岐阜県ゆかりの車両も、いま福井県で活躍中 2015/12/5

前回、愛知県ゆかりの車両が、福井県のえちぜん鉄道で活躍していることを記しました。

続いて、今回は岐阜県ゆかりの車両です。同じく福井県の福井鉄道で3形式が活躍しています。こちらも、えちぜん鉄道と同じく、主力車となっています。いずれも名鉄(名古屋鉄道)に2005年まであった、岐阜市内とその郊外に延びていた直流600V線を走っていた車両たちです。

もと名鉄美濃町線用のモ800形

上の電車は、岐阜市内線から続く名鉄美濃町線用として、2000年に新製されたモ800形です。美濃町線は、岐阜から刃物のまち関を経て、和紙のまち美濃までをつないでいた路線で、ユニークな線形が鉄道ファンにも有名でした。

この電車が新製されたのは2000年です。その前年となる1999年に、美濃町線のうち新関〜美濃間が廃止されています。そのとき、代わって新関〜関間に新線を建設し、長良川鉄道と接続しました。

そんな、次の時代の美濃町線に合った車両をと開発されたのがモ800形で、3両造られました。ところが、2005年に岐阜市内線、美濃町線、揖斐・谷汲線という新岐阜(現・名鉄岐阜)駅から岐阜の中心部を経て郊外へと通じていた路線が一気に廃止となってしまいました。

一方、モ800形を新製した翌年に、福井鉄道の福井市中心部を走る路線と、そこから分岐して駅前近くまで行く通称「ヒゲ線」の活用方法を探るための社会実験が行われました。その際、新世代の路面電車はこんな車両だと示すため、名鉄からモ800形を借りてデモ運転が行われました。

このデモ運転で、斬新なデザインと乗降し易い低床車体は好評だったため、美濃町線が廃止されるや、モ800形のモ802とモ803の2両が福井鉄道にやってきました。それから10年、いまでは福井に来てからの方が岐阜当時よりも長い活躍期間となっています。なお、モ801は豊橋鉄道に譲渡されています。

もと名鉄揖斐・谷汲線用モ770形

前述した、2005年に廃止された揖斐・谷汲線には、1987年から翌1988年にかけて造られた2車体の電車モ770形が走っていました。

ここで「2車体」と記したのは、「2両」ではないからです。この電車には、車輪のついている台車が3つあります。ふつうは1両に前後2つの台車がついていますので、数が合いませんよね? それもそのはず、真ん中の台車には、半分が一方の車体を、残り半分がもう一方の車体を載せているのです。

このように、前後の車体がひとつの台車を共用する方式を、連接車と呼んでいます。この方式だと、急カーブを曲がるときでも、台車の外側に車体がないため、オーバーハングを少なくできます。

つまり、急カーブに有利です。また、乗り心地の悪い台車の外側がないため、乗り心地も改善できるメリットがあります。一方、工場に入った際に、1両ずつに分離しづらいため、検査に手間がかかるデメリットもあります。

福井鉄道では、歴史的に連接車が活躍してきているので、導入にあたっての問題はなかったことでしょう。

モ770形は8車体4両が造られ、その全車が福井鉄道でいまも活躍しています。なお、車体番号は770-771というように、前後の車体で連番となっています。ですから、写真の777の後ろに写っている車体は776です。

もと名鉄美濃町線用のモ880形

上の写真は、前述のモ770形とそっくりですが、モ880形という別形式です。この車両は、冒頭で紹介したモ800形とともに、名鉄美濃町線で活躍していました。1980年に新製されていますので、この車両が今回紹介する3形式のなかで、もっとも年季の入った車両となります。

モ770形は岐阜市内線の急曲線対応として、

車体幅2,106mm、車体長20,200mm

ですが、モ880形は少し大きくて

車体幅2,236mm、車体長24,200mm

となっています。乗車すると、両車体の大きさの違いが感じられます。

当初非冷房で登場したものの、時代の要請で、名鉄時代に冷房化改造を受けています。一方、名鉄では美濃町線の直流600Vから各務原線1500Vに乗り入れるために、600Vと1500Vの両電圧に対応した車両でした。

