ドリップコーヒーの抽出技術 Part11 〜ドリップポット編〜 2016/1/13

カリタ 1リットル ペリカンドリップポット

明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願い申し上げます。

ハンドドリップの最大の魅力は、灰汁(アク)をエキスに混入させないクリアーな味を作り易いという事です。

1湯目は万遍なく粉にお湯を注ぎ入れ蒸らしをします。
2湯目からはドリッパー内のお湯を切らすことなく注ぎ入れ、泡(アク)をサーバーに落とさないように注意して最後まで注ぎます。

湯を注いだ時に出る泡(炭酸ガス)は鮮度の証明です。新鮮なコーヒーは炭酸ガスが含まれていて、湯を注ぐと泡となって灰汁(アク)を上部に浮かせ、エキスに灰汁を混入させ難くしますので、雑味の無いクリアーなエキスになります。

古いコーヒーは炭酸ガスが抜けていますので泡が出ず、お湯を注いでも灰汁が上に浮かずにエキスに混入してしまいますので、雑味のある舌離れの悪いエキスになる。

新鮮なコーヒーは健康に良いだけではなく、抽出にも影響してくるということがわかっていただけると思います。

ここで、灰汁を上部に残しながら旨味成分だけを抽出することでとても需要なのが「ドリップポット」です。

Aドリップポットの役割
《ドリップ式抽出法の基本》
◎抽出とは悪い味を出さず良い味と香りを最大限に引き出す事である(酸、甘、苦、コク、香)。
a.良質で新鮮なコーヒー豆(焙煎濃度、産地、ブレンド等)
b.コーヒーに適した水(カルキを除去した新鮮な水)
c.良いドリップをするために必要な道具と器具(ドリップ専用ポット、温水計、ドリッパーいろいろ、サーバー等)
d.基本にそった抽出技術

ドリップコーヒーの淹れ方はすでに説明いたしましたが、その基本の淹れ方をするにはドリップ専用ポットはとても大事な条件の一つです。

コーヒー抽出の事を「コーヒーを淹れる」と言いますが、それは、コーヒーのエキスを引き出すと言う意味で、抽出全般の事を意味しているようです。ドリップ抽出は他の抽出器とは違い、お湯(水)を上からコーヒーの粉に投下して透過させてエキスを引き出します。

この抽出の時にお湯(水)をドリッパー内に落とす事を「点(た)てる」と言います。書いて字の如く、ドリップ抽出の湯は一滴一滴・・一点て一点てしていくのが基本です。

ドリップの淹れ方は何度も学習したように、コーヒー粉の上からお湯(水)を差して、お湯の重力だけで旨味成分を抽出する方法です。このときに、高い所からお湯を注ぎいれたり、細すぎる口のポットで過度の圧力をかける注ぎ方は、ドリッパーの中でお湯が動きすぎ、対流をおこしてしまい、雑味成分が出易く、ドリップコーヒー最大ポイントである、「良いエキスだけを贅沢に安定して抽出する」ことが難しくなるようです。

よって、抽出する湯の量を容易にコントロールすることの出来る物がベスト。口の大きさがヤカンのようなタイプのポットは湯の量のコントロールが自分の狙いの太さに調整可能です。口をペンチ等で潰し、カスタマイズしている方も業界には沢山いらっしゃいます。

➂「ドリップポットの選び方」
◎ポットの選び方の注意点
a.大きさとバランス
大きすぎると扱うのに力が必要になるため、細かいコントロールが難しく、湯の勢いも強くなります。小さすぎると何度も湯を継ぎ足さねばならなくなりますから、お湯を差すのが途中で切れたり、お湯の温度が変わりやすくなります。また、重すぎる物や、軽すぎる物もうまく差すことが難しいと思います。

結果としては、扱いやすく、日頃よく淹れる杯数などを考慮して大きさを決めましょう。 購入の際は、できれば実際にお湯を入れ差してみるのが一番です。把手の部分を持って軽く提げてみたときの全体のバランス、お湯の流れかたを試してください。

ドリップするときに余分な力がいらず、提げてみたときにあまり傾かず、お湯が垂直に落ち、水量が意のままにコントロールできるような注ぎ口の角度が安定したものを選ぶと良いでしょう。

口の細すぎるポットは一人前抽出用

b.口の細さ
ドリップポットとして売られているものの特長は注ぎ口の細さです。同じサイズのポットと比べてみると少なくとも一回りは細くなっています。

口が細いということは、一度に出てくる湯の量が少なくなることに繋がります。ドリップの場合、できるだけ湯を静かに差せることが重要ですから、そのことから言っても「口の細いものを選ぶ」ことは非常に重要なポイントになります。

ただし、口の細すぎるポットは少人数専用です。このポットで多人数を淹れると、湯を多く出さなければならず、結果、ポットを強く傾け水圧が上がり、ドリッパーの中で粉が踊ってしまい灰汁が出やすくなり、良いエキスを抽出するのが難しくなります。

c.口の形
口の細さと並んで大切なことに、注ぎ口の形があります。理想のドリップポットの口の形は「鶴口」のものが良いでしょう。

Cドリップポットの注ぎ方
ドリップポットの注ぎ方の注意点を、私が推奨する、カリタのペリカン1リットルドリップポットを使い説明しましょう。

このドリップポットは、銀座の「カフェ・ドゥ・ランブル」の関口一郎氏が開発して、それをカリタが模写して、市販品として販売しているポットです。とても優秀なポットで1人前から4人前くらいまで安定して差す事ができます。

差し方としては、ちょうどお湯がでるかでないかのバランスのとれたところに人差し指と中指と薬指をおきます。あとの二本の指はそえるだけです(特に親指には力を入れない)。もともと、バランスの良いポットですので少し傾けるだけで、あまり力がいらず、垂直にお湯が落ちます。

重さを感じながら、中指を支点に薬指を少し持ち上げ、人差し指の力を抜くと、お湯がゆっくりと垂直に安定して落ち続けます。あとはドリッパーの中心から外へ同じ量のお湯を静かに差します。そのときに、ポットの口の高さをキープ(上下させない)することがポイントです。コツとしては、手首を固定してひじをまわすようにすると安定した差し方ができるように思います。

【総評】
ドリップポットの歴史は、1800年頃、フランスのドゥ・ベロワというパリの大司教がドリップポットを設計し、「コーヒーの粉を濾して飲む」というスタイルを普及させたときから始まりました。ドリップの歴史はポットの歴史といっても過言がありません。

実際、私の38年の珈琲屋人生もドリップポットの改良、研究の日々でした。一生物の良いドリップポットに出会っていただきたいと思います。

このポットが誰にでも良いというのではなくて、最終的には自分にあったポットが良いのでしょう。高いとか安いではなく、合うか合わないかということです。しかし、合えばなんでも良いということでもなく、あくまでも基本を踏まえた上で選んでください。

皆さんも同じコーヒー豆を同じ条件で淹れ比べた時、お湯の差し方によって味がまったく違うと・・・感じたことはありますね。ドリップコーヒーにおいてお湯の差し方は香味に大きな影響を与えます。常に同じ味を出すには、少し経験が要りますが、お湯の差し方によって味がどのように変化するかを習得すると自分の好みのコーヒーを創ることができ、コーヒーの世界が広がります。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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