今秋は、関西私鉄“乗り倒し”最後のチャンスか? 2016/10/27

すでに廃止された、関西以外で発売されていた「スルッとKANSAI 3dayチケット」

関西の私鉄を目一杯楽しむには、この秋が最後のチャンスになるかもしれません。

というのも、長年にわたり、関西の私鉄・バス乗り放題のフリーチケットとして親しまれてきた「スルッとKANSAI 3dayチケット」ですが、10月28日〜12月11日発売(有効は12月25日まで)が最後になると発表されたのです。

このチケットは、加盟社のある関西でだけ発売されるもので、毎年、春・夏・秋に発売されてきました。大人5,200円、小児2,600円で、関西一円の私鉄・バスがほぼすべて乗り放題という、なんとも嬉しい磁気カード乗車券です。

来年(2017年)3月31日をもって「スルッとKANSAI対応カード」の発売を終了し、2018年1月31日をもって自動改札機・バスでの共通利用を終了することが、今年7月1日に発表されました。この発表を受ける形で、前記フリーチケットの発売終了も発表されたのです。

ちなみに、ほぼ同じ効力があり、関西以外の全国で買うことができた「スルッとKANSAI 2day/3dayチケット」は、今年9月30日で発売を終了し、同10月31日をもって有効期間も終わっています。

比叡山坂本ケーブルにも乗れる「スルッとKANSAI 3dayチケット」

「スルッとKANSAI 3dayチケット」は、前述のとおり有効期間中の3日間、関西のほとんどの私鉄の電車とバスに乗り放題という、夢のような磁気カード乗車券です。

関西の大手私鉄5社は、ほぼ全線にわたり、バスも含めて乗り放題です。京阪の男山ケーブルや、近鉄の生駒ケーブル、南海の高野山ケーブルも利用できます。ただし、営業範囲が広い近鉄は、三重県の青山町以西、奈良県の吉野線壷阪山以北が有効範囲です。

また、京都・大阪・神戸の各地下鉄・市バスはもとより、叡山電車、京福嵐山線、大阪モノレール、能勢電鉄、神戸電鉄、山陽電鉄までも乗り放題です。これにより、東は前述の三重県青山町駅と滋賀県の大津・石山寺、西は山陽電鉄の姫路・網干まで利用できるのです。

例えば比叡山へは、京阪石山坂本線で坂本駅に行き、バスを乗り継いで比叡山坂本ケーブルまでこのチケットだけで行けます。比叡山ケーブルは、片道乗車するだけで860円です。比叡山内は京阪バスの運行ですので、これまた利用可能です。

大阪から姫路城へ行くのに、阪神の梅田から山陽姫路まで直通特急を利用すると、乗車距離91.8km、所要1時間40分ですが、追加費用は一切要りません。通常、片道運賃は1,280円ですから、往復するだけでチケット代金5,200円のほぼ半分になってしまうわけです。

高野山へも特急料金だけで行ける

南に目を転じて和歌山電鉄を目指す場合、難波から和歌山市まで運賃920円、和歌山市からJR和歌山まで和歌山バスで230円ですが、いずれも「スルッとKANSAI 3dayチケット」を使用できます。和歌山電鉄は対象に入っていませんが、同社の一日乗車券を購入します。

JR阪和線であれば、天王寺〜和歌山が860円で少し安く、さらに速いです。しかし、「スルッとKANSAI 3dayチケット」であれば、大阪市内で地下鉄に乗ったりもできるので、条件の良いホテルを選んでも、追加運賃を気にする必要がないのです。

このため、筆者は他の関西の私鉄めぐりも兼ねて行くことで、よくこのルートを使ってきました。

南海で高野山を目指す場合、難波〜極楽橋間870円に加えて、極楽橋〜高野山のケーブルカー390円が必要です。さらに、高野山駅に着いてもバスに乗り継がなければ、主だったところへ行けません。その最低運賃は290円、奥の院まで行くと410円もかかります。ところが、このバスは南海りんかんバスという南海系列のバス会社なので、「スルッとKANSAI 3dayチケット」が利用できるのです。

結果、難波から高野山奥の院まで、単純に往復しても3,340円もかかるわけです。それが、「スルッとKANSAI 3dayチケット」だけで行けるので、難波〜極楽寺間で特急「こうや」を使い、780円の特急券を追加しても良い気になりますし、橋本〜極楽寺間で観光列車「天空」を使い、指定席券510円を追加しても良い気になります。

実際、筆者は以前、東海道本線で石山駅まで行き、ここから「スルッとKANSAI 3dayチケット」の使用を開始。比叡山坂本ケーブルを利用して比叡山延暦寺に行き、翌日は大阪市内で食い倒れを楽しみ、三日目に高野山を「天空」に乗って訪ねるという使い方をしたことがあります。

この時は、帰路に大坂難波から近鉄のアーバンライナーで名古屋に戻りましたが、途中、青山町まで「スルッとKANSAI 3dayチケット」が有効です。車内で、青山町〜近鉄名古屋の運賃1,450円を追加精算して戻ってきました。

このお陰で、通算旅費はとっても少なくて済んだのでした。こんな関西乗り倒しの楽しみが、来年から気軽にやりづらくなるのか…と、いささか残念に思っているところです。

関西はこれから紅葉が見頃を迎えます。最後の「スルッとKANSAI 3dayチケット」を使って、紅葉の関西を楽しむのはいかがでしょうか。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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