【第35回】八ヶ岳南麓の“太陽と水のユートピア”「ひまわり市場」 2017/7/14

八ヶ岳を臨む山梨県北杜市の「ひまわり市場」

山梨県のスーパー「ひまわり市場」で地元の人々を笑顔にしているのは、富山県岩瀬浜漁港から直送されるキトキトの魚や確かな腕の職人が握る上質な寿司。さらに、揚げたて即完売という1枚450円の松阪牛と鹿児島黒豚でつくる「歴史的メンチカツ」(土日限定)は秀逸なネーミングとともに有名になった人気商品。でもちょっと待って。そこだけがクローズアップされがちですが、地元を大切にする「ご当地スーパー」としての魅力も満開のひまわり市場なんです。

【旅人がハマる、山麓の桃源郷】

有名な飲料メーカーの天然水ボトリング工場もあり、豊かな水資源にも恵まれている山梨県北杜市。さらに、地元の明野中学校「気象観測委員会」の観測データから「日照時間日本一」とされ、たっぷりな太陽と清らかな水で育った農産物が自慢。だから、ひまわり市場では新鮮で美味しい野菜と素材を活かしたご当地食に出会えます。

ひまわり市場のある北杜市(ほくとし)を知らないという人でも、合併前の長坂、白州、小淵沢などの町名ならピンとくるのではないでしょうか。山梨の北に位置し、八ヶ岳連峰をはじめ多くの山々を臨む高原性の冷涼な気候。リゾート地や別荘地として知られ、移住者も多い地域です。

ひまわり市場にハマり、東京の百貨店から転職し山梨に移住した、広報の林史記さん

じつは、ひまわり市場の広報・林史記さんも東京からの移住者。「東京の百貨店勤務時代、何度となく訪れたこの地でひまわり市場と出会い、地域とひまわり市場の魅力にハマり、現在に至ります」と林さん。えぇ〜〜〜っ! 人生をも変えてしまう、ひまわり市場ってどんなスーパー? 昭和のポップスで聴いた、みんなが行きたがる桃源郷「ガンダーラ」を彷彿とさせる、その引きの強さ。そして、この地に魅入られた移住者たちが生み出す地元産の食にもまた、魅力に溢れています。

〜元 証券アナリストの絶品トマト〜

おもいろトマト298円 おもいろトマトジュース500円/農業生産法人リコペル

広島県出身、大学の農学部を卒業後、野村證券でアナリストとして活躍。そんな異色のプロフィールをもつ生産者の米田茂之さんが、2014年、白州に設立したリコペル農場で栽培しているのはトマト。長い日照時間と昼夜の寒暖差、そして農業用水すら白州の清流という野菜を美味しくする環境が、この地を選んだ理由でした。

また、ハウス栽培には珍しく培地ではなく土をつかって育てているため、ほどよい酸味とコクある旨味が、みずみずしく口の中で弾ける、バランスのとれた美味しさ。おもいろトマトのジュースも水、塩、糖類不使用で、濃厚なのにフレッシュな味わいが特長。ネット販売で全国にファンをもつ人気商品です。

「おもいろ」の名は、日本の伝統色「思い色」に色が近いことと、トマトづくりに対する「想い」の気持ちを込めて「おもいろトマト」と命名。まるで漆のような深い朱色が美しい環境の中で誕生しました。


〜八ヶ岳野菜の虜 無添加ドレッシング〜

食べ歩きが趣味という福島県出身の松本千佳さんが八ヶ岳高原野菜に魅了され移住したのが11年前。近隣の知り合いを訪ねるときに手づくりドレッシングを手土産として持参したいたのが、今では地元を代表する名物「フェリチタドレッシング」となりました。

北杜市で育てられている有機野菜を使い、化学調味料、保存料、着色料は不使用の完全手づくりというスタイルは昔と何も変わりません。かつてないほどのたっぷり野菜をつかったドレッシングは、野菜サラダにかけるというより「のせる」という感覚。肉や魚、豆腐にも合う「万能ソース」として本当に役立ちます。

八ヶ岳の恵みがつまった絶品と評判で、あの料理研究家の栗原はるみさんも認めた美味しさ。秋口〜春先の期間限定「牛蒡(ごぼう)ドレッシング」も楽しみな、新・山梨土産の決定版です。

フェリチタドレッシング(胡麻、人参、玉ねぎ)各628円/フェリチタ研究所

〜旬の食材が嬉しい白州の天然水ジェラート〜

甲斐駒ヶ岳の麓にあるから「麓(ふもと)ジェラート」。横浜から家族で移住した小松 冬さんが生み出す人気ジェラートは、白州の水と山梨のフルーツが要です。

麓ジェラートは八ヶ岳ジャージー牛乳たっぷりのミルクベースと、白州の水たっぷりのソルベタイプで、そこに旬の農産物のパワーをプラスした素材重視な逸品。全制覇したくなる魅惑のラインナップは、さくら、マンゴー、ピスタチオ、バナナメープル、キウイ、ほうじ茶、そしてミルクなど。夏季はもも、すもも、ぶどうなど山梨のフルーツを味わうのに一番いい季節。秋は北杜産の新米コシヒカリも登場します。

うっかりお店が休みの水曜、木曜や、冬季休暇中(11月〜4月上旬)に「麓ジェラート」に行ってしまった人も、ひまわり市場が年中無休でよかったと安堵。そしてカップのフタに、小松さんがひとつひとつスタンプした手づくりハンコの味わいも、お見逃しなきように。

