【地名の由来22】「岐阜」の地名の意味とは? 2012/12/17

岐阜城から西方を見る(右は長良川)

よくよく考えてみると、「岐阜」という地名も難しい地名です。「愛知」「三重」「静岡」なら読めても「岐阜」を「ぎふ」と読めるのは、「岐阜」が有名だからであって、日本語に詳しくない外国の人には不思議に思える地名です。「岐阜」は信長による命名とされています。今回はその謎に迫ってみましょう。

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金華山に上ってみると、こんな山の頂上になぜ、どのように城を造ったのかと不思議に思われます。これは現代人には考えられない発想です。もともとこの城は鎌倉時代に軍事用の砦として築かれたのが始まりとされています。

この城が歴史に登場するのは斎藤道三が天文8年(1539)に入城し、ここに居城したことによります。当時は「稲葉山城」と呼ばれていましたが、永禄10年(1567)織田信長が斎藤龍興と戦って勝利を収め、城下の「井之口」という地名を「岐阜」と改称したのでした。それにちなんで「稲葉山城」も「岐阜城」と改めました。

信長はこの岐阜城下に「楽市・楽座」を設け、広く商業発展策を講じ、多くの商人で岐阜は栄えることになりました。永禄12年(1569)、この地を訪れた宣教師のルイス・フロイスがその壮麗さに驚き、書簡でポルトガルにまで伝えたことはよく知られています。

この「岐阜」の名前は、尾張「政秀寺」を開山した沢彦宗恩(たくげんそうおん)が「岐山・岐陽・岐阜」という3つの地名を提案し、信長自身が選んだとされています。これは中国の故事にならったもので、周の時代に「岐山(きざん)」という所に都を置き、そこを拠点にして殷(いん)の国を滅亡に追い込んだ縁起のいい地名とされています。「岐山」という山は西安近くに実在する山で、この山にちなんだということになっています。

「岐」という漢字は「岐路」「多岐」という用語を見てもわかるように、「枝道」とか「分かれる」という意味を持っています。それに加えて「阜」は「大きい」とか「おか(丘・岡)」の意味です。
きっと、信長にはこの金華山が左右を見分ける「大きな岡」に見えたのでしょう!

城からの眺望は息をのむほど素晴らしく、まさに「すごい!」の一言です。西は伊吹山から東は名古屋の中心街まで手に取るように見渡せます。標高はわずか329メートルなのですが、実は街とは300メートルの落差があるのです。

確かにここは「岐阜」つまり「左右を見分けることのできる岡」だったのです。450年前にもほぼ同じ眺望を信長も味わったに違いありません。「天下布武」を標榜した信長の面目躍如といったところでしょう。

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プロフィール

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ノンフィクション作家

1945年長野県松本市生まれ。東京教育大学(現筑波大学)、同大学院博士課程修了。筑波大学教授、理事・副学長を務めるも、退職と同時にノンフィクション作家に転身。

柳田国男研究をベースに、学問の狭い枠を超えた自由な発想で地名論を展開。最近出した『名古屋 地名の由来を歩く』(ベスト新書)、『地名に隠された「東京津波」』(講談社+α新書)はそれぞれご当地でベストセラーに。新著『名古屋「駅名」の謎』が好評発売中。

その他、「地名を歩く」シリーズでは「京都」「東京・江戸」「奈良」編、「駅名の謎」シリーズでは「大阪」「京都奈良」「東京」がある。テレビ・ラジオなどでも活躍。博士(教育学)。

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