決定版「教育費の無償化」まとめ 2017/12/14

迷走していましたが、「新たな経済政策」の「人づくり革命」という何やら怖いような名前で幼児教育の無償化も待機児童の解消、高等教育の無償化の政策が決まりました。どんどん何でもアリの感じになっています。財源は本当に足りるのでしょうか・・・。

1.幼児教育の無償化
2019年4月から一部開始、20年から全面実施。消費税と企業拠出金から3歳〜5歳児の無償化に8000億円、0歳〜2歳児の無償化に100億円弱。現在、既に生活保護世帯、住民税非課税世帯の第二子以降は保育料が無料です。高所得世帯ほど保育料が高いため、無償化の恩恵は高所得者ほど高くなります。

@認可保育園
・0歳〜2歳児: 住民税非課税世帯(年収250万円未満)に限定して無償化。全ての子どもに拡大されます。特に0歳〜1歳は、短時間勤務や男性の育児休業取得を後押しします。
・3歳〜5歳児: 全世帯が対象です。つまり高所得世帯も含まれます。

A認可外保育園(当初は対象外でしたが反発が強く対象に)
・0歳〜2歳児:  住民税非課税世帯(年収250万円未満)に限定して無償化。ただし対象範囲や支給上限は来夏までに検討される予定で、未定。補助も上限額を設けて補助の予定ですが、未定です。ますます認可施設へ希望者が殺到しそうです。

B幼稚園:3歳〜5歳児:全世帯が対象です。預かり保育などは未定ですが、公定価格の上限2万5700円を補助することが決まっています。

2.待機児童の解消
@待機児童問題: 無償化よりも優先課題であった待機児童の解消ですが、4月時点で約2万6千人の待機児童に対して、17年度末までにゼロにするはずだった目標は20年度末までに32万人の保育の受け皿を準備する方向に先送りされました。一応「子育て安心プラン」を前倒しすることになっていますが、無料になれば預ける人が増えて、余計待機児童が増えるのではないかという懸念もあります。

A保育士の待遇改善:19年4月から1%(月3千円相当)の賃上げ予定です。教育の無償化に約1兆6000億円ものお金が使われるのに対して、保育所の整備に3000億円と3000円の賃上げは何とも少ないのではないでしょうか。無償化しても、場所を作っても、保育士が不足していては始まりません。

3.高等教育(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校)の無償化
20年度実施予定。消費税と企業拠出金から7000億〜8000億円。

@授業料・入学金:住民税非課税世帯は、一定の成績要件などを満たせば国立大学の授業料(約54万円)が免除されます。生活費も支給されます。私立の場合は、国立の授業料に上乗せして一定額まで免除されます。入学金も免除されます。非課税世帯に準ずる低所得世帯への支援も拡充されます(要件等は今後検討)

A給付型奨学金:学業の専念に必要な生活費を賄えるように支給額が大幅増。高校時の成績だけでなく、在学中の学習状況も確認します。

4.私立高校の授業料の無償化
2020年度から。640億円(一般会計から)

現在、公立高校は年収約910万円未満の世帯は無料となっています。私立高校の場合は、所得に応じて支援金が加算されています。これが20年度から、@住民税非課税世帯は平均授業料(年約39万円)を全額支給するので実質無償化、A年収約350万円未満世帯は最大35万円を支給、B年収約590万円未満世帯は最大25万円を支給するため、まずは財源を20年度末までに確保して実現することになったようです。ということはまだ財源が確保できていません。大丈夫なのでしょうか。

「人づくり革命」。言葉が大きくなると、金額も大きくなります。教育費の無償化が悪いのではありません。以前も書きましたが、もともと使う必要があった社会保障費を賄う借金の返済にあてるはずだった消費税収の1.7兆円。高所得者も含めて無償化とは。往きはよいよい帰りは怖い。というか帰りがあるといいのですが・・・・。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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