リニア・鉄道館に行こう(34) 戦後混乱期に誕生した1等寝台車 2016/4/28

戦後初の1等寝台客車マイネ40形

収蔵車両エリアの向かって右から4両目にあるのが、今回ご紹介するマイネ40 7です。収蔵車両エリアのなかでも柱が邪魔して側面を写しにくいため、今回使用している写真は通常非公開のエリア奥側から特別に撮らせてもらったものです。

でも、肉眼で観察するのであれば、公開されている車両展示エリアから十分にできますので、その点、ご了承下さい。

さて、このマイネ40形ですが、昭和23年製です。終戦が昭和20年8月ですから、まさに戦後の混乱期にできた車両です。

実際、進駐軍の第3鉄道輸送司令部(MRS)の要求で新製をはじめたものの、その後に製作を白紙撤回されて製造途中の車両が宙に浮くなど、紆余曲折を経て誕生した形式でした。それも、要求された仕様書に合わせて設計したことから、実際の利用には製造後すぐの改造なども行われました。

そのなかで画期的だったのは、1等寝台車でありながら2軸台車を使用したことでした。戦前の1等車は3軸台車を使用することとなっていたので、これが戦後の新たな潮流となります。

もっとも、冷房装置など床下機器を多く搭載するために3軸台車を使用することができなかったという理由だったようです。また、新製してみたものの乗り心地が芳しくないため、他形式の台車と交換して乗り心地を改善するようなこともしています。

車体側面には「J.G.R.」の文字が記されている。

マイネ40 7の側面白帯部には、上の写真の通り「J.G.R.」と記されています。Japanese Governmant Railways の頭文字をとったものです。

直訳すると日本政府鉄道ですよね。なぜ日本国有鉄道の略称「J.N.R」ではないのでしょうか。それは製造年に原因があります。

マイネ40形21両が新製された昭和23年当時、国有鉄道は運輸省が運営する国の直轄組織でした。それが日本国有鉄道となるのは、翌昭和24年6月1日のことなのです。この標記一つにも、その時代背景があることをご理解いただけることでしょう。

このマイネ40形は、車内が大きく2つに分かれています。列車寝台では少なくない構造ですが、その一方は2名用コンパートメント(当時は“区分室”と呼んでいた)で、JR「北斗星」の2名用A個室寝台「ツインデラックス」と同じく、線路と直角方向に上下2段ベッドがあり、洗面台もついていました。

もう一方は通路を挟んで左右にボックスシートが並ぶ開放室ですが、そのシートの背もたれをずらすと下段寝台となり、上段寝台は頭上壁側に収納されていました。つまり、レールと並行に寝る構造です。列車寝台では多くない構造です。

どちらも1等寝台ですが、開放室には洗面台がないため、開放室側の車端部に洗面台とトイレがあります。コンパートメントは前述の通り洗面台付きですので、車端部にトイレだけがあります。

つまり、1両の寝台車の前後にトイレがついているという珍しい仕様です。トイレ部分は窓ガラスが透明でないので、それと判ります。リニア・鉄道館では、そんな様子もぜひ確認して下さいね。

名古屋駅の130年企画展の図録表紙

リニア・鉄道館では、本年3月14日にオープン5周年を迎えました。それを記念して、5月9日まで『ありがとう!リニア・鉄道館は5周年』と題した、同館のこれまでを映像で振り返る記念展示を実施中です。車両搬入などの記録映像は必見です。

また期間中、「みどころガイド」や300系新幹線の運転台公開などが行われています。また、3月16日〜9月26日の約半年間にわたり、

第5回企画展
名古屋駅の130年
〜東海道新幹線の開業、そして超電導リニアによる中央新幹線〜


を開催しています。名古屋駅が開業したのは明治19(1886)年5月のことで、それから130年になることを記念しての企画展です。

開業当時は、いまより約200m南の笹島付近に位置していて、昭和12(1937)年に現在地に移転しています。戦後となり東海道新幹線が開業、JRセントラルタワーズができ、さらにいまはJRゲートタワーと中央新幹線名古屋駅の建設が行われています。そんな名古屋駅の130年をまとめた企画展です。

同館では、館内の総合受付にて上の写真にある同展の図録を販売しています。詳しくは、リニア・鉄道館の公式サイトをご覧下さい。

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1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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