イルカの飼育係というお仕事B 2012/12/21

トレーニングには道具を使うこともあります

学習とトレーニング
トレーナーとイルカたちとの間には約束があります。それは「トレーナーが指示した行動を行うと報酬として餌をもらえる」こと、そして「餌をもらえる前にはホイッスル(笛)の音が鳴る」ということです。

イルカたちはジャンプをしながら耳を澄ましています。笛の音が聞こえると約束がありますのでトレーナーの元へと戻ってきます。ジャンプをすると笛がなって餌をもらえることを学習したイルカはさらにジャンプを行おうとします。

この「ジャンプ(行動)−ホイッスル−餌」の一連の流れとその後に起こる行動頻度の増加を、心理学分野では「オペラント条件付け」とアメリカの心理学者、バラス・フレデリック・スキナー(1904-1990)が名づけ、特にこの場合の行動を「オペラント行動」、餌やそれと関連付けられた直前の行動の頻度を増加させるものを「(正の)強化子」と呼びます。
 
たとえば、携帯電話でメールのやり取りをするのは楽しいものです。大好きな恋人やご家族からのメールの着信は心がうきうきしますし、返信をした後、メールがいつ戻ってくるのか気になって、携帯電話を日に何度となく見てしまうことはありませんか?

これはメールが楽しいものであると学習していることを前提に、「携帯電話を見る」という行動が「メールの着信音や内容」という強化子で強化・維持されている「オペラント条件付け」の一例です。

イルカのトレーニングではこの原理を応用してイルカたちにさまざまな種目を教えていきます。一般的にオペラント条件付けの一連の流れは「強化の原理」と呼ばれ、イルカのトレーニングはこれに基づいて行われます。

具体的な内容は相当複雑なため、ここでは説明を省きますが、言葉の通じないイルカたちとコミュニケーションをとるための唯一無二のルールと考えていただくとよいかもしれません。詳しく知りたい方は「行動分析学」という単語で検索をしてみてください。

トレーニングの極意
難しいことも書きましたが、こんなことを知らなくても狩猟生活を行っていた古代から、人間は犬などの動物たちと慣れ親しみ、場合によっては利用もしてきました。「オペラント条件付け」について知識が無くても、経験と学習によって人間と動物は昔からコミュニケーションをとる方法を知っていたわけです。

イルカのトレーニングというと何か特別なことをするように聞こえます。確かに先に紹介した小難しい話を知っていると便利なこともありますが、物言わぬ彼らの声に耳を傾け、こちらも偽らず正直に彼らと接することが一番大切です。

相手をだまさない素直な心を持つこと、そして彼らを大好きでいることが、学習能力が高く、こちらの気持ちを常に読もうとしているイルカたちと共にうまくトレーニングを行っていく極意といえるかもしれません。

「ロケットジャンプ」はトレーニングの難易度が高く、トレーナーとイルカとの間にしっかりとした信頼関係がないと成功しません
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プロフィール

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名古屋港水族館では平成24年3月から3頭のシャチファミリーを公開しており、皆様に「海の王者」といわれる雄大な姿をご覧いただいています。また、イルカのパフォーマンス、マイワシのトルネードなどさまざまな人気イベントを開催しています。

名古屋港水族館は平成4年(1992年)にオープンした南館と平成13年(2001年)に完成した北館の二つの施設からできています。

南館の展示テーマは「南極への旅」です。それは名古屋を出発し南極に至る地球を縦断する旅の中で出会う様々な海の環境を5つに分け、「日本の海」「深海ギャラリー」「赤道の海」「オーストラリアの水辺」「南極の海」の生物の飼育展示です。ここではそれぞれ大変異なった環境に適応し生きているさまざまな生命に出会えます。

北館の展示テーマは「35億年はるかなる旅―ふたたび海へもどった動物たち」です。悠久な生命進化の歴史の中で、水中生活に適応し素晴らしい知性を発達させ、陸上の人間の地位にも匹敵するといわれる海洋の生活者であるクジラの世界を、さまざまな手法を用いて紹介しています。

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