3月17日名古屋に登場する“現代の大垣夜行”は豪華版 2017/3/4

かつて、名古屋と東京を結ぶ夜行列車として「大垣夜行」と呼ばれる普通列車がありました。グリーン車も連結されていて、東京で早朝から動きたいときや、東京からの帰路で新幹線に乗り遅れたときに、筆者もよくお世話になりました。

同列車は、国鉄時代の急行形電車165系から、JR東海が新製した特急形電車373系に車両が代わるとともに快速「ムーンライトながら」となりましたが、しばらくして定期運行は終了。いまでは「青春18きっぷ」有効期間内の一時期に、臨時列車としてJR東日本の車両で運転されるだけとなっています。

このように衰退した原因は、夜行高速バスの充実だと言われています。

最大156度まで倒れるリクライニングシート

その高速バス業界で、昨今、注目を浴びているのが WILLER EXPRESS (ウイラー・エクスプレス)です。

バスという限られた車内空間を、できるだけ快適に過ごせるようにと、こだわりの快適座席を開発するとともに、適切な案内やおもてなしを提供するために、乗務員に対する教育も行っているそうです。

さらに、バスにクラスを設けて、経済的な車両から快適性重視の車両まで、予算に応じて設備を選択できるようにしています。「大垣夜行」が普通車とグリーン車しかなかったのに対して、1両単位で運行するバスだけに、よりきめ細かな対応ができることを示しています。

その WILLER EXPRESS の名古屋〜東京便に、来る3月17日から最新車両が投入されます。

「ReBorn(リボーン)」と名づけられたこの新車は、なんとリクライニングシートが最大156度まで倒れます。それでいて、後ろの座席の方に気を遣う必要がありません。自席の専有面積内でリクライニングが完結するためです。

飛行機でいえばビジネスクラスに相当するこの新型車両は、一足早く2月17日大阪発から運行を開始しています。そこで、同社の協力を得て、筆者は大阪〜東京で試乗をしてきました。

通路を挟んで3列席だが、座席数は2列席車より1席少ない

車内に足を踏み入れて、まず驚くのが木目の鮮やかなフローリングです。
通路を挟んで3列席ですが、2列側も1列側とまったく同じ一人掛けのシートを並んで設置してあります。その前席背後には木目調の大きなデスクが収納されているため、床や柔らかい照明とあいまって、落ち着いた車内を演出しています。

デスク下をみると、大きくくぼんだ形状になっています。この前席下部のくぼんだ箇所はフットレストとなっていて、レッグレストと連続性のあるフラットな状態にできます。この構造から、身長が180cm台の長身な方でも体を伸ばすことができるばかりでなく、小柄な女性でも足のかかとが宙に浮くことなく安定し、座り心地が良いようにできています。

この快適な座り心地の秘密は、大きく二つあるようです。
まずは「電動ゆりかご」と呼ばれる、座面と背ずりを連動してリクライニングさせる構造。もう一つは、こだわりのシート素材を座面に2種類、背ずりにも異なるものを使い、最適化をしているのです。

さらに、シェル構造と呼ばれる貝の殻のような形のシートに体を委ねることで、バス車内でありながらプライベート感を確保できる構造としています。このため、静粛さと相俟って、安心して眠りに就くことができるというわけです。

実際、試乗してみたところ、これまでに経験したことがないほど熟睡ができ、翌日は朝から深夜まで、特に仮眠をとることもなく仕事に没頭することができました。

筆者の場合、若い頃から座席の夜行列車に寝泊まりしてきましたので、割とどこでも寝られるということもありましょうが、長時間の夜行バスは苦痛と思われている方でも、このシートであれば安心して眠り、疲れを取ることができるものと思います。

ウイラーなのに、ピンクのバスではない!

WILLER EXPRESSといえば「ピンクのバス」として知られていますが、なんと、この「ReBorn」はキャンディメタリックを基調とした車体色となっています。長年こだわり続けてきたピンクの車体色を変えたところからも、同社がいかに「ReBorn」に期待しているかが感じられます。

いま、名古屋〜東京間を走るWILLER EXPRESSの最高峰は、2列席の「COCOON(コクーン)」です。文字どおり繭に包まれたような形状の独立シートで、通路を挟んで左右各1列を斜めに配置することで19席を確保しています。リクライニング角度は最大140度です。
一方「ReBorn」は18席で、最大156度のリクライニングですから、3列席でありながらいかに余裕を持たせているかが数字からも理解ができます。実際、「COCOON」と乗り比べると、それぞれに長所があるものの、「ReBorn」の方がより快適に過ごせました。

いま名古屋〜東京間には、「COCOON」に続くクラスの「New Premium(ニュープレミアム)」という3列シート車があります。24席でリクライニング角度146度という車両を使い、1日2往復しています。そのうちの1往復が、名古屋発3月17日(金)、東京発3月18日(土)から「ReBorn」になります。
運行時刻は次の通りです。

24:00 名古屋駅西口
24:30 金山駅北口
 ↓
06:30 バスタ新宿(新宿駅南口)
07:10 東京ディズニーランド(R)

22:15 東京ディズニーランド(R)
23:10 JR大崎駅(品川区)
24:00 池袋駅西口
 ↓
06:10 名古屋南 ささしまライブ

価格は日によって変動しますが、3-4月は3月1日現在8,800〜11,300円となっています。
名古屋〜東京の新幹線「のぞみ」通常期指定席が10,890円、春休みなどの繁忙期が11,290円、エクスプレス予約で3日前までに予約するIC早特だと9,770円ですから、ほぼ同じ価格帯です。

「ReBorn」であれば熟睡できるので、ホテルが不要なうえ早朝から現地で活動ができる点を考えると、利用価値があることが理解できることでしょう。

夜行バスは、安さではなく快適さと時間の有効活用の点から利用する時代になってきたといえましょう。実際、従来の夜行バスの中心年齢が20歳台だったのが、「ReBorn」では30歳台になっているそうです。ビジネス利用が増えていることが感じられます。

バスや船などの予約ができるWILLER TRAVELのサイト内には、「高級シート特集」も登場しました。高速バスの高級化の現状を知る意味でも、一度、同サイトをご覧下さい。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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