生物多様性は人類を救う 2016/11/20

地球は46億年前に誕生し、その後40億年前に生命が誕生した。以降、生物が進化を続けることにより、現在の「命の星」地球が誕生した。

その間、生物は5回にわたり大絶滅(原生代末期(5.7億年前)、オルドビス紀(4.4億年前)、デボン紀後期(3.7億年前)、ベルム紀末(2.5億年前)、白亜紀(6500万年前:恐竜の絶滅))を繰り返したが、その都度進化を遂げ、現在では名前がついている生物は約175万種、名前がついていない生物を加えると約3000万種が、地球上に生息・生育していると言われている。

人類はこうした生物の多様性(種の多様性、生態系の多様性、遺伝子の多様性)が保たれていることにより、多くの恩恵を受けている。

具体的には、人類は生物から以下の4つの生態系サービスに支えられていることにより、安全で安心した生活を営むことができている。

@人間が生存するに必要な基礎的サービス
(例)・生物の光合成により酸素の供給やCO2の吸収
   ・動植物に必要な栄養素の循環
A人間生活の安全・安心を長期的・効率的に保証する調整的サービス
(例)・洪水の制御や災害の防止
・気温や湿度の調整など気候変動の緩和
・水質の保全や水源地の汚染防止など安全な水の確保
B豊かな文化の根源となる文化的サービス
(例)・地域に根ざした食文化(地酒、鱒寿司等)
・地域に根ざした祭り、民謡など 
C人間にとって有用な価値を持つ供給的サービス
(例)・生物を食料や材料として利用
・生物を工業材料・医薬品・燃料等として利用
     八角→鳥インフルエンザ治療薬(タミフル)
     ニチニチソウ→抗腫瘍治療薬(ビンスラスチン)
     イチイ→抗がん剤(タキソール)
・技術開発のヒント(バイオミミクリー) 

このように人間は生物多様性から多くの恩恵を受けているが、近年人間の活動により生物多様性が損なわれており、このままの状態が続けば、いくらかの生物は進化を遂げ、生き残ることはできるが、人間は生き残ることは困難であると考えられる。

今後とも生態系の多様性を確保するためには生物のための健全な生息・生育空間の確保と日常生活・社会経済活動において、生物多様性の保全や持続可能な利用に繋がる行動をする必要がある。

稲垣隆司 岐阜薬科大学学長

岐阜県土岐市出身。岐阜薬科大学卒業、国立公衆衛生院(現国立保健医療科学院)環境衛生課程修了後、愛知県に勤務。愛知県においては大気、水質、廃棄物、自然環境等すべての環境保全行政に従事、平成16年度から環境部長、平成18年度から副知事(一期4年)を歴任。愛知県退官後は、名古屋競馬椛纒\取締役社長、学校法人名古屋学院大学理事長を歴任後、平成27年4月から岐阜薬科大学学長。その他、現在、ボランティアで愛知・東海陸上競技協会会長、愛知県レクリエーション協会会長、愛知県消防設備安全協会理事長、日本介護事業連合会東海支部長等を務める。

PR情報

記事一覧

美と健康は表裏一体

前回は、肌の老化に関して紫外線や乾燥の影響をお話ししましたが、実は、肌の老化には全身の健康状態や全身の老化も関わっています。 前回記事「見かけ年齢に大…

2019/11/30

見かけ年齢に大きなインパクトをもつ肌の老化

7月20日公開の第2回目のコラムで、見かけ年齢を左右する要因として、「シワ、シミが目立たない」、「肌ツヤが良い」、「タルミが目立たない」という肌の老化…

2019/11/20

健康情報や美容情報の氾濫に飲み込まれないようにするには

現在、シミ(肝斑に限る)用の医薬品、化粧品的なシミ・シワ・肌荒れには薬用化粧品(医薬部外品)、健康や肌状態を訴求した特定保健用食品、そして、有効性を…

2019/11/10

新しい糖尿病治療薬:経口GLP-1作動薬

第1回記事:新しい糖尿病治療薬 第2回記事:新しい糖尿病治療薬:グリフロジン製剤 筆者が薬学生だった頃、「タンパク質のような高分子は消化管から吸収され…

2019/10/30

食品の安全性を考えるB 〜食品添加物は悪者なのか?〜

今回も前回、前々回に引き続き、食品の安全性についてのお話です。今回は食品添加物について考えてみたいと思います。 前回記事『食品の安全性を考えるA 〜食…

2019/10/23

新しい糖尿病治療薬:グリフロジン製剤

第一回記事:新しい糖尿病治療薬 糖尿病と言うぐらいですから、尿に糖が排泄される病気であることは容易に想像がつくでしょう。実際、糖尿病では尿糖が陽性と…

2019/10/20

新しい糖尿病治療薬

読者の皆さんの中にも、成人病検診などで「耐糖能が悪化していますね」と言われたご経験のある方も居るのでは? かく言う筆者も、年々ヘモグロビンA1c(どの程…

2019/10/10

食品の安全性を考えるA 〜食品中に存在するリスクって何?〜

今回も前回に引き続き、食品の安全性についてのお話です。今回は食品中に存在するリスクについて考えてみたいと思います。 前回記事『食品の安全性を考える@ …

2019/10/4

食品の安全性を考える@ 〜天然由来成分は本当に安全なのか?〜

食物を食べるということは、我々人間が毎日行うごく当たり前の行為であり、また生きていく上で必要不可欠なものです。それ故に、食品は安全なものでなければな…

2019/9/10

クスリにまつわるお金のはなし 〜製薬会社のお弁当〜

日本の国民医療費は、最近では年間42兆円、一人当たり33万円を超えています。これらの費用のほとんどは、私たちが毎月収めている健康保険料や税金、患者自己負…

2019/8/30

プロフィール

19

達人に質問をする

本学は、美しい金華山と長良川などの自然に恵まれ、また歴史と文化の薫漂う岐阜市の北部に位置し、80有余年に及ぶ歴史の中で、建学の精神である「強く、正しく、明朗に」をモットーに、「人と環境に優しいグリーン・ファーマシー」を基本理念とした薬学教育を通じ、安心で安全な医療に貢献できる薬剤師や、人と環境にやさしい方法で薬を創ることのできる研究者や技術者を養成しています。

地域に生き、世界に伸びる大学として、今までの実績を基にさらに発展し続ける努力を重ねております。

関連リンク

ピックアップ

  • 中日ボイス『五輪延期に賛成反対?』
  • 会員登録
  • ログイン

企画特集(PR)

  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集