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15000円貰える? 2016/8/15
政府の28兆円にも上る経済対策が8月2日にまとまって、個人消費を少しでもあげたいとの考えで、低所得者に一人あたり15000円がばらまかれることになりました。いわゆる「簡素な給付措置」(臨時福祉給付金)の拡充バージョンです。
ただし実際に給付されるのは、来年の夏になる見通しなので、今すぐ景気をよくする効果はないですね。事務費を含めて約3700億円が補正予算案に計上される予定です。
ここで対象となる低所得者とは、住民税が非課税の約2200万人です。ただ、生活保護制度の被保険者等は除かれるので、実際の対象者はもう少し少なくなります。年収の目安は、働いている場合は年収の上限は単身で100万円、夫婦(配偶者を扶養)で156万円、夫婦と子ども1人(配偶者と子1人を扶養)で205.7万円、夫婦と子2人で255.7万円です。
公的年金受給者の場合、単身で65歳未満105万円、65歳以上155万円、夫婦(配偶者を扶養)で65歳未満171.3万円、65歳以上211万円です(生活保護基準の1級地(東京都23区等)における非課税限度額。厚生労働省HPより)。
このばらまき制度は、消費税が8%に引き上げられた2014年度から、税負担軽減を目的に始まりました。2014年には、子育て世帯に子ども1人あたり1万円を支給し、低所得者にも1万円(年金受給者は5千円上乗せ)が配られています。
2015年度は一人あたり年6千円、2016年度は3千円と規模が小さくなっていました。今回は、2019年10月の消費増税時に、軽減税率制度が導入されるまでの経過措置として、「簡素な給付措置」を前倒しする形で、来年度以降の2年半分を一括支給することとなり、2017年度は15000円がドーンと支給されます。その代わり以降の「簡素な給付」はなくなる予定です。
ただこれが消費に回らず、貯蓄されてしまうと景気はよくなりません。これまではどうだったのでしょうか。2016年度の経済白書の検証結果を見ると、2014年の1万円支給の時は、支給されなかった世帯の生活費と比較して、対象となった世帯の消費が増えたと結論づけています。果たして今回はどうでしょうか。資産額で対象者を絞る訳ではないので、貯金がたくさんある人も対象となってしまいます。
また将来への不安が強い場合は、そのまま貯蓄される可能性もあります。いずれにせよ、このような現金をばらまく方法は景気対策としてはあまり期待できません。とりあえずは支給されるまでの期間の経済状態がよくなることが重要ですね。
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プロフィール
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岐阜大学教育学部教授・博士
京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。
現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。
家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。
放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。
主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。
『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。
趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・
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