いわれのある岐阜県・中山にある観音寺の千手観音像 2016/1/10

千手観音像

岐阜県揖斐郡の中山にある「観音寺(中山観音寺)」。山間にあるお寺で、なかなか行くのは大変なところ。お寺は急な階段を上ったところにある。西美濃三十三霊場の第12番霊場。私がうかがった日は天気が悪いせいか、階段にあるのぼり旗は取り外されていた。

観音寺の本堂に向かう階段

観音寺の由緒によると、養和元年(1181)の創建とされる。焼けたために移転し再建。その後、現在地にまた移転するも荒廃する。

1600年9月、関ヶ原の合戦で敗れて逃れてきた武将の小西行長を、その荒れたお寺でかくまっていた。しかし、竹中重門に捕えられて小西行長は殺されたので、祟りを恐れた村人は行長の遺品を埋めて墓をつくり、位牌を収めて供養したという。

その時に小西行長の供養のために、他より千手観音像と大日如来像と釈迦如来像3体を譲り受けこの観音寺に祀ったらしい。今もお堂には、小西行長の位牌が安置されている。

向かって左から大日如来、千手観音、釈迦如来

観音寺のお堂の中心に、その千手観音立像(町指定文化財)、大日如来坐像(県指定文化財)、釈迦如来坐像(県指定文化財)の3体が祀られている。ただ、普段は緞帳がおろされており、真ん中の千手観音以外は見ることができない。特別に、緞帳を取り外していただき、大日如来坐像と釈迦如来坐像を拝観させていただく。

大日如来坐像

大日如来も釈迦如来も整ったお顔で堂々たるお姿の像である。大日如来は座禅を組むような禅定印を結ぶ、胎蔵界大日如来。

釈迦如来坐像

釈迦如来のお顔が優しげで素敵だ。ただ、修復の痕が白く残るのがおいたわしい。

真ん中のきらびやかな千手観音像は、いわれのある像である。昔、大垣藩主の姫「おさい様」が重い眼病で苦しんでいた時、この観音寺の観音様を信仰するようにと夢のお告げがあり、何度かお参りに訪れて回復した。

その後、おさい様が栄春院というお寺を建立された際に信仰していた観音寺の千手観音を栄春院に移し、替わりに別の千手観音を納められたという。それが、今の千手観音像だそうだ。

ちなみに観音寺はご住職が常にいらっしゃるわけではないので、前もって予約してからでないと、扉がしまっていてお堂の中は見えない。

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栄春院の2体の千手観音像

その観音寺から千手観音が移されたという神戸町にある栄春院にうかがった。栄春院はの養老線「北神戸駅」近くにあるお寺。観音寺からは東側に約20キロ離れた住宅地にある。お願いして内陣まであげていただいた。千手観音像は2体ある。白い緞帳の間にいらっしゃる千手観音像と、その前のちいさな厨子に入っている千手観音像。

観音寺にあったという千手観音像

お寺の方いわく、お厨子に入って小さなほうが元は観音寺にあったという千手観音さまと思われるが、確かではないそうだ。

千手観音像

真ん中の大きな千手観音像のほうが、立派に見えた。仏像を拝観しながら、いろいろなご縁や歴史を感じた。

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「観音寺」
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日中山2725
電話:0585-57-2261(要予約)
料金:志納
アクセス:養老鉄道養老線「揖斐駅」から徒歩約3時間。
揖斐駅からバス(本数は少ない)で「中山バス停」まで約25分、そこから徒歩約10分

「栄春院」
住所:岐阜県安八郡神戸町大字北一色935
電話:0584-27-4117(要予約)
料金:志納
アクセス:養老鉄道養老線「北神戸駅」から徒歩約4分

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プロフィール

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仏像イラストレーター&文筆家

丸の内はんにゃ会(女子の仏教サークル)代表、奈良市観光大使。

子供の頃、仏像好きの叔父に連れられ奈良や京都の仏像を見て歩く。

大人になりひさしぶりに京都の三十三間堂に行き、突然仏像へ恋に落ちる。
以来、全国の仏像に会いに行くようになる。

そして、仏像本や仏像講演やカルチャーセンターの講師をするようになる。

著書には
「仏像、大好き!」(小学館)
「拝んでしあわせ奈良の仏像100」(西日本出版社、「田中ひろみの勝手に仏像ランキング」(メディアイランド)
「クイズで入門 日本の仏像」(講談社+α文庫)、「美しき仏像」(ぶんか社)
「ふらりおへんろ旅」(西日本出版社)
「江戸東京再発見 ぶらりスケッチ散歩」
など35冊。

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