麓ジェラート 各300円

【自然の力を感じる八ヶ岳南麓のご当地食】

八ヶ岳南麓には自然を活かし、自然とともに生きる人々の多いことを食を通して感じることができます。


〜有名シェフも指名する湧水育ちの川魚〜

山の中だから食べられる美味しい魚の刺身があります。「八ヶ岳サーモン」と呼ばれる、清里の川魚専門店みやまが八ヶ岳の湧水で養殖している鱒のこと。そのほか、焼き魚用の「虹ます」、エラと内臓を除いた「いわな」と「いわなの刺身」も新鮮なまま店頭へ。年間を通し12℃という名水のおかげで、川魚特有の臭みがなく、有名シェフも指名するという「みやま」の川魚をスーパーで入手可能できる幸せも味わえます。

(左上)ひまわり市場で一番の目利きと呼ばれる鮮魚バイヤー・石井正大さん (右上)八ヶ岳サーモン刺身550円 (左下)いわな刺身580円 (右下)虹ます2尾440円/川魚専門店みやま

〜天然酵母の楽園で充実のパンライフ〜

八ヶ岳周辺は「国産小麦と天然酵母」をつかったパン好きにとって天国です。高原の気候と美味しい水が天然酵母の発酵に欠かせない、こだわりのベーカリーが多く、毎日がパン祭りのようなひまわり市場。「Sweets & Bread麦の家」「おいしい学校 パン工房」「びーはっぴぃ」「Live & Breadチェチェメニ」「steamed muffin & sconeヴァプール」など、地元の人気店の味が一堂に会する夢の空間。 ※各ベーカリーで納品日が異なります

ハード系のお店が多い中でフワフワ系マフィンをつくるのは、東京から移住した杉本夫妻。東京在住時から、蒸しパンづくりを趣味として深めていたのは妻の杉本 霞さん。子どもが喜んでくれるいつもの蒸しパンを八ヶ岳の水でつくったところ、とても美味しくできたことが現在につながりました。

「ヴァプール」はフランス語で「蒸す」の意味で、看板商品は「スチマさん」と呼ぶスチームマフィン。原料は国産小麦、甜菜糖、塩、水、と酒粕由来の天然自家製酵母と地元野菜で、小さい子どもに毎日でも食べさせたいと、近隣の子育て中のお母さんたちに支持されています。

(上)スチームマフィン(ソイパンプキン)190円/ヴァプール (左)コンプレひまわりタネ330円/チェチェメニ (右)クルミのタルト250円/麦の家 (

〜食を愉しむワインを「よき仲間」とともに〜

大正6年創業の山梨を代表するワイナリー「サドヤ」。食事と一緒に楽しむワインづくりを基本とする同社だからできた、ひまわり市場オリジナルワイン。和食や魚介との相性がいい「ベル・エキップ甲州シュール・リー2016」は甲州ぶどうの辛口白。一方の赤ワインは、原料のぶどうを出来る限り北杜市のぶどうにこだわった、その名も「ベル・エキップひまわり」。「ベル・エキップ」はフランス語で「よき仲間」。その名には、つくり手とひまわり市場、そして「よき仲間」とワインで乾杯するであろう消費者も含めた、八ヶ岳や自然を通してつながるすべての人々への想いが込められています。

「ベル・エキップ甲州シュール・リー2016」1800円 「ベル・エキップひまわり」3000円/サドヤ

【必見! “魂のPOP”と“炎のマイクパフォーマンス”】

2006年に現社長・那波秀和さんがひまわり市場を引き継いだ直後は、とくに個性的なスーパーではなかったといいます。やがて自分で探したこだわり食品をなんとか伝えたいと書き始めたPOPと社長自らマイクを握るアナウンス。その様子がSNSで投稿されると独自な世界に惹きつけられるように、地元はもとより全国からお客さんがやってくるようになりました。

じつはツッコミどころも満載のPOP。「おいおい」と突っ込んでみてください。でも不思議とそのあとに、じんわり心にしみるのが魂のPOP

大手スーパーのように数人のバイヤーが販売商品を決めるのではなく、スタッフ全員がいつでも自分のオススメ商品を探し、仕入れて売り切るというスタイルのため、本気で伝えたい“魂のPOP”になるのだと、広報の林さん。そんな熱すぎるPOPですが、真理を突いた言葉選びが、人の心をとらえています。

そんなPOPやマイクパフォーマンスは「伝えたい!」という気持ちにさせる商品があってこそ。ひまわり市場には魅惑のご当地食が盛りだくさんです。もちろん、地元商品への愛情は全国トップレベル。太陽と水のユートピアに満ち溢れる、商売繁盛の「気」を感じに、お出かけしてみてはいかがでしょうか。ただし、移住することになっても、当方は責任を負いかねます。

《取材店舗》

ひまわり市場
住所:山梨県北杜市大泉町谷戸2008
電話:0551-38-4744
営業時間:9:30〜20:00(年中無休)


※記事中の価格は税別価格で取材時のものです。また紹介した商品は常時取り扱いがあるとは限りません。

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東京在住。2012年に出版した著書が話題となり、出演したテレビ番組で紹介した岐阜県高山市の隠れた日常食「あげづけ」が大ブレーク。現在は、テレビ出演や新聞・雑誌の連載、講演活動をこなしつつ、子育ての隙をみて、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。新刊「東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食」(ぴあMOOK中部)

著書/『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見〜つけた!』(講談社)

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