達人に訊け!
敬遠されがちな魚介類を上手に描くには 2016/6/22
「ほのぼの絵手紙」の選考をしていて、花や野菜、果物の作品は毎回たくさんの応募があるのに、魚介類の絵が少ないことに気が付きました。
生臭いから「魚は苦手」と敬遠する人が多いようですが、形や色に特徴があり、描いてみると意外に面白い題材です。
魚介類といっても、鮮魚、干物からイカ、タコ、エビ、カニ、貝類までいろいろあります。最初は鮮魚、干物など形の単純なものから取り組んでみましょう。
花や果物に比べて魚は複雑な色をしています。そのために、つい塗り込み過ぎてしまい、鮮魚の生きの良さが出ません。何度も色を塗り重ねないよう、同色の濃淡を使い分けて塗る(淡い色を先に塗って、その上に濃い色を部分的に重ねる)ぐらいで仕上げることが大切です。
魚は目玉から描き始めて、口元の部分を仕上げます。顔の形で魚の表情がはっきりすれば存在感のある絵になります。魚が大きくて尾の方まで全部はがきに入らなくても結構、頭の部分だけとか、特徴のある部分を強調すればそれだけで魚の名前もわかります。特にアジの開きや、トビウオ、ハタハタ、サケなどは口元の表情がユニークで、これだけでも絵になります。
干物を描くときは、乾いた感じを出すために、筆の水分を拭き取ってかすれた線を生かすようにするとよいでしょう。目の大きさ、口元の表情、背びれ、胸びれの位置などをよく見て描いてください。
花や果物と同様、魚にも旬があります。今は何が旬かなとスーパーの鮮魚コーナーをのぞくのが楽しみになればしめたものです。
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プロフィール
1932年、愛知県西尾市生まれ。カトーデザイン代表。2017年8月死去
日本商業コンサルタント協会副理事長として、旧郵政局、旧三菱石油、名古屋商工会議所など、企業の広告宣伝、販売促進を指導。
名古屋、岡崎、西尾、碧南で絵手紙教室を主宰。愛知県碧南市広報紙で四コマ漫画連載、通信新聞社で四コマ漫画連載。
2009年〜2015年と2016年〜2017年5月まで中日新聞水曜夕刊「ほのぼの絵手紙」選者を務めた。空襲の様子や軍事教練、多くの学童疎開児童が犠牲になった三河地震(1945年1月)の被害など、自身の戦争体験を絵手紙で描き残し、次世代に伝える活動を続けた。