桶狭間の和解!? と世界三大古戦場サミット 2016/3/27

手を取り合う、左からとよあけ桶狭間ガイドボランディア会の堀田会長、小浮正典豊明市長、桶狭間古戦場保存会の梶野会長

去る3月19日、桶狭間と関ヶ原の両古戦場で重要なイベントがありましたから報告したいと思います。

まず桶狭間ですが、ご承知のように桶狭間合戦は現在の名古屋市緑区域と豊明市域にまたがるエリアで行われました。このため豊明市に国指定の桶狭間古戦場伝説地や遺体を葬ったとされる戦人塚があり、名古屋市緑区にも古戦場公園や七ツ塚などの史跡があります。

江戸時代からほんの20〜30年ほど前までは、豊明市の古戦場伝説地が義元の討たれた場所とされてきましたが、近年の研究では緑区説が高まってきています。いずれにせよこのエリア全域が戦いの舞台です。

信長と義元のゆるキャラ?

豊明市では30年ほど前から甲冑行列など祭りなどが行われてきましたが、緑区の桶狭間地区でもここ10年ほど前から古戦場の整備や祭りが行われ、近年では両エリアは競い合うような雰囲気すらある状況となっていました。

そんな折、今年から市をあげて「観光まちづくり」を新たに始めるという豊明市の「観光まちづくりキックオフシンポジウム」に緑区の桶狭間古戦場保存会が招かれたのです。最近、行政区画を越えた武将観光の重要性が指摘されつつありますが、その意味でも画期的な話です。

司会は観光による地域活性化の専門家、和歌山大学の大澤健教授

「大金星のまち とよあけの魅力と可能性」というパネルディスカッションでは、緑区の桶狭間古戦場保存会会長の梶野泉氏が「豊明市に追いつこうと活動してきた。一緒に連れて行ってもらいたい」と述べると、とよあけ桶狭間ガイドボランディア会長の堀田忠夫氏は「本来は桶狭間全域が古戦場。行政でたまたま別れただけ。両地域が力を合わせて観光推進していけば、二倍、三倍の効果となる」と話しました。

具体的にどうするかはまだこれからのようですが、ひとまず両者が一堂に会したこと自体、画期的で歴史的快挙ともいえそうです。

今年は5月15日の日曜に名古屋市緑区の桶狭間古戦場まつりがあり、6月の4日、5日に豊明市の祭りがありますから、そこでも両地域の交流があるといいのですが。

共同宣言のあと、マイ甲冑を着た地元の小学生も参加して記念撮影

またこの日、岐阜県関ヶ原町の関ヶ原ふれあいセンター大ホールでは、ナポレオン一世が大敗したベルギーのワーテルロー、アメリカ南北戦争最大の激戦地ペンシルベニア州ゲティスバーグ、そして関ヶ原という「世界三大古戦場」の関係者が集まって、世界古戦場サミットが開催されました。各古戦場による観光の取り組みなどのプレゼンテーションの後、パネルディスカッションがあり、そして共同宣言が出されました。

一連の話を聞くと、昨年戦後200年を迎えて大規模な再現劇を催し、世界からのべ200万人もの来客を集めたワーテルローや、セグウェイでの古戦場ツアーや夜間のゴーストツアー!などアメリカらしい様々なアトラクション的展開をみせるゲティスバーグに比べ、江戸期以降ほどんど整備されず、1900年にやっと石碑が建ち、昭和50年代からやっと整備意識が出てきて、現在も少しずつ整備中だという桶狭間では「現状、かなりの差があるなあ」「はっきり言って遅れているなあ」ということがよくわかりました。

家康の最初の本陣だった桃配山は、国道21号線が寸断している!?

サミットのあと、久しぶりに関ヶ原の史跡を回ってみましたが、それぞれの陣跡はよく整備されています。ただ、かなり広域なので、どう見せるかはなかなか難しいと思いました。ただ、桶狭間と比べれば、行政区が異なっていることもなく、一帯をわかりやすく観光開発することは、桶狭間よりまだやりやすそうに思えました。

関ケ原町歴史民俗資料館館長の草野道雄氏も「遠くから来た人に一目で覧てもらえるものを作りたい」と述べていましたので期待したいところです。

日本語、英語、フランス語の同時通訳でディスカッションが行われた

パネルディスカッションの司会をした関ヶ原観光大使でもあるDJのクリス・グレン氏は「関が原は日本だけでなく世界の宝物。歴史の短いアメリカや私の母国オーストラリアでも歴史を大切にしている。日本はもっと皆さんで協力して、本格的な関ヶ原を見せてほしいもの」と結びましたが、本当にそう。信長の桶狭間、家康の関ヶ原、どちらもまだ課題は多いなあと思わざるを得ませんでした。

とはいえ、我々としてはとにもかくにも、まずは現地に行ってみることでしょう。どちらの古戦場も、今でもそれなりに楽しめますから、ぜひ。

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歴史ライター

名古屋市守山区出身。地元出版社で自動車雑誌、タウン雑誌などの編集者を経て、編集・web制作の株式会社デイズを創業し、現在は代表取締役会長。

長く自動車ライターとして活動してきたが、2012年に信長ゆかりの地をめぐるガイド本「信長公記で追う桶狭間への道」を出版し、以降は歴史ライターを中心に活動。2018年に「信長公記・天理本」の首巻部分を現代語訳(かぎや散人氏・訳)で出版し、2019年には「桶狭間の戦い」の新解釈(新説)を歴史雑誌で発表した。座学と現地歩きの講座「若き信長150名所スタンプラリー」を鳴海中日文化センターで開講中。

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