失敗したとき、どうする? 2016/11/29

ようこそおたずねくださいました。おおきに。あなた様はお元気ですか? 早いもので今年も残す所、1ヶ月です。

今の時期になると様々な方から「私は一年何をしていたのでしょうか?」という悲痛のメールをいただきます。

先日、ご門徒の奥さんが、ご主人の法事のことでお寺に来られました。

「早くにご相談しなければと、気になりながら、もう12月を迎えます。焦っていると、玄関先で転んで腕を骨折してしまい、車の運転も出来ず、ついつい延び延びになってしまいました」と仰るのです。ご主人の死から1年も経たないうちに見舞われた不慮の事故です。

「よりによって、こんな時になんでケガなんか……」

気持ちが焦り、足元を見ておられなかったのですね。

●転んだ時どうする?
もし失敗したり、後悔していることがあれば何でもない。

「転んだ時、手をつけて起きたらいい」のです。
普通ですと、転ばぬ先の杖など、転ぶ前に要領よく生きるにはどうしたらいいのか? と考えがちです。しかし、人間はどれほど努力しても、気をつけていても転ぶ時は転ぶのです。また気持ちが焦ると、先のことしかみえません。

転んだ時が起きる時なのです。

私たちの人生は、苦労の連続です。一つ問題が解決したかと思えば、また新たな苦悩が生まれてくる。まさに「転んでは起き、起きては転ぶ」人生です。

転びたくて転ぶ人などいませんが、どうしても転んでしまう人生であるならば、その転んだことをどのように受け止めていくか、そこが大事なのです。

もし、転んだことを「災難だった」としか受け止めることが出来なければ、まずその人の人生から不平不満は止むことはないでしょう。

「転んだ時が傷つく時」で終わるのはもったいないことです。

転んだことを、「自分が成長するための大事な試練なんだ」と受け止めることが出来るならば、転んだことが生きてきます。

辛くても苦しくても、転んだことを自分で背負う以外、誰も代わってくれません。

厳しいようですが、我が身に起きる一切の出来事は運が悪いのでもない、「事実に起こったこと」なのです。それが「業報の世界」と呼ばれる私たちの人生なのです。

では、日ごろから気をつけて、転ばないように精神を鍛えるか? となりますが、そこにも無理があります。

●受け止めてくれる大地
先日、和食の店にいきました。カウンター越しに大将とお話をしていたのです。 大将の日課は、早朝4時から、自転車で山に登ることだそうです。すると面白い話をしてくれたのです。

「山に登るときは、力が入るのと同時に様々な雑念がはいります。しかし下るときは、力なんていらない何も考えず爽快感でくだっていきます」と。

これは、真宗の教えにもつながるなと思ったのです。

山に登るということは、「自力」ですね。これは仏教用語で「自らの力によって仏に成ることを目指す道」です。「願(がん)」をたて、その「願」の通りに成ることを誓う教えです。

そして「行」を重ね、その「願」を成就させることによって、仏と成るに至るのです。この「行」は並大抵な努力では達成できません。

親鸞聖人はここに着目しました。

勝れた人だけしか「仏と成る」というゴールにたどり着くことができないではないか? と。

自力の教えは基本だと思います。だれだって頑張ることから始めるからです。しかし、親鸞さんは、「勝れた人だけしか苦しみから離れられないのか?」と考えられたのです。

大切なのは「受け止めてくれる大地を知る」ということなのです。

山に登るということは、上ばかりを見ています。上に昇るということは、負けてはならぬと様々なことを考えるでしょう。

しかし、下るということは、そのまま大地に向かい、仏国土をいただくことなのです。自分が立派になって救われるのではない。この阿弥陀仏の力はそれをただ受け取るだけなのです。これが「他力」の教えです。

他力といふは如来の本願力なり

親鸞聖人

転ぶこともある。転んだ時には、そっと受け止めてくれる大地に支えていただき、そこから年齢にふさわしい人生をおくりましょう。今日も「どっこらしょ」と身を大地に置いて生きていきましょう。


●お知らせ
●12月20日 中日文化センター栄 教室で
「心が元気になる講座」です
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4-1-1中日ビル4階
電 話: (フリーダイヤル)0120-53-8164 (10:00〜19:00 

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プロフィール

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真宗大谷派僧侶・アナウンサー

京都在住(福岡県出身)
20歳で真宗大谷派(東本願寺)の僧侶となる。と同時に社会経験をと、関西を中心にアナウンサーとして活躍。

15年前から立ち上げたHPでは
2007年ヤフー人名検索1位になり話題になる。「川村妙慶の日替わり法話」は一日3万件のアクセス。

現在 中日文化センター「心が元気になる講座」講師。

NHK京都、大阪文化センター講師。FBS読売文化センター講師。KBSラジオ「ほっかほっかラジオ 妙慶のちょっといい話」レギュラー。

産経新聞「明日へのヒント」・京都新聞「暖流」日経ヘルスプルミエ
連載中。

全国へ講演で回る。また著書も多数出版。

近著に「女の覚悟」講談社・「大丈夫!何とかなるから 」KKベストセラーズ、「妙慶の怒りをおさめる35の話し」こう書房 他

☆川村妙慶のテレフォン法話
075-431-7603(なむあみ)

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