リニア・鉄道館に行こう(30)スニ30形:鋼製荷物客車 2015/11/14

収蔵車両エリアに並ぶ展示車両の一番右側が、スニ30形

リニア・鉄道館は、1階に実物車両を展示しています。その展示フロアの一番奥にあるのが、収蔵車両エリアと呼ばれる13両もの車両がずらりと並んでいる場所です。

入館後、世界最速記録をもつ車両が並ぶシンボル展示エリア、続く車両展示エリアと見て圧倒されていた気持ちが、この車両の並びを見てさらに高揚します。

その収蔵車両エリアの向かって一番右端にあるのが、今回紹介するスニ30形です。上の写真をクリックして拡大すると、車端部の妻面に縦横に並んだ点々をご覧いただけます。これはリベットといって、鋼板を車体を形作る構造物に打ち付けたときにできるものです。つまり、この車両が鋼製車両であることを示しています。

当車は、昭和4(1929)年にスニ36660として誕生しました。それまでは木造車だったのが、高速化に対応する車体強度とするために鋼製で設計されたオハ31系客車グループの一員です。設計段階でメートル法を全面的に採用した、初めてのグループでもあります。

その全長は17mとやや短く、同年から製造が始まったスハ32系客車から、全長の基本が20mとなりました。

車両展示エリアに面した部分は、車掌室

スニ30形は、“ニ”とあるように荷物用客車です。

もともとは旅客の荷物を預かるために連結していた車両で、いまでも海外の豪華列車では客車編成の端に連結されているケースがあります。ただし、日本の場合は、乗客の荷物(手荷物)とともに、小荷物と呼ばれる小口輸送に荷物車が使用されていました。この手荷物と小荷物をあわせて手小荷物と呼び、チッキとも呼ばれていました。

スニ30形は、このような荷物専用の客車ですが、一端に車掌室が付いていました。荷物の管理や、到着駅での荷物の授受をするための車掌さんが乗務する場所です。

リニア・鉄道館に展示してあるスニ30形は、車両展示エリア側にこの車掌室があります。内部を見られるように貫通扉が開けてありますので、ガラス柵越しになりますが、ぜひご覧下さい。

ちなみに、上の写真に写っている扉の間にある丸いハンドルは、手ブレーキです。客車だけを留置しておくときや、万一、走行中に機関車の連結器が外れた時に、客車側を停止させるために取り付けられた、手動のブレーキです。

荷物室内は床から天井まで木製

さて、スニ30形の本来の役割である荷物室ですが、上の写真のようになっています。
ここは通常非公開、特別に撮影させてもらったものです。

先に鋼製車体と記しましたが、内部はこのように床から天井まですべて木製です。このような車両を半鋼製車両と呼んでいます。

荷物を置くのに、傷が付きにくい木製内装は好ましいですが、当時はそのような目的ではなく、単に木製品の方が鋼製品より安かったための仕様でした。いまの時代は逆ですので、耐燃性の意味もあって鋼製が基本となっています。

ただし、雪国などでは、冬季に車内で滑って転ぶことがないよう、敢えて床だけ木製にしている例はありました。また、近年は技術の発達で木製品を難燃性に加工することができるようになりましたので、豪華観光列車では内装に木製品を使用する車両も多く登場しています。

このあたりも、展示されているスニ30形を見る際には、注意してご覧下さいね。

なお、非公開車両でも、随時開催されている特別公開時に順次公開されています。リニア・鉄道館の公式サイトで、イベント情報をときどきチェックすることをお勧めします。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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