選手に合わせ自由自在 戦術も育成も 三重高等学校・小島紳【注目校監督】 2018/7/10

今春の選抜大会で4強入りした三重の小島紳監督

 監督として初めての夏を迎える。平成生まれの監督として甲子園に初出場し、初采配となった選抜大会では堂々の4強入り。各校が「打倒三重」を目標に掲げ、目の色を変えてぶつかってくるのは百も承知している。「この夏は春のことをどれだけ忘れられるかが鍵になる。もう一度、チャレンジャー精神で戦う」と、春夏連続出場へ照準を合わせる。

 いつまでも春の実績にあぐらをかいているつもりはない。他校は夏に向けてどんどん成長している。油断すると足をすくわれる。受け身になることだけは絶対に避けたい。甲子園を沸かせたメンバーからレギュラー2人が入れ替わる予定。チーム内の競争をあおりながら、他校の挑戦を受けて立つ構えだ。

 選抜大会開幕前の前評判は決して高くなかった。それでも「上位に進めるチームだと思っていた」と選手を信頼。初戦の2回戦で強豪の日大三(東京)との対戦が決まると、しっかり調整して8−0で快勝。以後も予想していたとおりに二つの白星を積み重ねた。準決勝は延長十二回の激闘の末、大阪桐蔭に敗れた。「歴史に残るので、甲子園で史上初のタイブレークをやりたかった」と苦笑交じりに振り返る。

 この大会で高校野球ファンに強烈なインパクトを与えたのは、「いけいけ野球」と評された攻撃だった。バントを用いず、強攻策で相手を圧倒。「打高投低」の傾向が顕著になった近年の甲子園でも異彩を放った。

選手とコミュニケーションをしていく上で大きな支えとなっているのが中村好治・現総監督

 「自分の作戦、戦術というより、選手たちがやりたがっている野球をやった」と事情を明かす。だから1年後、2年後も同じようなチームカラーになっているとは限らない。選手の顔触れは毎年変わる。個々の特徴などを尊重しながら方針を立てていく。

 攻撃型から一変し、守りや走塁などで勝負するようなチームになっているかもしれない。臨機応変に対応。「せっかくうちに入ってきてくれた選手たちなので、どう成長させるか」の一点に腐心する。

 監督生活はまだ1年に満たない。副部長時代は選手に厳しい言葉で叱ったこともある。監督になるとチーム全体に気配り、目配りが必要になる。そこで大きな支えとなっているのが2014年夏の甲子園で準優勝に導いた中村好治・現総監督の存在だ。

 64歳の総監督の選手との接し方には心を奪われる。孫のような少年たちの懐に自然に入り込んでいき、巧みに本音を引き出していく。選手操縦は大いに参考になった。

 だから監督に就任した昨夏から選手とのコミュニケーションを特に大事にしてきた。その成果が選抜大会でのベスト4。「やってきたことが間違いではなかった」と、今後のチームづくりに自信を与えてくれた大会でもあった。

 2014年以降、夏の甲子園出場はない。昨年は決勝で敗れるなど近いようで遠かった。「やっぱり夏に行きたい」と、足元をしっかり固めて4年ぶりの頂点をうかがう。

【プロフィール】こじま・しん 愛知・中京大中京高−三重大で捕手。2012年から三重高の副部長を務めた後、17年8月に監督に就任。保健体育科教諭。愛知県豊橋市出身。29歳。

(2018年の「高校野球県大会見どころ解説」はこれで終了です)

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1955年生まれ。スポーツ紙記者を経て、中日新聞編集局運動部記者。

記者としてプロ野球や甲子園大会などの野球取材一筋30年。応援するチームは福岡ソフトバンクホークス。心に残った甲子園のベストゲームは1998年夏の横浜−明徳義塾。

長年に渡る野球取材の経験から、今年の地方大会の見どころや、情熱を持って選手の指導にあたる監督へのインタビューなどをじっくりお届けします。

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