「お墓」から韓国社会が見える!!(その7) 2015/12/7

半袖でいると火ぶくれの低温火傷を起こす「熱帯暑熱砂地」の葬儀法と屋外で小便をすると直ぐに凍ってしまう「極寒冷地」の葬儀法は違っていて当然。「移動型」生業を営む「牧畜文化圏」の人々の葬儀法と「定住型」生業を営む「農耕文化圏」の人々の葬儀法は違っていて自然。復活を信じる「キリスト教」の元とされる「ユダヤ教」教徒と輪廻を信じる「仏教」教徒のそれは違って可笑しくない。

「火葬」は古代、インドからイランや中央アジアの草原地帯へ広がった遊牧生活を営んでいた「ア−リア人(Aryan)」の遺風らしい。「移動型」生業を営む人々にとって遺体は重荷になる。高温多湿な地域では遺体の腐敗の進行が速く病気の原になり易い。「持ち運べる形にするか置き去りにするか」そんな迷いから「仏教」の発生地「インド」では遺体に価値を見出さず、≪死者の霊は煙と共に天に昇る≫と意識させ、「火葬」が定着したのかな?!

「土葬」は、夏は日差しが強く乾燥するけど、冬は温暖で一定の雨があり、川の氾濫により、農耕に適した肥沃な土壌が得られ、移動の必要性のないナイル川流域の古代「エジプト人」の遺風らしい(明らかにされてはないけどね)。「死者の復活」を信じ、遺体を人為的に乾燥させ、でっかいピラミッドに安置する、この思想を受け継いで「火葬」をタブーとする「ユダヤ教」がスタートしたのはこの辺りね?!

〜話、いきなり古代から現代へタイムスリップ〜

「スウェーデン」の殆どの地域は寒さ厳しい冬が長く、夏も全般的に冷涼としてる。森林面積は「EU(European Union)☆欧州連合)」最大で国土の60%以上を占め、湖沼も多い。森林面積は広いけど、樹木の成長率は低く、農地面積が狭いスウェ−デン。「生者」の為の農耕地面積を増やすには「死者」の居住空間(墓地)を割愛してもらうしかない。

遺体を−18度で急速冷凍し、機械で振動させ、土に近い成分の粉状にして、花・木などの根元に肥しとして埋める「氷葬 ☆ プロメッション(Promession)」又は、「冷凍葬法 ☆ フリーズドライ葬(freeze dry burial)」と呼ばれる「スウェーデン」発の葬儀法は、狭く、寒く、木の成長の遅い「スウェーデン」の自然環境にぴったりね!!

スウェーデンの「プロメーション(氷葬)」関連の樹林墓地。写真:「이남우(イナム)」教授。

〜話、いきなり北ヨーロッパから朝鮮半島へ瞬間移動〜

朝鮮半島における「火葬」は「三国(高句麗・百済・新羅)時代 ☆(372年〜676年)」に「仏教」の伝来と共に取り入れられ、僧侶、貴族、王を中心として「火葬」が行われ、「高麗時代(918年〜1392年)」には仏教思想の深化により火葬が根を下ろし、貴い身分でない限り「土葬」はあまりされなかったようでこの時代の墓はめったに残っていないらしい。

韓国、慶州で出土された7世紀頃(新羅時代)の「遺骨壷」は優れた芸術品とされる。遺体を焼却後、遺骨を遺骨壷に収め石室に埋蔵したと推定される。 出典:「文化遺産チャンネル」

朝鮮半島の人々「韓民族」が火葬を賤しみ、土葬を好むようになったのは「儒教」の影響。「朝鮮時代(1392年〜1910年)☆ 大韓帝国を含む」には中国からの「性理學(儒教)」を受容し、「崇儒抑仏」政策を強化する目的の一つとして、国の統治の規範となる法典『經國大典(経国大典)』に≪両親の遺体を火葬にする者は重罰に処する≫との条令を定め、身分による墓の大きさや形を規定するなど「土葬制」を強力実行し、約500年間続きました。

亜寒帯(冷帯)気候に分類される朝鮮半島の約70%は山地。「韓民族」はこのような風土の有利を活かし、冬の冷たい北風を防ぐ為に北には屏風を広げたように山を置き、その山の麓に祖先の墓を建て、山の表には父系血縁集団によって構成される同族部落を作り、農業を中心とする「定住型」生業を営んでいました。

祖先代々の墓がある山「先山」は、子孫が汚さずして守るべき「聖地」。土饅頭のように見える「墓」は子孫の安寧を保証する崇めるべき「守護神」の宿り場。「DNA」を同じくする「死者」と「生者」は山を軸とし共存し、子孫は雨で土砂崩れしないように墓に真っ青な芝を植え、維持・管理に努めながら祭事を行い「同氣感應」(今風の表現でテレパシー(Telepathy) で通じ合う意かな?)を祈る。

