明治村の鉄道1…京都市電 2017/1/12

愛知県犬山市にある博物館明治村は、よく知られている通り、明治時代の貴重な建造物を多数移築・保存のうえ、公開しています。

明治時代は、文明開化から始まる日本の近代化の礎となった時代であり、鉄道が走りはじめた時代でもあります。また、明治村は名古屋鉄道(名鉄)が最大の寄附者となり設立され、公益財団法人が管理運営しているだけに、鉄道関連の施設が多数あることも注目です。

明治村の鉄道関連施設としてよく知られているのは、蒸気機関車や京都市電でしょう。ところが、それ以外にも意外なほど多くの鉄道関連施設があります。

今回から、そんな明治村の鉄道関連施設について、同村のご協力も得て順に紹介していきます。明治村へ行く際の参考として、ぜひご活用下さい。

その初回は、京都市電を紹介します。

京都七条駅に停車中の京都市電2号車

明治村が開村したのは昭和40(1965)年3月18日のことで、今春で52年となります。当時、京都市電2両は村内に静態保存されていましたが、開村2年後の昭和42年3月から運転をはじめました。まだ、明治村が今ほどの広さではなく、建物も徐々に増え始める時期でした。

その2両の京都市電は、昭和36年に廃止された京都市電北野線で走っていた車両です。北野線廃線当時は8号車と15号車と名乗っていた車両が、明治村にきて1号車と2号車となっています。もともと京都電気鉄道という、明治28年に日本初の路面電車を走らせた私鉄の車両です。

同鉄道が好業績を収めたことから、京都市が独自に京都市電を建設することとなり、大正7年に京都電気鉄道の路線も京都市が買収したため、京都市電となりました。

先の写真とは逆に、ポールが左手に上がっている京都市電1号車

明治村で運転されている京都市電は、明治43年から同44年にかけて製造された車両です。京都で50年以上も使用していたため、大きく改造されていましたが、8号車がオリジナルな形に復元されました。これを北野線廃止時点で、復元1号車と呼んでいたようです。

その特徴は、運転台が客室の外にあり、電気はトロリーポールから取り入れていることでしょう。後に製造される路面電車は、運転台が客室と一体となり、電気の取り入れもパンタグラフやビューゲルと呼ばれる架線との接触部分が横に長いものとなりました。

明治村では1号車とともに2号車もオリジナルの状態を維持していますので、運転士は雨の日には合羽を着て、寒い日にはコートを羽織って運転しています。一方、集電ポールは常に進行方向の後ろ側に上げることになっています。そのため、上の二つの写真は、集電ポールが車両の前後逆に上がっています。

終点では、集電ポールを車両の反対側へと回す作業が見られる

集電ポールは、折り返しとなる市電名古屋駅と品川燈台駅それぞれで、車両の反対側へと付け替える必要があります。そのため、それぞれの駅に着くと、まずは乗客を降ろし、その後に車掌さんがポールから下がっているロープを引っ張って、車両の反対側へと回す様子が見られます。トロリーポール集電がほとんど無くなった今では、貴重な作業の様子ですので、見落とさないようにしてくださいね。

ところで、京都市電は明治村で走りはじめてから約50年になります。一時期休止した時期があるものの、製造されてからだと100年を超えています。それだけに、安全面を確認するために平成22年12月20日から全面運休して、各車を入念にチェックしました。その結果、現役続行に大きな問題はないとわかり、平成24年9月28日から晴れて運転を再開しています。

なお、明治村の京都市電は「N電」と呼ばれることがあります。これは、arrow guage(狭軌)の最初の文字「N」を示しています。上述した京都電気鉄道はレールとレールの幅がJR在来線と同じ1067mmという狭軌で開業しました。ところが、その後に開業した京都市電は1435mmという標準軌で開業しています。このため、京都市は京都電気鉄道を買収した際に引き継いだ車両を区別するため、車両番号に「N」を付けることとしたため、「N電」と呼ばれるようになったものです。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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