誇りと埃 2016/12/18

私の日課は起床後、勤行(お正信偈のお参り)をし、その後、掃除をします。なぜ掃除をするのか? それは、ただ周りをキレイにすることだけではありません。

塵やほこりはなかなか肉眼では見えませんよね。知らない間にたまっています。いくら、払っても、すぐにまた塵やほこりは積ってきます。だからこそ、それを掃き出すのです。掃除機にたまった埃をみると、よくもここまであるなと感心します。同じように、私たちの心にも、年齢と共に「ほこり」が溜まっています。

さて、埃は埃で、私たちには「誇る心」があります。誉められると自惚れます。成功すると、自分がものすごい人間に成長したと驕ります。逆にできない人を卑下してしまいます。

●何もできないからこそ、そこに向き合う

お釈迦さまのお弟子に周利槃特(しゅりはんどく)という僧がいました。槃特(はんどく)は、経文どころか自分の名前も覚えることもできず、周りの弟子からはバカにされます。実の兄からも見放され、孤独でみじめな生活送っていました。途方に暮れ、とうとう出ていくことしかできませんでした。

そんな周利槃特の姿をご覧になったお釈迦様は、一本のほうきを手渡し、「掃除をしながら『塵を払わん、垢を除かん』と唱えよ」と周利槃特に教えられたのです。何年もその教えを守り、繰り返し続けた周利槃特はふと思ったそうです。

「塵とは何か、垢とは何か、払い除くとはどういうことなのか」と。

それは我が身にある自分の心の塵、垢を自覚し、それを捨て切ることができるのかと考えをもつことができて、ついにさとりを開いたという話です。

さて、この塵は私たちが持っている驕慢心(きょうまんしん)です。自分の考え、立場を常識にもってきて、持ち下げたりする比較の心です。

「あの人何をやっても無駄よね」
「何でこんなこともできないの」
「私こそが認められるべきよ」

など自分はまともということを前提に、できない人に怒り、人の上に立とうとする心のことです。

今度は垢です。これは、自分のしたことや考えについて執着する心のことです。努力した功績は絶対だと主張し、努力が認められなければ、相手や自分を責めてしまうのです。

またいつまでも手に入れることだけを考えるので、足元にあることを大切にできなくなります。その塵と垢を払い除かないかぎり、努力する人だけを認め、世間ではテキパキと動けない人、自分の合わない人を排除しようとするのです。

この垢がある限り、自分の視野、生き方そのものまで狭くしてしまいます。周りの人を大切にできなくなるのです。

さて、人間の考えの中で1番怖いことは「私にかぎってはまともだ。おかしいのは相手だ」と思うことではないでしょうか。

なぜなら、一度そういう目で見ると、いくら相手が正しいことを言っていても受け入れられなくなってしまうのです。

皆さんがめがねをかけているとします。なにやら文字が見ずらくなりました。眼鏡屋さんに度があってないとクレームをつけたり部屋の電気が暗いと怒ることになります。

しかし、肝心なメガネのレンズに泥がついて本当のことが見えなくなってしまうのです。私たちの心も塵と垢で見えなくなってしまっているのです。

ここで周利槃特から何を学ぶかというと、何度も同じことを繰り返すことで、気がつかせていただくことがあります。頭だけ教えを理解することではなく、この身で感じていけるのか。ということを教えてくれたようです。

常に、自分の心の塵、垢に気付き、そしてそれを払い心をひるがえして教えを聞きなおしてゆく姿勢を、現代に生きる私たちに先立って教えて下さっているのではないかと思うことです。

掃けば散り 
払えばまたも塵積る 
人の心も庭の落ち葉も


私は偉くなって救われるのではありません。何もできない我が身なのだということに頭がさげられたとき 救われるのです。

年末です。掃除をしながら、今年一年をじっくり振り返りましょう!

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「心が笑う座談会」シリーズ第2回目を開催します。今回のテーマは、

「人は、なぜ悩むのか?」

皆さんも悩み苦しむことがあるかと思いますが、そんな時、どうすればその悩みから心が解き放たれますか? 心が笑う座談会vol.2、今回も満席必至、皆さんで語り、食べ、呑みましょう?(^?^)?

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会費:4000円(特別鶏鍋・日本酒)
定員:24名

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プロフィール

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真宗大谷派僧侶・アナウンサー

京都在住(福岡県出身)
20歳で真宗大谷派(東本願寺)の僧侶となる。と同時に社会経験をと、関西を中心にアナウンサーとして活躍。

15年前から立ち上げたHPでは
2007年ヤフー人名検索1位になり話題になる。「川村妙慶の日替わり法話」は一日3万件のアクセス。

現在 中日文化センター「心が元気になる講座」講師。

NHK京都、大阪文化センター講師。FBS読売文化センター講師。KBSラジオ「ほっかほっかラジオ 妙慶のちょっといい話」レギュラー。

産経新聞「明日へのヒント」・京都新聞「暖流」日経ヘルスプルミエ
連載中。

全国へ講演で回る。また著書も多数出版。

近著に「女の覚悟」講談社・「大丈夫!何とかなるから 」KKベストセラーズ、「妙慶の怒りをおさめる35の話し」こう書房 他

☆川村妙慶のテレフォン法話
075-431-7603(なむあみ)

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