このような経緯から、福井鉄道入線に際しての改造には時間がかかり、3形式のなかで一番最後に入線しています。なお、10車体5両が造られましたが、その全車が今も福井鉄道で活躍しています。

以上のとおり、岐阜県出身の福井鉄道の車両は3形式11編成あります。

福井鉄道が通常運転に使用する電車は、このほかに5編成だけです。岐阜県出身車が主力ということが感じられますよね。福井へ行ったら、えちぜん鉄道とともに福井鉄道にも乗ってみて下さい。

PR情報

記事一覧

近鉄名古屋線拡幅まえの痕跡 廃線跡探訪(8)

近鉄名古屋線は、名鉄やJR在来線と同じ1067mm軌間(レールとレールの間隔=ゲージ)で開通しました。そのため、大阪へ行くには伊勢中川駅で乗換が必要でした。…

2019/9/12

愛知県最初の駅は武豊にできた 廃線跡探訪(7)

前回の廃線跡探訪(6)では、JR武豊線武豊駅から延びていた日本油脂専用線の廃線跡を紹介しました。 この武豊駅からは、もう一本の廃線跡もあります。 こちらが武…

2019/9/5

『鉄道講座』第2期を10月から栄中日文化センターで開講します

■講師は引き続き筆者が担当 今年4月から、栄中日文化センターではじまった講座『乗る・見る・訪ねる…知って得する「東海地方の鉄道」』は、お陰様で会期中に定…

2019/8/29

ホテルでSLを見て、バスで飛行機を見に行く旅はいかが?

暑かった夏もそろそろ終わりを迎え、行楽シーズンの秋に向かおうとしています。どこかに行こうと計画している乗り物好きな方、蒸気機関車に乗り、走りを眺め、…

2019/8/22

中京テレビが“乗り鉄”ブログを電子書籍で発刊

上の写真は、標高4000メートルを越えるペルーの峠駅に停車している豪華観光列車「アンデアン・エクスプローラー号」です。南米・ペルーを代表する観光地である…

2019/8/15

青春18きっぷで“トク”するバスと鉄道

青春18きっぷのシーズン真っ盛りですね。 すでに使い始めて、次はどこへ行こうか…と考えている方も多いと思います。そんな“18キッパー”に朗報です。 青春18き…

2019/8/8

尾小屋鉄道開業100周年でキハ3が里に降りた!

尾小屋(おごや)鉄道を知ってますか? 石川県の小松から尾小屋まで16.8キロを結んでいた、狭軌鉄道です。 レールとレールの間隔(軌間)は762mmと、JR在来線…

2019/8/1

「特急」「新幹線」の言葉の語源は?:鉄道“超”基礎知識(18)

■なんでも「電車」と呼ぶ習慣 当たり前のように使っている言葉に、意外な意味があることがあります。 たとえば「電車」。かつては都市部でしか使われなかった…

2019/7/25

大井川鐵道「きかんしゃトーマス」に新たな仲間

大井川鐵道で2014年からほんものの蒸気機関車による「きかんしゃトーマス」が走っていることはよく知られていますが、今年も去る6月22日から走りはじめました。…

2019/7/18

武豊にあった本格派・日本油脂専用線 廃線跡探訪(6)

JR武豊駅と名鉄知多武豊駅から西北へ約1キロのところに、上の写真の電車があります。武豊町立長尾児童館にある、児童が遊ぶ施設です。しっかりとした電車です…

2019/7/11

プロフィール

19

達人に質問をする

(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

関連リンク

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(05:00発表)
名古屋
曇り
29 ℃/--
東京
曇りのち雨
24 ℃/--
大阪
曇りのち晴れ
29 ℃/--
  • 東名で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集