「先山を有すること」=「土地の私有化」=「支配階級」。「儒教(儒学)」は「治者(支配階級)」の為の「学」で、核となる思想は「祖先崇拝」&「孝」。「両班(양반)ヤンバン ☆ 支配階級」にとって「先山」に立派な墓を建てる事は家門の名誉であり、その管理に努めることは「孝行」。一方、草取りもせず放置してある墓は、後継ぎが途絶えた家や家門の没落の証しであり「不孝」。

よって、日本による朝鮮統治時代(1910年〜1945年)、「科挙制度」が廃止され、身分制(「両班」・「中人」・「常民(平民)」・「賤民」)が崩れ、商売などを通じて富を蓄積した「新興富裕層」は、「両班階級」の貴族的な葬儀文化への憧れから、没落した「両班」の山を買い取り、でっかい墓を造り、墓の管理に大金をかけていました。

慶尚北道、青松にある「青松・沈(심)シム氏」の斎室。「勝ち組み」は先山の下に「斎室」を建て、主に墓の維持・管理・祭事などのために使用する。出典:「私が書く旅行記」

朝鮮半島至る処にある山に散在していた「墓」は、日本の「朝鮮半島植民地化政策」において、大きな障害となったみたい。1912年に「朝鮮総督府(朝鮮を統治するために設置された官庁)」は、植民地状況に合う朝鮮半島の土地利用(林業・鉱山開発・軍事基地設置・鉄道建設などの開発事業)及び、「風水思想」を迷信と見なす伝統葬儀文化の抹殺政策をもって、約500年間守られてきた火葬禁止令を廃止して「墓地・火葬場・埋葬及び、火葬取り締まり規則」を発表。プライベートの墓地を不許し、「公設の共同墓地」&「火葬制」を義務化しました。

朝鮮時代にも管理者のいない誰でも葬られることのできる「共同墓地」みたいな森林があり、朝鮮総督府はそのような森林を中心に共同墓地を設置し、僧侶でもない一般人の墓が急速にそちらへ集中するようになり、火葬がある程度普及したようですが、そこは「明堂(吉地)」何かは「高峰の花」と思ってる「負け組」の墓場。

急死した親の遺体を「仮墓」に葬り、陰宅(墓)用の「明堂(吉地)」を3年も探し求めるケースがあるほど「風水&土葬」に拘る「勝ち組」の反発や抵抗は強く、違法であることを承知で「先山」に「土葬」する例が後を絶たなかったことから「朝鮮総督府」は墓地規則を改訂し、一部のプライベート墓地を認めることになってたようです。

日本による朝鮮統治時代「36年間」では「火葬」は主流を成すことができず、独立後、中国からの「儒教」の影響による「土葬」にアメリカからの「キリスト教」の影響による「土葬」が加えられ、再び「土葬」が大勢を占めるようになりました。

芝を植えた伝統的な「わらぶき型」の墓が集中してる韓国の「共同墓地」 出典:済州島インターネット情報

独立後、韓国政府は1961年に「葬墓及び墓地などに関する法律」を制定。1960年代〜1970年代に近代化、産業化、都市化政策の実施により、人口がソウルに集中。ソウル市内の「死者の為の空間(墓)」は「支障物」となり、ソウル市内の外郭へ移葬(改葬)。

ソウルには空き地が殆どなく、地価が急騰し、負け組が自宅を手に入れるのは「高峰の花」。そんな訳で、首都人口や重要都市の人口分散政策による衛星都市・中小都市建設の加速化の一結果的に平地が少なくなり、産業に適した土地は限られてしまいます。

よって、墓地として利用されてる生産的な土地を確保するため、1993年には「先山」をベース(base)とする「土葬」から「火葬&共同墓地」を中心とする葬儀法へと、葬儀文化の改革を目的とし、「葬墓及び墓地などに関する法律」を改訂しようとしました。しかしながら、「儒林(儒学を信棒し従う人々)」や国民の反発により見送られ、1999年にようやく改訂されたことにより、日本の「納骨堂」施設を大幅に参考とした「奉安堂」が韓国に登場。

でも、時代の先が読めない「朴」は韓国社会に「火葬&納骨堂」が一般化することは「兎角亀毛」と確信!!!!!朝鮮時代(1392年〜1910年)の国家統治理念だった「儒教」とは言え、「儒教文化」が完全に定着したのは朝鮮中期。古くから続くしきたりを短期間に変えることは難しく、封建的な文化を近代的な文化に変えることは数世紀の時間を要する場合もあります。

とは言っても、「インド → 中国 → 朝鮮半島 → 日本」ルートの「火葬」は日本の明治時代以後約70年で一般化し、現在はほぼ「99.9%」の火葬率で世界一位だとか!!≪♬〜何でだろう〜♬〜何でだろう〜♬≫

≪狭い国土や国家発展の事を考慮し、墓の要らない火葬にして散骨しなさい≫って??
≪おまけに、俺はやらないけどお前はやれ!!≫って??
≪♬〜馬鹿にしないでよ〜♬〜そっちのせいよ〜♬〜火葬が広まらないのは〜♬≫

