「こんなにしてやったのに」という怒り 2017/9/24

●親切が裏目に出た

ようこそおたずねくださいました。朝夕と涼しく過ごしやすい気候になりましたね。

先日、後輩と食事をしました。後輩がなぜかいらいらしています。事情を聞くと、「先週、ある方にお見合いの世話をしたのですが、喫茶店の代金、私が払ったのですよ。無神経だと思いませんか?また後の報告もないのです。」と怒り心頭です。

「人の為にと思ってしたことが裏目に出た」という経験はありませんか?例えば、お金がないというからランチをおごってあげたのに、他人にもおごってもらってることがわかった。仕事がないというから紹介してやったのにお礼の連絡もない。せっかくの親切が裏切られた結果となるのです。

そんなとき、なぜ腹が立つのでしょうか。理由は2つあります。

一つは、相手に期待した分、見返りがないからです。お見合いの紹介をして感謝されると思ったのに感謝されなかった。ランチをおごったのにお礼どころか、他でもおごってもらってることがわかった。こちらは同情しておごったのに、同情どころか要領のよい人だったことがわかり、悔しい思いが出てきたのです。

そこには、「私がこの人を支えた」という驕(おご)りが出ていたからです。それが他にも支えてくれる人はいたということがわかった瞬間、「私だけに頼ったのではないの?」という寂しさから「あの八方美人何よ」と怒りに変わっていったのです。

おごるというのは気前のよさです。人情味あふれた好意なのですが、そこに目にみえないお返しという糸がくっつくと、期待を裏切られたとき、腹がたつのです。

●それぞれの立場で見たらいい

私は年齢に関係なく色んな方と食事を楽しみます。年下の方と食事をするときはほとんど私が支払います。年上の方から誘われたときは、ケースバイケースでおごっていただくこともありますし、お世話になった方は、私の方から接待させていただくこともあります。なぜかというと、私もやっとそのような立場になれたということです。

若い頃は家賃を払うのがやっとでそれは厳しい経済状態でした。そんな時、たまに食事へさそってくださる方がいたのです。「いつかちゃんとした収入をいただけるようになったら、ご馳走させてくださいね」と伝えると、その方は「私にしなくていいよ。あなたが収入を得たとき、今度は若い人にしてあげなさい。」とおっしゃいました。そのとき、おごったことをそこで捨てているなと思ったのです。

その言葉が今でも残っているので、年下の方には「私も過去、お世話になってきたから今度は若い人にエールを送るつもりで支払っているのよ」と伝えています。

さて、仏教では義捐金と義援金の違いをはっきりします。義援というのは援助の中には見返りが少し入っているのです。

しかし義捐の「捐」は捨てるという意味です。したことはその場で捨てて、させていただいたことを喜ぶということです。お陰で私も楽しい時間を得たのだからとしてあげたことだけではなく、楽しめたことを喜びましょう。

●良い人になるというのは錯覚

2つ目は「他人に対し、良い人を演じ過ぎている」ということです。

人間には性分というのがあります。どうしても放っておけないというのも性分です。困っている人がいたら助けないと気がすまないというものがあるのです。例えば、「引越しすると聞いたから、運送やさんのパンフレット集めておいたから」と、相手の気持ちを聞くこともなく、先手を打って何かをしておくということです。そこで喜ぶ人もいますが、そこまで私的なことに入り込まないでと感じる方もいますね。

先日、友人があるホールで音響のスタッフとして入ってるということを聞き、お弁当の差し入れをしたのです。すると友人は「実は、このホールにある食堂で食べるのが楽しみで、弁当は要らないんだ」と言われました。なるほど、友人なりの楽しみがあったのですね。それがわかると納得したものです。もし腹をたてたなら、「親切な人」と感謝されたかったでしょう。

「よい人に思われたい。」この気持ちが強すぎると、相手を追い込んでしまうのかもしれません。私が何かをしなくても、この人は楽しむのだなと見方をかえたとき、楽になったものです。

近くのお寺の掲示板に「こんなにしてやってるのにと愚痴が出る」と書かれていました。

せっかく親切したのに、お礼もない。こんなにあの人に尽くしたのに、愛されなかった。「してやる」というのは上から目線です。私の「こうしてあげたい」という思いは、相手にとって押し付けになることもあるのです。

会話の中から、「私が」と自我を強くして主導権を持つのではなくて、「私も友人の1人として何ができるかな」と思えばいいのでしょう。

「してやる」から、困ったことや苦しみに共感する関係をもつことが大切なのですね。

親切はその場で捨てて帰ろう
持ち帰ると愚痴がでますよ

●お知らせ
川村妙慶の心が元気になる講座
10月10日 火曜日
午後 18時30分より
中日文化センター栄 教室にて
ぜひ お気軽に受講ください
お申し込み 0120−53−8164

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真宗大谷派僧侶・アナウンサー

京都在住(福岡県出身)
20歳で真宗大谷派(東本願寺)の僧侶となる。と同時に社会経験をと、関西を中心にアナウンサーとして活躍。

15年前から立ち上げたHPでは
2007年ヤフー人名検索1位になり話題になる。「川村妙慶の日替わり法話」は一日3万件のアクセス。

現在 中日文化センター「心が元気になる講座」講師。

NHK京都、大阪文化センター講師。FBS読売文化センター講師。KBSラジオ「ほっかほっかラジオ 妙慶のちょっといい話」レギュラー。

産経新聞「明日へのヒント」・京都新聞「暖流」日経ヘルスプルミエ
連載中。

全国へ講演で回る。また著書も多数出版。

近著に「女の覚悟」講談社・「大丈夫!何とかなるから 」KKベストセラーズ、「妙慶の怒りをおさめる35の話し」こう書房 他

☆川村妙慶のテレフォン法話
075-431-7603(なむあみ)

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