偉大なるUCCコーヒー株式会社 2016/7/28

6月16日(木曜日)の夜10:00からのテレビ放送「カンブリア宮殿」で、UCCコーヒー株式会社の特番をしていましたが、皆さんは観られましたか?

UCC(敬称略)は、缶コーヒーや、インスタント(ソリュブル)コーヒー、喫茶店などにコーヒー煎り豆や食材を卸す関西の大手コーヒーロースターとして有名ですね。

UCCというと缶コーヒーを思い出す方が多いのですが、日本でも、いや! 世界でもコーヒーにこれ程情熱を持って珈琲業界をリードしている素晴らしい会社はないと私は思っています。
意外!(UCCに対して失礼ですが・・)と思われる方もいるでしょうが、一般の方々がイメージする会社とは少し違うという事を少し知っていただこうと思います。

普通、ロースターといわれる会社は生豆を商社(ワタル、丸紅、三井など)から仕入れ、それを焙煎(ロースト)して、各喫茶店や豆を販売する店などに卸してしている会社で、ロースター(焙煎業者)と呼ばれています。

UCCもロースターですが、独自に「コーヒー貿易本部」という自社のコーヒー生豆商社を持っていて、自ら世界の産地から豆を輸入しています。また、いろいろな国に自社農園も持っています。

UCCブラジルコーヒー鑑定所のカッピング風景

私は、2008年にこの「UCCコーヒー貿易本部」主催の「インドネシアコーヒー産地視察」に参加させていただきました。

また、2001年にブラジルにコーヒー研修に行った時に、サンパウロにあるUCCのコーヒー鑑定所で勉強させていただきました。

当時も今も、日本の一企業が独自に鑑定所を持っているのは、たぶんUCCだけだと記憶しています。特に先代の社長の上島忠雄さんは、ブラジルでは天皇陛下よりも有名だったなんて話も聞きましたし、世界を旅した時にいろいろな国で、「上島さんは素晴らしい方!」と聞きました。

エチオピア・ハラワチャ村のコーヒー豆脱穀風景

そしてこれは1999年に私がエチオピアのコーヒー研修に行った時の話ですが、エチオピア・ハラール地方の奥地に世界で一番古いコーヒー産地といわれているハラワチャ村があります。

この村は、車で都心(ヂィレダワ)から無舗装の道を6時間もかけなければたどり着けない村で、こんなところに来る日本人は私達だけと思っていたのですが、なんと! それより20年近くも前に来た日本人がいたというではありませんか! その方は、UCCの創始者 上島忠雄氏だったのです。

上島さんが行った当時は車の通る道もなく、馬で何週間もかけてしか行けなかったそうです。
その地に行った私が言うのもなんですが、とても信じられません。

水の確保、食事の確保、セキュリティーの確保などもさることながら、コーヒーにかける気力と情熱と体力が尋常でなければとてもいけるようなところでありません。素晴らしい方だったのでしょう!

また、レ・ユニオン島の絶滅しかけていた原種の一つ「ブルボン・ポアントゥ」を何年もかけて復活させた功績なども見逃すことが出来ません。それらは、すべて上島さんの命によって行われたそうです。

その刺客として産地に送り込まれたのが、今を時めくコーヒーハンターの川島良彰氏なのです。川島さんはUCCにいて世界のコーヒー産地で勉強、実践してコーヒースペシャリストになったのです。

UCCはコーヒーの販売だけではなく、コーヒー文化にも積極的で、私が会員になっている「日本コーヒー文化学会」や「日本スペシャルティコーヒー協会」などの中心的なメンバーとして上島さん自ら重要なポストとして活躍しています。

自主製作イエメンDVD「モカに始まりモカに還る・・」

また、私がイエメンに4回行って製作したイエメンモカコーヒーのDVD「モカに始まりモカに還る(定価2,000円」を購入していただきました。その後、社長(上島達司)自らお礼と感想のお手紙を頂きました。こんな田舎の珈琲屋までにも気を配られる素晴らしい方なのです。

UCCコーヒー博物館

UCCがいかにコーヒー文化に情熱をかけているかを具現化したものに「コーヒー博物館」があります。コーヒー博物館の前館長の楠正暢(くすのき まさのぶ)さんは古くからの友人でとても珈琲業界に尽力されている素晴らしい方です。

彼が館長になってコーヒーアカデミーなども開講されたりして、コーヒー博物館もリニュアールされたり、いろいろな催しが行われるようになりました。今は定年して日本コーヒー文化学会の重鎮として活躍されています。

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「UCCコーヒー博物館」
所在地:神戸市中央区港島中町6-6-2
電話番号:078-302-8880
アクセス:ポートライナー三宮駅から「北埠頭行き」に乗車後、「南公園駅」下車、徒歩1分
営業時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始

ポートアイランドにあるUCCコーヒー博物館は、日本で唯一のコーヒー専門博物館です。展示室では、コーヒーの起源、栽培、流通、加工、文化などを映像やパネルでご紹介。特別展示室では懐かしいUCCの企業CMも見ることができ、館内を見学後にコンピュータのクイズに挑戦すると、顔写真入りのコーヒー博士認定証が貰えます!

