達人に訊け!
あなたはどっち派?手羽先の“元祖”vs“世界の〜” 2012/11/15
居酒屋系名古屋メシの代表格である手羽先の唐揚。甘辛のタレ、ピリッと辛い胡椒ベースのスパイス、香ばしいゴマが味の決め手。名古屋の居酒屋では、メニューにない店を探す方が難しいほどです。
魅力は何と言ってもビールとの相性のよさ。名古屋では酒類の中でビールのシェアがダントツに高く、だからこそビールのつまみに合う手羽先もこれほど普及したと言えるのではないでしょうか。
手羽先の元祖として知られるのが「風来坊」。誕生のきっかけが発注ミスだったことは、有名な話です。
昭和38年代の創業当時、一番の人気メニューは若鶏の半身を丸ごと使ったターザン焼きでした。ところがある日、手違いで鶏肉の注文が通っておらず、しかたなく代用品として手羽先を仕入れることに。当時、手羽先は身が小さく骨が多いため、飼料やダシ用にしか使われていませんでした。
これをターザン焼き同様に調理して出したところ、身が小さい分タレのうまさが存分に引き出され、また3〜4口で食べきれるサイズの手軽さもつまみにうってつけだと大いにウケたのです。ほどなく手羽先の唐揚げは店の看板メニューとなり、その人気を原動力に「風来坊」はどんどん姉妹店を増やしていくこととなったのです。
もうひとつ、手羽先の大人気居酒屋チェーンが「世界の山ちゃん」です。こちらは昭和56年に創業し、独自にアレンジした手羽先でファンをつかみました。
創業者をモデルにしたインパクト抜群のマスコットキャラクター・鳥男が店の目印。手羽先味のキャラメルやふりかけをはじめとするオリジナルグッズなど、ユニークなイメージ戦略も一度行ったら忘れられない印象度アップに一役買っています。また、会長自ら「手羽先を考案したのは風来坊さん」と公言し、元祖の顔を立ているのもなかなか憎いところです。
両社の手羽先はそれぞれ特徴があり、見た目も異なります。「風来坊」はタレにまろやかなコクがあり肉はジューシー。「山ちゃん」はピリッ!としたスパイスが刺激的でカリッとした揚げ具合。好みによって「風来坊派」「やまちゃん派」に分かれます(もちろん、どっちも好きという人もたくさんいます)。
上の写真でどっちがどっちかすぐに分かればあなたも立派な名古屋人。見た目の違いが分かったら、味の違いを確認するためにどちらのお店にも足を運んでみてください。
(※正解は巻末)
□風来坊
□世界の山ちゃん
【※正解】
写真左が「風来坊」の元祖手羽先唐揚(1人前5本440円)、右が「世界の山ちゃん」の幻の手羽先(1人前5本400円)※写真はそれぞれ5人前
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プロフィール
グルメライター
名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋在住のフリーライター。
雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信する。Webガイドサイト「AllAbout」では名古屋ガイドを務める。
著書に『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』の名古屋メシ3部作、『東海珍名所九十九ヶ所巡り』などがある。