介護保険負担増の8月到来! 老後の生活設計見直し必須! 2015/7/27

1年前に、今年の8月から介護保険の制度改正によって負担増になることを書きましたが、とうとうやってきます。介護保険制度維持のため、サービスに対する自己負担が引き上げられるのは、2000年度に介護保険制度が始まってから初めてなので、もう一度説明しておきましょう。

これは、高齢者であっても一定の所得以上あれば「応能負担」してね。というもので、介護保険の自己負担が1割から2割に負担増になるというものです。65歳以上の5人に1人が当てはまるといわれています。また、特別養護老人ホームの入居者への補助も厳しくなります。

8月から上がるのは、収入から控除を引いた本人の合計所得が160万円以上(金収入に換算すると280万円以上)の人です。1割負担の人も含めて、認定者全員に市区町村から負担割合証が今月末までに送られてきているはずです。ただし、160万円以上は原則2割負担ですが、負担能力を考慮した救済措置として1割負担のままにする場合もあります。

これは、年金収入とその他の合計所得が単身で280万円、2人以上で346万円未満の場合です。この場合は1割負担に戻すことになっています。この措置は、収入が給与収入、事業収入や不動産収入といった年金収入以外の収入の場合、実質的には280万円に満たないケースや、夫婦世帯の場合で、配偶者の年金が低く、世帯としての負担能力が低いケースがあることから考慮されるものです。

160万円というのは、被保険者の上位20%に該当することで区切られた金額で、346万円というのは、国民年金の平均額5.5万円の12カ月分の66万円に280万円を加えた金額です。保険料を滞納した場合の給付制限は現行と同じ3割です。

では、負担額の上限を定めた「高額介護サービス費」の仕組みはどうなるのでしょうか。これまでは上限を超えた分は払い戻すことになっていました。8月からも上限額を超える金額は払い戻されますが、自己負担が2割の場合は、実質的な自己負担は改正前よりも増える場合がありそうです。

「高額介護サービス費」の負担上限額も所得の高い人は上がります。現在の「一般」の区分が「現役並み所得相当」と「一般」の二つに分かれます。「現役並み所得」とは、一人のみは383万円、夫婦世帯で520万円以上の収入がある場合を指し、月額自己負担額は44000円に上がります。「一般」は37200円です。

これは前年の収入によって判断されるので、自分で申請しなければなりません。そうでなければ自動的に「現役並み所得相当」になってしまいます! もし該当すれば、申請があった月の翌月初日から上限は37200円になります。

施設利用者への補助も対象が絞られます。これまでは補助を受けるために住民票を特養に移して世帯を分離することで住民税が非課税となり、補助の対象になっていた人もいました。

しかし8月からは、世帯が別でも在宅の配偶者が住民税の課税対象者なら補助は受けられません。預貯金等についても単身者が1000万円以下、夫婦の場合は2000万円以下であることが補助を受ける要件に追加され、通帳の写しが必要になることは以前紹介しましたね。

介護保険制度ができてから17年。65歳以上の介護保険料は全国平均で月額5514円と、初めて5千円を超えました。また年金は以前も紹介したように、物価が上昇しても支給水準を抑える仕組みに4月から変わったことで、実質的に目減りしています。

今後、老後の負担はますます増えそうです。高齢者は貯蓄額が最も高いので、運用や詐欺等、様々な誘惑に狙われがちですが、情報不足での運用は危険です。詐欺の甘い言葉で老後のために貯めた大事なお金を一瞬で失ってはいけません。

子どもだろうが孫だろうが、いくら困っていても老後のためのお金を安易に差し出す必要はありません。これからまだまだ負担増がありそうなので、定年前の5〜10年に、もう一度落ち着いて生活設計を見直しましょう。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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