達人に訊け!
【聞珈杯】(もんこーはい) 2016/12/7
いつもありがとうございます。
今回は、当店が11月から始めた新しい「香りのサービス」を紹介させていただきます。コーヒーで最も重要な成分といえば、コーヒー豆を焙煎することによって生成する香気成分です。コーヒー生豆を加熱処理すると、いろいろな香気成分が生成されます。コーヒー豆の香り成分は800種類くらいの香りからなっているそうです。
その成分は焙煎豆中に発生する炭酸ガスと共に広がる香りと、カップから放出する香りと、エキスの中の脂肪に含まれる香味成分でなっています。
前々回にお書きしましたが、コーヒーの香りには「フレイグランス」と「アロマ」と「フレーバー」の三種類あり、それぞれ違った香りが楽しめます。
その中でも、一番いろいろな香味を発生するのは、新鮮なコーヒー豆を挽いて、炭酸ガスと共に発生する「フレイグランス」という香りです。これは、コーヒーミル(グラインダー)で毎日コーヒーを挽いている方はすでに感じていることでしょうが・・・
豆売りの時に、「挽いてください」とご注文いただくと「挽いた時に出るこの香りを当店に残して頂くのはありがたいが、ミルを持てばこの香りを楽しんでいただけるのに・・・」といつも残念に思っています。
コーヒーは挽いた時に一番香りが放出されます。炭酸ガスは約4割放出されるといわれています。残りの6割は徐々に放出されていくのです。どんなに良い焙煎豆であっても、挽いてしまえば約2時間で半分程度の香りになってしまいます。
「まずはどんなミルでも持ってください、コーヒーの楽しさが倍以上広がりますよ!」と、私はいつも勧めています。コーヒー本来の香りを堪能するために、健康のために、まず一台ミルを持ってください。身体に良く、味も良く、とっておきのフレイグランスが楽しめますよ。
その次は、挽いたすぐの粉にお湯を注いだ時に発生する「アロマ」という香りがあります。新鮮で挽きたてのコーヒーは蒸らした時にプクッと豆が膨らみ(炭酸ガスの効果による)、素晴らしい香りを放ちます。しかし、挽いてから時間が経っていたり、焙煎後1か月以上たった古い豆は、炭酸ガスが抜け酸化も進んでしまいますので、膨らまず香りも抜けてしまいます。
アロマの香気は、お湯を差し、鼻を近づけたときに感じる香気成分です。アロマはコーヒーを抽出している間、ずっと芳香していて、最終的にはカップの中にその香りを溜めるのです。しかし、抽出中に出るアロマと比べると、カップから漂うアロマの量はとても少なく貧弱なものです。
もう一つの香り「フレーバー」は、カップより口に含んだときに感じる香気成分です。飲み込んだ後に鼻孔に広がる香りがフレーバーです。フレーバーは香りであっても、実は味「香味」なのです。試しに、鼻をつまんでコーヒーを飲んでみてください。一味足らないことに気が付くと思います。フレーバーはコーヒーには欠かせない重要な、「香り」という「味」なのです。
自分で豆から挽いて抽出して飲む方は、「フレイグランス」、「アロマ」、「フレーバー」の3種類の香りをすべて楽しむことが出来ますが、カップコーヒーを飲むだけの人は、カップから香るアロマ(抽出の時のアロマと比べるとかなり少ないのですが・・)と飲むときに鼻孔に広がるフレーバーの香りしか楽しむことが出来ませんね。
【聞珈杯】
珈琲の香りには、豆を挽くときに薫る「フレイグランス」、カップから香る「アロマ」、飲んで鼻孔に広がる「フレーバー」の三種類があります。それぞれの香りには、心を落ち着かせるセラピー効果(鎮静作用)があります。また、心筋梗塞を予防する効用もあるといわれています。特に、豆を挽いた時の香りは華やかで心安らぎます。一杯一杯丁寧にお淹れしたコーヒーと共に、まずは香りをお聞きくださいませ。
名古屋地区はモーニングサービスのメッカで、サラダや茶わん蒸し(?)などなど、各店争ってモーニングの充実に努めています。当店も少しだけモーニングを提供していますが、その時間が終わった後には、【聞珈杯】という香りのサービスをさせていただきます。
お客様には大変評判が良く、粉を持って帰る方も多くいます。特に、年配の方には「心筋梗塞予防」がヒットしているようです。「オリジナル聞杯を作っては?」などのお声も聞こえています。
また、九州の喫茶店の本を数冊出版されているライターの小坂章子さんが、聞香杯を気に入っていただき、「いなほ書房」から出ている季刊誌「四季の珈琲」43号で、さっそく記事にしていただきました。そんな、とても嬉しいことが起きているのです。
コーヒーの香り三種類を同時に楽しみたい方、興味のある方は是非、香りを堪能しに来てください。心安らかに落ち着いた時間が楽しめると思いますよ。
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プロフィール
日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)
1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。
その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。
また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。
産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。
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