カストルとポルックス 〜名前の由来と悲劇の物語〜 2017/1/13

1月の宵の東の空に、双子のカストルとポルックスのふたご座が昇る

星のきらめきまで凍てついてしまいそうな1月、冬の淡い天の川は、北から南へと音もなく流れる。そんな寒々とした夜、肩を組んだ双子の兄弟星座「ふたご座」が空高く昇る。

ふたご座を見つけるのはそんなに難しくない。オリオン座の1等星ベテルギウスと、おおいぬ座の1等星シリウスと、こいぬ座の1等星プロキオンを結んでできる「冬の第三角」の上、まさに天頂近くを見上げると、似たような明るさの星が5゜の間隔でならんでいるのがすぐに目に入る。ホンの少し暗い星が兄のカストル、明るい星が弟のポルックスだ。ここからオリオン座に向かって、二人の足がのびている。

ふたご座は、兄カストルと弟ポルックスが仲良く肩を組んだ姿を描いた星座

カストルとポルックスは、日本でも昔から注目されていて、兄弟星、夫婦星、またポルックスは金色に、カストルは銀色に見えることから、金星銀星とも呼ばれる。名古屋では「金さん銀さん星」といったところ。さらに、3月3日の夕方天頂近くで光ることから、お内裏様とお雛様に見立てて「ひな祭り星」なんていうしゃれた名前も付いている。

カストルは人間の子として、ポルックスは神の子として生まれた。

さて、ギリシャ神話では、カストルとポルックスは、大神ゼウスとスパルタの王妃レダの間に、双子の兄弟として生まれた。ただ、カストルは人間の子として、ポルックスは神の子として生まれてしまったがために悲劇が起こる。

やがて、二人は成長し文武両道に秀でた立派な勇者となって、アルゴ船の遠征に参加して大活躍をして一躍有名になる。その後二人は、イーダースとリュンケウス兄弟と戦うことになるが、ここでカストルはイーダースに殺されてしまう。ところがポルックスは、イーダースが投げた石が頭にあたっても、リュンケウスの槍で突かれても死ぬことができない。

ここで初めて自分が神の子だと気がついたポルックスは、兄弟の運命の違いに嘆き悲しみ、自分の命と引替えにしても兄カストルを生き返らせてほしいとゼウスに頼んだ。最初は聞く耳をもたなかったゼウスも、兄思いのポルックスの願いを聞き入れて、二人を天に上げて星にしたという。

ボーデのスターアトラスに描かれたふたご座

互いに憎み合い、壮絶な戦いを繰り広げたカストル・ポルックスとイーダース・リュンケウス二組の双子。結局残ったのはポルックス一人だった。この二組の双子の兄弟、実は血のつながりがあるのだ。

カストルの父でありポルックスの義理の父は、スパルタ国王のテュンダレオス、イーダースとリュンケウスの父は、メッセーネーの王アパレウスだ。そして、テュンダレオスは、スパルタ王オイバロスとゴルゴポネーの間に生まれた。またアパレウスは、メッセーネーの王ペリエレースとゴルゴポネーの間に生まれた。つまり、テュンダレオスとアパレウスは異父兄弟ということになる。つまり、カストル・ポルックスとイーダース・リュンケウスの二組の双子の兄弟は、従兄の関係にあるというわけだ。

カストールとポリュデウケースの双子をディオスクーロイと呼ぶ。これは「ゼウスの息子たち」という意味である。ラテン語ではGemini(ゲミニ、ジェミニ)と呼ばれ、双子を指す語として現在でも使われている。一方イーダースとリュンケウスはアパレウスにちなんでアパレーティダイ「アパレウスの子供たち」とも呼ばれ、特にイーダースは当世最強の英雄との名声が高かった。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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