太陽になりそこなった星 木星 2016/3/17

3月中旬の宵空。オリオンは西に傾き、東の空にはしし座とともに、木星が輝いている

惑星界の帝王 木星
3月の宵、オリオン座が西に傾くと、春の陽気に誘われるように東の空には、しし座が元気よく駆けあがっている。そのしし座の足元には、黄金色にひときわ明るく輝く星が君臨している。その星の名はジュピター。ローマ神話の最高神ユピテル、ギリシャ神話の最高神ゼウスに由来している。日本では、明星、歳星と呼ばれているが、木星の名が最も一般的だ。

木星は、黄道12星座をほぼ1年に1星座ずつ巡り、12年で一回りする。

木星は、地球と同じ太陽の周りをまわる惑星の一つ。地球は太陽の周りを1年で1周するが、木星は12年もかかる。おかげで、黄道12星座を1年に一つずつ巡っていくことになる。占星術では、木星は幸せの星と言われ、木星が自分の誕生星座に廻って来ると幸せになれるという。現在はしし座で輝いているが、今年後半はおとめ座に移る。

木星は太陽系最大の惑星。直径は地球の11倍半、質量は318倍もある。

木星は太陽と同じガスのかたまり
木星は、太陽系最大の惑星だ。直径は地球の11倍半。質量は地球の318倍。木星以外の太陽系惑星7つを足しても木星には及ばない、巨大惑星なのだ。

木星は、地球とは全くタイプが異なる惑星だ。地球は岩石でできているが、木星はガスの塊。その成分は水素75%ヘリウム24%残り1%がメタンやアンモニアなどのガスだ。つまり、その組成は太陽に近いといえる。

では、なぜ木星は太陽のように自分で光る恒星にならなかったのか?

木星があと80倍重く生まれていたら、太陽と同じように自ら光り輝く赤色矮星になっていた

実は、木星の質量は太陽の0.1%しかないので、太陽にはなれないだけのこと。もし質量が太陽の8%以上あれば、中心の温度と圧力が高まって、水素の核融合が起こり光りはじめる赤色矮星と呼ばれる恒星になっていた。

つまり木星が生まれたとき、もう少しまわりのガスを集めて今よりも質量で80倍、直径で1.3倍ほど大きく育っていたら、木星は赤色矮星と呼ばれる恒星になっていたというわけだ。

赤色矮星になった木星を地球から見上げると、どんなふうに見えるのだろう?きっと見かけの大きさは、現在の木星とあまり変わらない点にしか見えないだろうが、明るさはかなり明るくなって、木星が昇ると夜空が満月の時のように星があまり見えなくなるのではないかと想像するのだが・・・・

そんなことを考えながら、宵の東の空でひときわ明るく輝く木星を眺めてはいかがだろう。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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