達人に訊け!
太陽が欠ける! 3/9は部分日食だ! Part 1 2016/2/18
日を食べると書いて「日食」。誰が日を食べるのかといえば、それは「月」。いよいよ3/9に部分日食が起こる。
昔インドでは、大きな龍が日を飲み込むために起こる不吉な現象とされ、日食が始まるとどらや太鼓をたたいて、この龍を追い出したという。
日食とは、月が太陽と地球の間に入り込むために、月が太陽を隠してしまう現象である。つまり、日食は太陽-月-地球が一直線に並ぶ新月のときに起こる。とはいっても新月になるたびに必ず日食が起こるというわけではない。
それは、月の通り道である白道が、太陽の通り道である黄道に対して約5°傾いているために、白道と黄道の交点付近で新月にならないと、太陽と月とが重ならないからだ。
地球から約38万km離れた月と、1億5000万kmも隔たった太陽とが、宇宙で一直線に並んで、月の影が地球に落ちるなんて考えただけでもすごいことのように思えてワクワクしてくる。
さらにドラマティックにしているのは、地球から見る太陽と月の見かけの大きさは、ほぼ同じ。実際の大きさは、太陽の直径は月の約400倍もあるのに、地球からの太陽までの距離は、月までの距離の400倍もある。つまり直径と距離の比が絶妙に打ち消しあうため同じ大きさに見えるのだ。
この日食は、インド洋東部から、スマトラ島の南部、ボルネオ島南部、セレベス島の中部を太平洋へと本影が抜ける皆既日食だ。この日食の北限界線が日本北方を通っているため、日本全国で部分日食として見ることができる。
気になる食分は、南太平洋上で起こる皆既日食なので日本ではおおむね南東地域ほど欠け方が大きく、たとえば、那覇で0.335東京で0.259仙台で0.218、札幌で0.128となる。つまり全国で12%から30%ほど太陽が欠けるまずまずの部分日食であるということだ。
名古屋では、10時08分に欠け始め、54分後の11時02分に食最大の食分0.238となる。このときの太陽高度は49°程と十分な高さだ。そして11時57分には復円し、いつもの太陽に戻る。
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プロフィール
天文研究家
1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。
天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。
最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。
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