<第41話>心に残る大関列伝(旭国編) 2016/4/10

北の湖と輪島の輪湖時代、貴ノ花時代を語る上で欠くことのできない大関が昭和22年生まれの旭国、昭和23年生まれの魁傑です。2人とも極めて個性的な力士でした。旭国はたたき上げの力士であり、魁傑は大学を中退して入門しました。

旭国(本名・太田武雄)は身長174センチ、体重121キロの身体で粘りを身上とし、大関にまでのし上がった力士です。北海道旭川に近い郷里から立浪部屋に入門しましたが、四股名はその故郷の一字を取って「旭国」として活躍しました。

昭和38年名古屋場所が初土俵で貴ノ花、北の湖より先輩にあたります。もぐり込んで左を差し、頭をつけて食い下がる体勢から足技や出し投げを主な武器としてファンを魅了しました。猛稽古がたたって、しばしば病に襲われ、すい臓を患いながら土俵を務めました。

「ピラニア」のいうあだ名の通り、一度食らいついたら離れないのが真骨頂でした。技能賞一回、敢闘賞一回を獲得しています。

昭和51年夏場所、新大関として意欲を燃やす旭国

特に忘れがたいのは昭和51年の初場所と春場所です。最後まで優勝争いに加わり、春場所は決定戦まで残る活躍(優勝は横綱輪島)で大関の座を射止めました。

昭和52年秋場所では14勝しながら、北の湖が全勝したため、優勝を逃したのは何とも不運でしたが、ファンの胸中にいつまでも残る存在です。

「ピラニア」のあだ名の通り、食らいついて寄り切りで横綱輪島を破る旭国

引退後は立浪部屋から独立を許され、大島部屋を興しました。師匠として現役時代に勝るほどの功績を残しています。特筆されるべきは、モンゴル勢の道を開いたことです。平成4年春場所にそろって初土俵を踏んだ旭鷲山や旭天鵬、旭天山らの活躍でもわかります。

旭天鵬は平成24年夏場所に栃煌山との決定戦を制し平幕として幕内最高優勝を飾り、幕内最多出場も達成しました。

旭鷲山は大相撲の技を随所に発揮し、足技や投げ技の多彩な取り口で三役にまで昇進しました。引退後、モンゴルの議員として日本とモンゴルの親善の役割を存分に果たしていますが、特に白鵬の入門は旭鷲山がいなければありえなかったことです。

大島親方は温厚な性格で、弟子の指導にもきめ細かく具体的な指示を与えながら、育て上げた功績は忘れてはなりません。

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プロフィール

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日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

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