1998年のある日、

≪〇〇財閥の××会長、自分の死後「火葬」を遺言とす≫

とのタイトルの記事が韓国の新聞に掲載。マスコミで先を争い大きく報じられたこの記事は韓国社会に大きなショック!!!!!でもでも、ショックは一瞬で、

≪勝ち組みがやるなら俺もやる≫
≪「土葬」に拘るのは古い人間、一歩先に進んでる人なら「火葬」≫

「両班文化」は被支配階級の憧れの対象。改革したいなら「社会指導層」の「率先垂範」から。韓国では朝鮮時代の「支配階級」である「両班」に代わり、財閥が台頭。資本主義社会を代表する勝ち組み「財閥」の生活像は「上向意識(consciousness-raising)☆(社会的・政治的などの意識を高める)意識高揚」の強い韓国人の「上向模倣(上方模倣)」の対象となります。

一般的に、恵まれない人々の葬儀法の代名詞であった「火葬」に対する韓国人のイメージチェンジにより、1981年には13.7%だった火葬率が2005年には52%、2015年9月の発表では78.8%と急上昇!!

主に遺体を焼却後「散骨」していた「仏教式」葬儀法から、この「仏教式」葬儀法に死者をそのまま地中に埋葬する「儒教式」葬儀法を折衷し、焼却後散骨せず、遺骨を壷に入れ、奉安堂(納骨堂)に収蔵する「仏教式 + 儒教式 = 折衷型」葬儀法が急速に広まり、長い間「火葬」を積極的に奨励し続けてきた国家政策は成功気味。

韓国の京機道にある、ロッカー型「奉安堂(納骨堂)」内部光景

≪日本風の納骨堂(奉安堂)、ほんとうかよぉ〜!?≫と、驚く間もなく、韓国の最新流行りはもはや「樹木葬」。「林学」の大学者である△△大学の〇〇教授の「木の側に眠りたい」との意思により、2004年〇〇教授の遺体を焼却後、粉骨を木の根元に安置する形式の「樹木葬(Enshrinement at Tree)」にしたことがマスコミに大きく報じられたことがきっかけとなり、「スイス」発の「樹木葬」が急増ぶり。

「樹木葬」には、

@埋葬型樹木葬(Woodland Burial) ☆ 樹葬)」
遺体を焼却せず、そのまま埋葬し、その上に木を植えるか、木の周りに遺体を埋める。

A奉安型(納骨型)樹木葬(Enshrinement at Tree)☆ 樹木葬」
土中で短期間で分解できる澱粉で作られた遺骨函に粉骨を入れ、成木の根元に埋めるか、遺骨函などは全く使わず、そのまま埋め、墓標(目印)としてその成木に「名札」を付ける。又は、土中に粉骨を埋め、その上に若木を植える。

B「散骨型樹木葬(Ash Scattering at Tree)☆ 自然葬」
粉骨を花・木のある山野に散骨する。

以上の三つのタイプがあり、韓国では「A」「B」が主に行われていて「1人1本」植樹するのが基本です。

≪文化人を目指すなら新鮮でしゃれてる「樹木葬」!!≫

2009年オープンした韓国初の国有の樹林墓地の光景。京畿道、楊平に所在。 出典:韓国山林庁
韓国の「樹木葬霊園」の光景  出典:壁斎納骨堂

ところでさ、

≪遠方に住んでるので故郷のお墓参りは大変≫
≪外に出た人間に先祖のお墓を守らせるのは非現実的≫

と言って、安置した場所の目印となるシンボルツリーも立てず、名札も付けず、承継者も不要な「自然派」的樹木葬にして、お盆やお正月、連休(ゴールデンウィーク)にはとおぉ〜い海外まで旅行に行ってるんじゃないよね??まさか!!

≪ヨーロッパ風の樹木葬、ほんとかよぉ〜!?≫

と疑う間もなく、「土葬」は場所を取るからと言って広い埋葬地を要しない「火葬」を進めてきた韓国政府ですが、「火葬」は煙や灰に因る多量の二酸化炭素・水銀・ダイオキシンが排出されるなど環境汚染を引き起こす問題があるからと言って、低炭素、禄色成長とも密接な関係のある「氷葬(凍葬)☆ プロメッション(Promession)」を「第三の葬儀法」として導入すべきとの案が出され、国会で検討中らしいですよ。

≪まさかかよぉ〜!?≫

(続 く)

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韓国ソウル出身。韓国国会事務局退職後、1988年来日。大学で高等学校教諭1種免許(国語)取得。大学院で日本文化専攻。

名古屋市の官公庁などの翻訳・通訳人として活躍後、大学や名古屋市内の生涯学習センターなどで「コリア文化」に関する講座を担当。

現在は愛知大学、中京大学、中日文化センター、愛知大学オープンカレッジなどで韓国語講師をつとめる。

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