「活性酸素」は本当は いいやつ だった その3 2016/5/30

生物は進化の過程で、普段はいいやつなんだけれど、多すぎると悪さをするような活性酸素を速やかに消し、丁度良い量を維持するシステムを作り上げました。

「備えあれば憂いなし」。

活性酸素を速やかに消すシステムの中心が、スーパーオキシドジスムターゼ、通称SODと呼ばれている酵素です。バクテリアから高等動植物まで、ほとんどの生物はSODを体の中に持っています。

人類は、3種類のSODをもっています。SOD1、SOD2、SOD3という極めて単純な名前です。3種類のSODそれぞれが細胞内外の違った場所で余分な活性酸素の消去に日々全力で働いています。

ですから、「活性酸素」が少々増えたぐらいでは、このSODの力をアップさせることで十分に対応できています。いろいろな動物のSODの量を測り、SODを多く持つ動物の方が寿命が長いことが報告されています。

動物の中でも霊長類、とくに人類はSODの量が際立ち、長寿である原因のひとつとされています。活性酸素がいいやつでも、大発生した場合には悪さをする前に速やかに消す必要があります。

「ワクチン」というとインフルエンザワクチンを思い浮かべる方も多いかと思います。人工的に病原性を弱めたウイルスやウイルスの一部を注射することで、体はそれへの戦い方を覚え、また戦う力を高め、本物のウイルスが入ってきたときに備え、病気にかからないようにする、あるいはかかっても症状を軽くするというものです。

病気にならない適度な活性酸素にもワクチンと同じような作用があります。普段、体の中でできている適度な量の活性酸素は、大発生した時の活性酸素の悪さへの抵抗性を高めていることが分かってきました。

例えば、SODと同じような消去システムの一員であるヘムオキシゲナーゼという酵素の量は、このような活性酸素のワクチン作用によってその量が調節されています。

このSODなどの活性酸素を消す力を補うのが、健康食品であるビタミンやファイトケミカルと言われているものです。必要に応じそれらを摂ることは病気の予防に繋がると考えられています。

ついでに、健康食品などで「SOD様」と謳っているものもあります。これらは「SODみたいな」機能というだけでSODそのものではありません。SODはタンパク質ですから食べて補えるものではありません。良質な動物性たんぱく(肉、魚、乳製品など)と植物性たんぱくを上手に摂ることが重要です。

今までの3回のブログでは「活性酸素」の「いい働き」の紹介まで進めることができませんでした。その紹介は、後半に。

足立 哲夫 博士(薬学)  岐阜薬科大学 臨床薬剤学研究室 教授

岐阜薬科大学卒業、同大学大学院修士課程修了後、岐阜薬科大学助手(薬剤学研究室)として採用。講師、助教授を経て、平成9年に学内に新設されました臨床薬剤学研究室に異動し、平成15年に教授に昇任しました。

研究室では、主にストレスによる糖尿病、動脈硬化、神経疾患などの病気の発症機序の解明、それらの病気に対する予防薬・治療薬の探索を行っています。最近、「プラズマ」というオーロラや雷などの元を医療に応用しようという試みが始まり、その研究班に参画しています。本ブログでも最終回に簡単に紹介します。

以前は「活性酸素」は体にとって悪いものということで研究を進めていましたが、そうではないことが分かってきましたから、罪滅ぼしも含め、本ブログで「活性酸素」のいい働きを紹介します。

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