リニア・鉄道館に行こう(28) 鋼製電車クモハ12形 2015/8/8

初の鋼製電車が元となるクモハ12形

戦前の国鉄(当時は鉄道省)車両は、黒色か茶褐色、台車が黒色塗装が基本でした。電車も例外ではなく、関東や関西で活躍した近郊形のいわゆる「国電(省電)」も、茶褐色塗装でした。当時は蒸気機関車が主力で、その煙で汚れるための対応だったと思われます。カラフルな車両が多くなった昨今の鉄道車両とは、ずいぶん違いますよね。

その茶褐色の電車も、当初は木製車体が多かったのですが、車両の大型化、高速・高加減速化による車体強度の増大、類焼の苦い経験などから、鋼製化が進みます。初の鋼製電車は、モハ30形として昭和元(1926)年に登場します。当時は73200形でしたが、昭和3(1928)年に車輌称号規定が変わり、モハ30形となっています。

リニア・鉄道館で見られるクモハ12041は、デハ73331として昭和2年に誕生、翌年モハ30131となります。さらに、昭和28(1953)年に再度行われた車両称号規定の改正によってモハ11047となりました。

のちに京浜東北線となる京浜線で主に活躍していましたが、昭和39(1964)年に後進に道を譲り、事業用車クモヤ22112となって、浜松工場の入換作業で活躍していました。

リベット打ちが見られる車体

昭和62(1987)年に旅客用に再改造され、クモハ12041となって飯田線を中心に走るようになると、貸切列車としても注目を集めました、しかし、平成14(2002)年に廃車となりました。実に新製から75年も走り続けた電車です。

それだけに、時代を感じさせるところが各所に見られます。その最たるものは車体外観に多く見られるリベットでしょう。上の写真の、車番の左右や下にみられる鋲(びょう)がそのリベットで、鋼製の外板を車体の骨組みに固定する役割を果たしています。

車体長は17mで、その後、国電をはじめ国鉄電車の主流となる20m車に比べて短いものの、出入口は前後に加えて中間にもある3扉となっています。通勤通学輸送を想定した扉配置です。

屋根はもともと、モニタールーフと呼ばれる採光や通風のための屋根が乗っている二重屋根(ダブルルーフ)でした。ところが、モハ30形に続いて登場したモハ31形から、その後の主流となる丸屋根になったため、クモハ12041も改造で丸屋根に変更されています。ちなみに、モニタールーフは木製車両時代の名残といえるものでした。

車内は壁・床に木が使われている。

鋼製車体を特徴とするクモハ12041ですが、車内は内張りと床に木が使われていて、木製車の時代を思い起こさせます。窓は下段上昇の2枚窓です。これも、一枚窓を経て、開閉ができない窓が主流となった今日では、時代を感じさせるものでしょう。

網棚には網が張られ、天井には扇風機が取り付けられています。つり革が連なる外側の天井には配管が見えますし、床には主電動機の点検蓋もあります。これらも、最近の車両では見られないものですから、リニア・鉄道館へ行ったら、ぜひ現物をみて、昭和時代の車両を実感していただきたいところです。

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詳しくは、リニア・鉄道館のホームページをご覧下さい。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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