館内には、世界のコーヒーが楽しめる喫茶室(別料金)や、ここでしか手に入らないオリジナルグッズを揃えたミュージアムショップも併設。半日でコーヒーのいろいろが体験できる「コーヒーセミナー」(要受講申し込み)などのイベントも開催し、コーヒーのある豊かな生活を提案しています。

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一会社が何十年にもわたり、それも黒字化していないとも思われる(失礼?)立派な博物館を作って運営し続けているなんて会社は、世界のどこを探してもおそらくないでしょう。日本の他の大手ロースターにもこんなことをしている会社はありません。その素晴らしいコーヒー文化に対する功績は計り知れる物ではありません。

ドリップパック

しかし、コーヒーマニアやコーヒー好きの方々はUCCのレギュラーコーヒー自体を好んで飲む方は多くはいませんが、どうしてなのでしょう?

それはなぜかというと、大きな会社は小回りが利きませんのでどうしても量を優先して質がないがしろになってしまいますし、多くの方々が好む味が中心となり、個性的な味創りというわけにはいかないのです。

また、一番の難点は流通経路の関係で、どうしてもコーヒーが古くなってしまうという事です。
どんな良いコーヒーでも古くなれば体に悪く香りも悪いコーヒーになってしまいますね。

メーカでは、真空パックや窒素置換法で6か月は美味しく飲めるといっているのですが、実際にはそれらの方法でもそんなに長く酸化を止めることは出来ません。大手ロースターのコーヒー豆は店頭に並ぶときまでには、焙煎後すでに3週間くらいたってしまうのです。

コーヒー豆の賞味期間は大体3週間〜4週間くらいですので、店頭に並ぶときはほとんどが酸化したコーヒーなのです。ましてや、粉にされたコーヒーや今はやりの粉にしたものをパック化した「ドリップパック」、アイスコーヒーをリキッドにして紙パックや瓶に詰めて売っているコーヒーなどは、どんな理由をつけても体に良いコーヒーとは言えません。

リキッドコーヒー

私達自家焙煎といわれる通称「マイクロロースター」は、鮮度を求めて自家焙煎をしている方がほとんどです。それは、経験的にコーヒーの鮮度はとても大事だという事を知っているからなのです。

実際私も、新鮮なコーヒーが手に入らずに「自分で焙煎するしかないな〜」と始めた一人で、今でも鮮度が一番重要だと思っています。再度申しますが・・・「コーヒーは質と鮮度が最も重要です!」

自家焙煎店でも、売れるからといって、パックコーヒーやリキッドコーヒーを作って売っているお店が多く見受けられますが、「何のために自家焙煎を始めたのですか?」「本音と建前が違いませんか?」といつも疑問に思ってしまいます。

大手は大手なりの役割がありますし、自家焙煎店は自家焙煎店の役割があります。自家焙煎店が大手の悪い部分をまねて、売れるから! というだけの理由で商品化するのはいかがなものでしょうか?

UCCや大手ロースターは大衆にわかりやすく受け入れられるものという役割の中にあるわけですので、缶コーヒーもインスタント(ソリュブル)コーヒーも否定するものではありません。コーヒーの世界を体系的に見ていくと自分や他の役割の図が見えてきます。

今、世界はコーヒーブームでいろいろなコーヒーが流行していますが、自家焙煎の良さを再度見つめなおすことが必要な時期なのかもしれませんね。

すべてを肯定するわけではありませんが、UCCコーヒー(株)は、いろいろな意味で、日本の珈琲業界をリードして、大きなコーヒーの波を常に起こしてきた素晴らしい会社です。

オールアバウトコーヒーに翻訳版・・UCC

最後に、UCCの大きな功績の一つに、1922年にアメリカで出版された「オールアバウト・コーヒー」の翻訳本を出版したことが上げられます。

ウィリアム・H. ユーカーズが書いたコーヒーの世界では古典中の古典、コーヒーに携わるものにとってバイブル的な存在の歴史的大著(原著約840ページ!)なのです。

次回はこの本の紹介をしたいと思います。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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