自然と正しくつきあうために 有毒キノコについて(その1) 2017/9/26

道の駅で販売されるキノコ

実りの秋を迎え、キノコ類は食卓を彩る食材として欠かすことのできないものです。それと同時に日本各地でキノコ中毒の報道が目につくようになります。以前、植物の誤食についての話をしましたが、誤食という点では植物よりキノコの方が重篤な症状を起こすことが多いのです。

シイタケやシメジのように栽培法が確立されているものは安心して口にできるのですが、誤食で問題になるのはほとんどが野山で採集したものの誤同定つまり食用と有毒キノコを間違えてしまうことにあります。

中日新聞8月24日付の記事では名古屋市港区の荒子川公園に自生する毒キノコを食べた三人が食中毒を起こしたと報道されました。この事件ではオオシロカラカサタケが原因で記事を読む限り誤食ではないようです。キノコの場合、致死的なものも多く、知らないものを口にすべきではありません。

有毒キノコはおおまかに分類すると次のようになります。

毒キノコの中毒症状による分類(かっこないは有毒成分)
【1】胃腸障害を引き起こすキノコ・・・ツキヨタケ、イッポンシメジ、クサウラベニタケ、カキシメジ、ニガクリタケなど
【2】肝障害を引き起こす猛毒キノコ(アマトキシン群)・・・タマゴテングタケ、ドクツルタケ、コタマゴテングタケなど
【3】めまいや痙攣を引き起こすキノコ(イボテン酸)・・・テングタケ、ベニテングタケ、イボテングタケなど
【4】酒を飲む前後に食べると中毒を引き起こすキノコ(コプリン群)・・・ヒトヨタケ、ホテイシメジなど
【5】手足の先が腫れ、激痛が1ヶ月以上続くキノコ・・・ドクササコ
【6】幻覚症状を引き起こすキノコ(シロシビン群)・・・オオシビレタケ、ヒカゲシビレタケなど

キノコの同定は植物の場合よりもむずかしく、野山のキノコを食する場合はかなりの知識が必要となります。詳しい情報は次のウェブサイトをご覧下さい。
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル


最近、道の駅などで写真のように各地で採集・栽培されたキノコが販売されるようになりました。冒頭の写真は中津川市のものです。その地域の人が丹精込めた商品なので基本的に安心できるものですが、このような事件も起こるようになりました。東京新聞 2010年10月3日の東京新聞の記事です。(抜粋)

毒キノコ誤って販売? 錦糸公園の「すみだまつり」
東京都墨田区は二日、同区錦糸の錦糸公園で同日開かれた「すみだまつり」(同区主催)で、誤って毒キノコが販売された可能性がある、と発表した。ニガクリタケという毒性が強いキノコで、同区は「購入者はすぐに、区に届け出てほしい」と注意を呼び掛けている。(中略)「ニガクリタケとクリタケは専門家でも見分けにくい。特に今年は天候が悪く、色や形状が例年と違うことがあったため、見極めが難しかった」と説明したという.区は二日夜から区内に広報車を二台巡回させ、注意を呼び掛けている。

結果的に被害は出なかったようですが、各地で物産展がさかんに開かれるようになった現在、こういうリスクもあることを知っておくべきでしょう。

つづき「自然と正しくつきあうために 有毒キノコについて(その2)」は明日9/27に公開します。

岐阜薬科大学教授(薬用資源学)
田中稔幸

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