「バイアスピリン」を飲んだら「納豆」を食べちゃダメって本当? 2015/10/10

★薬の種類と食べてはいけない食品


今回は、血を固まりにくくする薬納豆についてお話しします。

心臓に酸素と栄養を送っている冠血管の中で血液の塊、血栓が生成されると心筋梗塞となります。頭の血管では脳梗塞となります。ワルファリンカリウム【商品名:ワーファリン】は、心筋梗塞や脳梗塞の再発を予防する目的あるいは心房細動など、血栓ができないようにする目的の治療で使用されています。

★なぜ「ワーファリン」と「納豆」はNGなのか?

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血液の中には、出血した時に血を固まらせる物質、血液凝固因子がいくつかあります。そのなかで、ビタミンKを必要とする凝固因子が存在します。ワルファリンカリウムはこのビタミンKを阻害するので、血液凝固因子の生成が抑制されて血液が固まりにくくなります。薬剤師は「ワーファリンは血を固まりにくくする薬です。」と患者様に服薬指導します(いわゆる、血液をサラサラにする薬)。

さらに、「ビタミンKを多く含む食品、納豆や青汁などを飲食しますと、ワーファリンの効果が弱くなりますので、飲食しないようにしてください。」と注意を促しています。

★「バイアスピリン」「パナルジン」「ブラピックス」はどう?

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一方、「血液をサラサラにする薬」には、ワルファリンカリウム以外にも多くの薬があります。たとえば、アスピリン【商品名:バイアスピリン、バファリン81mg】、チクロピジン【商品名:パナルジン】、クロピドグレル【商品名:ブラピックス】などがあります。

これらの薬は、抗血症板薬に分類されており、血液中の血小板の働きを抑えて「かさぶた」が生成しないようにします。ワルファリンカリウムのように、ビタミンKを阻害する働きはありませんので、ビタミンKを含む食品や医薬品について気をつける心配がありません。

★2年間緑黄色野菜を食べなかったGさん

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私が病院薬剤師をしている時、入院していたGさんの奥様とお話しした際、Gさんは心筋梗塞後の再発予防にパナルジンを服用されており、「血液をサラサラにする薬」は「納豆、青汁などの緑黄色野菜は食べてはいけない」と思い込み、この2年間、緑黄色野菜を食べていませんでしたと伺いました。

詳しく尋ねると、今回入院する前の病院に受診している時、待合室で、心筋梗塞の患者さんから、「血液をサラサラにする薬」は、「納豆、青汁などの緑黄色野菜は食べてはいけない」と情報を得たようです。

患者さんにとって、効き目が「血液をサラサラにする薬」であれば、作用の全く異なる薬であっても(ワルファリンカリウムやパナルジンなど)、飲み合わせなどの注意事項も同じだと思ってしまうようですね。

緑黄色野菜にはビタミンKが含まれていますが、通常量の緑黄色野菜はワルファリンカリウムと一緒に食べても大丈夫です。

★まとめ

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寺町ひとみ 岐阜薬科大学 実践薬学大講座 病院薬学研究室教授

金沢大学薬学部卒業後、25年間、病院薬剤師として勤務しておりました。その間に金沢大学大学院博士後期課程(社会人)を修了(博士(薬学))しました。

薬学教育6年の導入に伴い、2005年に岐阜薬科大学に着任し、病院薬剤師の経験を生かして、6年制カリキュラムの構築に関わってきました。2013年10月から教授として、病院薬学研究室をまとめています。また、2014年4月から附属薬局薬局長も兼任しております。

研究室では、病院および保険薬局における実務経験を有する教員により、医療現場に真に貢献できる問題解決能力のある臨床薬剤師の育成、そして臨床現場での薬剤師実務を基盤とした教育研究と臨床研究を実施しています。

そのひとつとしては、セルフメディケーション推進を目的として、中学校保健体育科の授業プログラムをはじめとした、児童生徒、保護者、地域住民を対象とした包括的くすり教育プログラムの構築に関する研究を進めています。今回は、薬の正しい使い方にスポットをあててお話しいたします。

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