母と子の絆 うお座 2016/11/16

11月中旬午後8時ごろの星空

11月の声とともに、夏の大三角は西に大きく傾き、東の空からは土星とともに冬の星座たちが顔をのぞかせている。

秋の星空には明るい星が少ないため、晩秋という響きどおりにしっとりと落ち着いている。特にみなみのうお座とおうし座の間には目立つ星があまりない。ここにはギリシャ神話“エチオピア王家の物語”で、アンドロメダ姫を襲おうとして勇者ペルセウスに退治された化けくじらが、灰色の岩となってしまっているからだ。

くじら座は全天第4位の大きさを誇る星座だが、明るいのはしっぽで光る2等星、β星のデネブカイトスだけで、他に目立つ星がないため今ひとつぱっとしない。

秋の四辺形の東と南をくの字型に取り囲むように星が並ぶうお座。控えめな星座だ

母と子の絆 うお座
ペガススの四辺形の東と西を取り囲むようにL字型に連なるうお座は、一番明るい星でも4等星という寂しい星座だ。現在のようなうお座になったのはギリシャ時代だが、原形はバビロニア時代にさかのぼる。ただし当時は、上半身がつばめで下半身が魚という、とびうおみたいな魚と、人魚が結ばれていた。

うお座は黄道12星座の一番最後の星座だが、現在は歳差によって春分点がおひつじ座からうお座に移ったため、トップの星座となった。

うお座は、黄道十二宮の一番最後の星座

うお座は黄道12星座の一番最後の星座だが、現在は歳差によって春分点がおひつじ座からうお座に移ったため、トップの星座となった。

星占いでは、2月21日から3月20日の間に生まれた人の誕生星座となる。心優しく神秘的芸術的なものに魅かれる。神の心と悪魔の欲望を兼ね備えた二面的性格を持ち、感情の落差が大きいとか・・・・・芸術家・俳優・デザイナーに向くという。

母のアフロディテと息子のエロスは、魚になって互いの緒をリボンで結び逃げた。

魚になって逃げた母アフロディテと息子エロス
ある日ギリシャの神々は、ナイル川のほとりでパーティーを開いていた。飲めや歌え宴もたけなわとなったとき、突然怪物テュフォンが、パーティーに招待されなかったことをうらんで、殴りこんできたのだ。

テュフォンといえば、ギリシャ神話に登場する怪物の中では最大級、なにしろ台風の語源になるぐらいだからね。背は天まで届き100の竜の頭を持ち下半身は大蛇、おまけに体は羽毛で覆われているという醜くさ。こんな怪物に不意打ちをくわされたのだからたまったものじゃない。

神々は、大慌てでそれぞれ得意な動物に変身して我先にと逃げ出した。そのとき美の女神アフロディテとその息子エロスは、とっさに魚に変身してナイル川に飛び込んだ。そのとき親子が離れ離れにならないように、母がお互いの尾をリボンで結んだ。その姿が空に上がってうお座になったという。まさにこのリボンは母と子の絆。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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