気だったイケメン力士の「お姫様抱っこ」=2014年

遠藤らイケメン力士による「お姫様抱っこ」や女性向けに「和装day」を設けたり、新企画を打ち出しました。その真ん中に貴乃花親方はじめ、現役時代に人気のあった親方たちが参加しているのです。

ファンサービス企画で記念写真に納まる貴乃花親方=両国国技館で

力士の握手会、国技館や愛知県体育館などで300円前後と格安にちゃんこを食べるコーナーも長い行列ができています。

かつての協会といえば、行動力に乏しいと見られがちでしたが、時代の流れに敏感に対応するようになりました。
以前なら腕をこまねいて「やめとけ、やめとけ」が多かったのですが、最近はいろんな提案に対して「やめとけ」から「やってみよう」の時代になっているのです。

チケットがインターネットやコンビニで簡単に買えるようになったのも大きいと思います。相撲が見たいけど、国技館まで遠いからチケットを買いにいけないというのが多かったのです。

白鵬はじめ、力士たちが危機意識を痛いほど感じて、立て直しに頑張ってきたこともけっして忘れてはいけません。
あの大危機に陥った理由はなんだったのかを常に頭の片隅において、考えなければならない。
人気が出てくると、つい忘れてしまうんですよ。

協会の経営努力とインターネットなどのメディアが多岐にわたり、時代にフィットしたのが大きいですね。

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プロフィール

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日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

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