オールアバウトコーヒー 2016/8/21

UCC発売 日本語訳版 オールアバウトコーヒー

残暑お見舞い申し上げます! まだまだ暑さが厳しいですが、早いもので立秋が過ぎ暦の上では秋になりました。夏はアイスコーヒーが主流ですが、立秋を過ぎるとなぜか急にホットコーヒーに代わります。やはり暦は生きていくうえで大切な指標となりますね。

太陽太陰暦 24節気グラフ

暦の中でも、私は太陰太陽暦で暮らしています。太陰太陽暦とは、月の満ち欠けのほかに,1年間の太陽の動きを考えにいれた暦で一般には太陰暦という。この暦は大の月 (30日) と小の月 (29日) とを組合せて 12ヵ月 (平年) または 13ヵ月 (閏年) を1年としたもので,平年では 354日と 355日、閏年では 383日と 384日の4種の1年が考えられます。

月と太陽の両方の運行を考慮した非常に高度で科学的な暦なのです。四千年程前から中国の黄河流域で「農暦」として使われていたものが、六世紀後半に日本に伝来し公式に使われ始めました。

以来中国との間に2日の誤差が生じたため数回の修正を試みるなどし、天保十三年(1842年)には天文学的にも世界で最も正確な太陰太陽暦となったそうです。日本の国暦は明治五年(1872年)まで太陰太陽暦だったのですが、それ以降、一年がきっちり12か月に区切られる西洋歴(新暦)に変わったのです。

太陽暦に無理やり24節気を数字合わせしますので、どうしても季節にゆがみが出てしまうのです。よって、季節を感じるには太陽太陰暦(旧暦)で暮らすといいですよ。現に焙煎は、季節を敏感に感じ取って行いますので、太陽太陰暦(旧暦)を参考にすることをお勧めします。

1935年改訂版 オールアバウトコーヒーの原書

さて、珈琲本は数々あれど、前回でも述べたように最近の本はコーヒーの詳細な説明書や焙煎や抽出などの技術本がほとんどです。今回は今ある珈琲本のすべての基となった1922年出版の「オールアバウトコーヒー」について少しお話したいと思います。

「All About Coffee(オール・アバウト・コーヒー)」 ウイリアム・H・ユーカーズ著

1925年初刊のコーヒーについてすべてが書かれている本。歴史、産地事情、植物学、化学、医学、アメリカ流通史、生産、消費、広告史、社会(飲用習慣・提供法・器具)、芸術を網羅した原本。本文全818ページ。

日本には昭和の初期に何冊か入って来ていたようですが、昭和40年頃まではほとんど入手不可能な幻の本といわれていたそうです。当時、上野図書館にあったといわれていますがはっきりとしたことは不明です。

その後何度も改訂され、世界中の珈琲研究者のバイブルといわれるようになりました。完全改訂本は昭和4年(1929年)に出版されました。私は、数十年前に神田の古本屋で探してもらい1935年発行の改訂版を購入しました。当時、25万円したと記憶しています。

日本の、昭和初期から戦後までのコーヒー研究者の参考書となった本で、戦前戦後の刊行された珈琲本のほとんどが影響を受けているといっても過言ではありません。当時のコーヒー研究家はその大著を自分で訳して勉強していたそうですし、ある珈琲店の方は図書館にあった原書を毎日通って数か月もかけて訳して勉強したという話を聞きました。情報がない時代の先人達の努力は本当に大変だったのです。

昭和4年発売の喜多壮一郎著「カフェー コーヒー タバコ」、

昭和4年に発売された東京春陽堂刊行喜多壮一郎著の「カフェー コーヒー タバコ」、星隆造の「珈琲の知識」、昭和14年(1939年)に出版された大坪正の「珈琲論」、第2次世界大戦前に出版されていた雑誌「珈琲」や「珈琲研究」の記事に、出典は明らかにされていないのですが、オールアバウトコーヒーからの引用だと考えられるものがある。

また、井上誠の1975年に800冊限定で発売された集大成の「珈琲真求(全500ページ)」は、日本版オールアバウトコーヒーといったところです。

井上誠著 1975年発売の「珈琲真求」

UCC上島珈琲株式会社は、その歴史的な大著「オールアバウトコーヒー」の日本語訳版を
1995年に刊行しました。

原本に忠実に一字も余すことなく正確に訳した900ページを超える大著です。専門的な言葉が多く出てきますので訳するのも大変だったと思います。発行までにどれだけの労力と時間と費用を費やしたかわかりません。

それが、たった30,000円で買えるのです。また、中古市場では16000円くらいで買えてしまうのです。コーヒーを楽しみたい方には是非手元に置いておきたい一冊ですね。

勿論、昭和初期の情報のままですので、資料としては古い所もあり、現代のコーヒー事情とは少しかけ離れたところもありますが、歴史的珈琲辞典、コーヒー文化の集大成と考えると大変貴重な本なのです。

その内容は、歴史、学術、技術など各分野から多面的にコーヒーを取り上げた内容など、興味深い事柄が掲載されています。また、 写真による資料も豊富に掲載されているので、よりコーヒーを知ることができます。

■目次
第1部 歴史の分野
第2部 技術の分野
第3部 学術の分野
第4部 商取引の分野
第5部 社会の分野
第6部 芸術の分野
発行日:1995年11月
発行者:福沢晴夫
発行所:株式会社ティビーエス・ブリタニカ
企画・翻訳:UCC上島珈琲株式会社 監訳
ページ数:926ページ
サイズ(cm):幅約21×厚さ約65×高さ約27

とにかく、その本をすべて読んで理解するとなると大変ですので、まずバイブルとして所有して、わからないことが出てきたらその項目を歴史的参考書として開くことをお勧めします。珈琲に携わる方ならぜひ一冊「珈琲バイブル」として持っているだけでも良いと私は思っています。
そんな翻訳をしたUCCは素晴らしい会社でありますし、「コーヒー博物館」などの功績も含めていろいろな意味でUCCに感謝しております。

次回は戦前から戦後にかけて日本で発行された珈琲の名著を紹介したいと思います。

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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