教育費を救う、保険・補助・奨学金のあれこれ 2016/9/1

教育費が子ども一人に1000万円はかかるというのはよく知られていますが、皆さん、どのように準備していますか。

調査(博報堂)によると、教育費を「準備している、具体的に検討している」人は88%と大多数に上ります。いつから貯蓄を始めたは、「子どもが0歳のとき」が63.2%と最も多く、「妊娠中」も8.6%なので、7割以上の家庭で生まれる前後から準備していることが分かります。中でも学資保険をしている人は6割、預貯金で準備している人が8割以上を占めます。

これまでは大学の費用を何とか準備しないといけないと考えられてきましたが、それもさることながら、昨今の情勢から文科省は私立小・中学校の授業料(平均小学校43万円、中学校41万円)を年収590万円未満の世帯を対象に、最大14万円補助する案を協議中です。

年収に応じて10万円(350万円未満)、12万円(250万円以上350万円未満)、14万円(250万円未満)が補助されるというものです。これまでは私立に通学する世帯は裕福と考えられていましたが、様々な理由から通学することがあるからとのことです。

そしてなんと言っても一番お金がかかるのが大学ですが、現在、51.3%の大学生は奨学金を利用しています。そんな頼みの綱の奨学金ですが、最近は大学卒業時に多額の借金を抱え、返還の負担が大きいと問題になっています。

これは現在の日本の公的な奨学金制度は、卒業後にお金を返さなければならない「貸与型」のみだからです。政府も返済の必要がない「給与型」の奨学金を作ろうとし始めており、年内にある程度の方向性が出てきそうです。

一方、給付型の奨学金を新設する大学も増えてきています。名古屋大学と名古屋工業大学は、6月に「ホシザキ奨学金」を設立しています。ホシザキ電機株式の全てを社長夫妻が出資して設立したSDF(ドネイション・ファウンデイション株式会社)の株式の一部を寄附として受入れ、その配当金を原資に奨学金を運用する日本初の取り組みとして話題を呼びました。また首都圏の大学が地方出身者を対象に実施している給付型奨学金も近年広がっています。

2017年度から「給付型奨学金制度」を新設する大学として、早稲田大学、立教大学等があります。早稲田大学は、児童養護施設出身者の学費を免除する奨学金制度で、生活費も補填できます。高校2,3年生を対象に9月には給付が確定するというもので、定員は10名前後の予定です。

立教大学はこれまで地方出身者向けの奨学金を首都圏の出身者にも拡充する予定です。修士の学生全員に学費の1/4に相当する額を毎年給付するという芝浦工業大学のような取り組みも開始されます。

もう一つの試みが、「住んでくれるなら、奨学金を肩代わりする」という自治体の取り組みです。すでに10県程度が導入しています。奨学金の負担を肩代わりする代わりに、地域への転入を促したいという意図で始まりました。県内の出身者で大学等を卒業後半年以内に県内に就職し、3年間就労すると4年目から返済助成をする大学や、業種を絞って県出身者でなくても利用できる大学もあります。

今後、経済が上向きにならない限り、教育費の負担はますます家計に重くのしかかってきます。高校生のうちから各種の奨学金情報を集め、なるべく負担がかからない教育のあり方を子どもと考えたいものです。

日本は海外の大学生に比べて、教育費が親がかりの割合が高いのが特徴です。国によっては、まず働いて貯金してから大学に入学するという人もいます。自分で働いて得たお金で勉強するのなら、真剣に取り組みますよね。決して子どもに申し訳ないと思う必要はありません。子どもが独り立ちするための重要な金融経済教育となるはずです。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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