「活性酸素」は本当は いいやつ だった その4 2016/9/10

人間は約60兆個の細胞からできていると言われています(誰が数えた?)。細胞同士はお互いにコミュニケーションをとりながら、生命体として成り立っていますが、では、どうやってコミュニケーションをとっているかというと、細胞と細胞は「シグナル伝達物質」というボールをキャッチボールしながら、情報を伝えています。

ボールにもいろんな種類があって、細胞はそれぞれのボールをうまく受け取るために何種類ものグローブを持っています。活性酸素もこのボールの一種として利用されています。

一方、一つの細胞も単なる一つのブロックではありません。一つの細胞を「工場」に例えた場合、設計図に相当する遺伝子からタンパクを作る指令を出す「核」、できたタンパクを製品化する「小胞体」、工場を稼働させるためのエネルギーを作る「ミトコンドリア」など、様々な部門が連携して細胞を動かしています。そこには必ず、各部門間の情報の素早い正確なやり取りが必要になってきます。

この情報のやり取りに活性酸素が使われています。前に活性酸素は空気中の酸素の元気さが高じた状態と紹介しましたが、ただ、この元気は長続きせず、「すぐ熱くなるけどすぐ冷める」という素早い変わり身の性格を持っています。情報が流れっぱなしにならないように、仕事を終えた活性酸素は速やかにおとなしくなるという性質をうまく使っています。

具体的には活性酸素は「セカンドメッセンジャー」と言われるタンパク質のなかのチオール(ハイチオールというお肌の薬の名前はこれ由来)という部分の形を変え、それが、また別のタンパク質の性質を変えていきます(例えば、タンパク質にリンをくっつけたり、離したりすることで性質が変わる)。

このような変化が次々と伝わって細胞の中では情報がハイスピードで伝えられます。話がややこしくなりましたが、要は活性酸素はハイスピード伝達のため、その「ON・OFF」の変わり身の素早さを買われ、情報伝達物質として細胞の正常な活動や健康の維持に役立っています。

足立 哲夫 博士(薬学)  岐阜薬科大学 臨床薬剤学研究室 教授

岐阜薬科大学卒業、同大学大学院修士課程修了後、岐阜薬科大学助手(薬剤学研究室)として採用。講師、助教授を経て、平成9年に学内に新設されました臨床薬剤学研究室に異動し、平成15年に教授に昇任しました。

研究室では、主にストレスによる糖尿病、動脈硬化、神経疾患などの病気の発症機序の解明、それらの病気に対する予防薬・治療薬の探索を行っています。最近、「プラズマ」というオーロラや雷などの元を医療に応用しようという試みが始まり、その研究班に参画しています。本ブログでも最終回に簡単に紹介します。

以前は「活性酸素」は体にとって悪いものということで研究を進めていましたが、そうではないことが分かってきましたから、罪滅ぼしも含め、本ブログで「活性酸素」のいい働きを紹介します。

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