【第20回】九州全力応援〈2〉被災地周辺のご当地スーパーから届いた店長の苦悩と希望 熊本県人吉市「イスミ本店」 2016/4/22

熊本での最初の地震から1週間。避難者数は熊本9万9868人、大分952人(21日午前9時現在/中日新聞)にのぼり、避難所はもちろん、スーパーマーケットや小売店ですら、食料品が不足している状況が報道されています。

スーパーマーケット研究家である私は、今年3月末、本コンテンツ連載記事の取材を兼ねて、熊本県のご当地スーパー巡りをしてきたところでした。その旅の中で出会った、ご当地食満載のスーパーが「イスミ」(熊本県人吉市)です。

ところがその新しい記事を掲載する直前の4月14日夜に、最初の大きな地震が起きました。翌日「イスミ」に連絡すると、所在地である人吉市は震源地から約90km離れているため、震度4と被害はなかったことがわかり安堵。

しかし、同県内における人的・物的被害の大きさを考慮し、「イスミ」の掲載を一旦、延期することにしたのです。

そして16日未明には本震が。

19日に私宛に届いたメールは、「イスミ本店」中村誠一店長からの窮状を伝えるものでした。

※外観写真は2016年3月27日に筆者が撮影

「イスミ 本店」熊本県人吉市

イスミ本店 中村誠一店長

【メーカーの被災と道路の寸断】
16日の本震では、人吉市は震度5弱を観測。中村店長は「被害の大きい地域のお客様や同業者のみなさんは、この比ではないので申し訳ないのですが……」と送ってくれた直後の店内の写真には、店内のサイン(看板)が外れ、商品の一部が棚から落ちている様子が撮られていました。

中村店長によれば「16日正午より、人吉市でも地震の影響で水源池に濁りが発生し、水道水が供給されなかったのだと。2日後に断水が解除されるまで、店内での惣菜製造もできないうえ、商品の飲料水が不足する事態となった」というのです。足りないのは飲料水だけではありません。

すでに、最初の地震で高速道路が熊本エリアで寸断されたことで、南九州での福岡方面からの物流がストップ。また、生鮮食品はもちろん、日配品(パン、牛乳、豆腐・納豆など)のメーカーには福岡方面や熊本市内のメーカーが多いため、品薄な状況が続いていたところでした。

そして、本震以降、断水を経験しただけでなく、人吉に近い八代を震源とする地震があったこともあり、人吉市民の間にも急速に不安感が広がったため、レトルト食やカップ麺ビスケット、乾パン、また紙製品やガスボンベなどを求める人が増えたといいます。

イスミは、福岡方面からの商品の輸送に代わる、3倍の距離と時間のかかる宮ア経由での配送を手配すると同時に、熊本市内で被災し、生産できなくなっている県内のトップ納豆メーカー「マルキン食品」の納豆に代わる商品を求め、鹿児島県内のメーカーとの交渉中に追われています。

【CGCという意外な支援】
一方で、シジシージャパンではこの熊本の緊急事態に対し、すでに迅速に緊急物資の供給を熊本県内のCGC加盟店に行っています。じつはイスミも加盟店。

これでも比較的、入荷商品に恵まれている状況だそう(ということは、バックアップをもたない熊本市内の小売店は本当に商品調達に苦慮していると思われます)。そのため、熊本方面からはるばる買いに来たり、逆に、人吉市民が被災地に届けるために多めに購入したり。

当然、商品は売れていくばかりで、入ってくる量は限定的です。それでも中村店長とスタッフは、必死に「お客様の要望に応えたい」とFacebookで食品入荷情報を発信開始! 

このように、店長の中村さん自身も親戚や知人が熊本市内で家が倒壊するなど被災し、心配や不安な気持ちでいる中、自分の住む人吉市でも地震の影響が表面化してきました。「被災地から離れているため報道されませんが、私たち周辺地域の者も日々奮闘中と知っていただきたくて」と、たいへんお忙しい中、写真とともに、現状を伝えてくれました。

店頭に商品が戻ったころ、あらためてイスミ特集したいと思っています。その日まで、熊本を応援し続けます。

イスミ本店のすぐそばを流れる球磨川。清らかな水でつくる球磨焼酎が有名です。

イスミ本店
住所:熊本県人吉市九日町87
TEL:0966-22-4316
営業時間:9:15〜20:00
定休日:1月1日


注意:九州自動車道は熊本県内植木IC→八代ICは地震の被害により通行止めです。(2016.4.21現在)

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スーパーマーケット研究家
65年東京生まれ、名古屋在住。
サラリーマンの夫の転勤で国内外の転居を繰り返す中、スーパーの研究を始める。2012年に出版した著書が話題となり、出演したテレビ番組で紹介した岐阜県高山市の隠れた日常食「あげづけ」が大ブレーク。現在は、テレビ出演や新聞・雑誌の連載、講演活動をこなしつつ、子育ての隙をみて、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。新刊「東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食」(ぴあMOOK中部)

著書/『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見〜つけた!』(講談社)

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