達人に訊け!
絵手紙を楽しみながら根気よく続けるコツ 2016/4/20
さあ、絵手紙道場の幕開けです。私は道場の指南役を務める加藤正巳です。
これから絵手紙を始めようと思っている人、描いてはいるが、何となくマンネリ状態で伸び悩んでいる人、いませんか? 初回は絵手紙の基本をふまえ、楽しみながら根気よく続けるコツを指南します。
絵手紙はご存じのようにハガキからはみ出るくらい大きく描いた絵に、思いやりの言葉を添えて親しい相手に届けるものです。
題材に花や野菜、果物、生活用品などが多く描かれますが、これらを描くことで、季節の移り変わりが身近に楽しめる、絵手紙にはそんな喜びもあります。
習い始めの時は、題材を無造作に前に置いて、すぐに描き始めます。しかしこれでは題材の特長や美しさを見つけて写し取ることはできません。ここが基本になる大事なポイントです。
「あれ、こんなところから若い芽や葉っぱが出ているんだね」、「花びらのふくらみを強調するには、どの角度から描くのがいいのかな」などと、題材に話しかけながら、上から横から、斜めからもじっと眺めて、それから位置を決めます。
いいかげんな観察や、頭の中で自分勝手に想像して描いた絵はすぐにわかります。
筆を走らせる前に、まず題材を手にとってよく見る、それから描き始めてください。
次にその題材を1枚仕上げたらそれで終わり、すぐに別の題材を描いている人がいますが、そんなに早く諦めないでください。1枚描いただけでは記憶に残りません。
私は同じ題材を少なくとも3枚以上描きます。気に入った題材が見つかると、わくわくしながら、一気に10枚くらい描きます。それでやっと形や特長が頭の中にインプットされ、いつまでも記憶に残るのです。
題材との会話を楽しみながら描けるようになれば最高! 長続きの力になります。
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2016/4/20
プロフィール
1932年、愛知県西尾市生まれ。カトーデザイン代表。2017年8月死去
日本商業コンサルタント協会副理事長として、旧郵政局、旧三菱石油、名古屋商工会議所など、企業の広告宣伝、販売促進を指導。
名古屋、岡崎、西尾、碧南で絵手紙教室を主宰。愛知県碧南市広報紙で四コマ漫画連載、通信新聞社で四コマ漫画連載。
2009年〜2015年と2016年〜2017年5月まで中日新聞水曜夕刊「ほのぼの絵手紙」選者を務めた。空襲の様子や軍事教練、多くの学童疎開児童が犠牲になった三河地震(1945年1月)の被害など、自身の戦争体験を絵手紙で描き残し、次世代に伝える活動を続けた。