明治村に蒸気機関車の女性運転士が誕生 2019/2/9

1月23日に機関士デビューを果たした永井美和さん

明治村には、明治時代に動いていた乗り物として、旧京都市電の通称“N電”とともに蒸気機関車(SL)が走っています。いずれも明治時代に新製された本物なのは、明治村ならではのことでしょう。

その蒸気機関車を運転する機関士として、去る1月23日に女性機関士がデビューしました。

2016年12月3日公開の当コラムで、京都市電の運転士として紹介した永井美和さんです。当時、いずれは蒸気機関車の運転も目指したいといっていた永井さんですが、それから2年強で早くも夢を実現させてしまいました。

正確なブレーキ操作が必要な連結もお手のもの(右の運転室にいるのが永井さん)

明治村で蒸気機関車の運転を担当する機関士は、永井さんが加わって4名になりました。

蒸気機関車の場合、石炭を燃やして作った蒸気で走るため、カマ焚きと呼ばれる機関助士と運転を担当する機関士の2名が乗務する必要があります。それだけに、従来の3名体制では余裕がなく、永井さんの加入で大いに助かっていると上司である近藤主任が実感をこめて語って下さいました。

明治村の場合、この4名が機関士役と機関助士役を交替でこなしているそうですが、独り立ちしたばかりの永井さんは、いまのところ主に機関士を担当することで、運転技術を磨いているところだそうです。

しかし、実際の運転の様子をみていると、ブレーキ操作が難しい転車台上での停止や客車との連結でも、先輩諸氏と変わらぬ安定したブレーキングをこなしていました。

機関車が載った転車台を人力で回すには全身の力が必要

永井さんは2016年9月に京都市電の運転士としてデビューしたあと、翌年2月からは蒸機列車の車掌も経験したそうです。

記録的猛暑だった昨年7月から機関助士の訓練をはじめ、一日2リットルの水を飲み干すほどの厳しい日々を過ごして9月に機関助士として認められ、その後に機関士としての訓練を受けてきました。

蒸気機関車の場合、運転をするには運転技能に加えて二級ボイラー技師以上の免許取得も義務づけられていますが、もちろん機関助士になるに際して同免許も取得しています。

いまも週に1度は京都市電の運転を担当するという永井さんに、蒸機運転との違いを聞いてみました。

京都市電はノッチ(車でいうアクセル)を回せば自動的に加速していくのに対して、蒸気機関車は加減弁と呼ぶ蒸気使用量を調節する弁の位置が、そのときの蒸気圧によって変わるので難しいとのことです。

また、一気に加速しようとすると動輪がレール上を空回りする“空転”をしやすい点も、蒸機運転の難しさだとのこと。上り勾配の雨天時などは特に要注意とされることですが、これから四季折々の変化に合わせた運転を習得していくことでしょう。

二人目の女性運転士も京都市電に誕生

今回、取材にうかがった明治村では、もう一人の女性運転士が活躍している様子を見かけました。

パートタイムスタッフとして京都市電の運転訓練を受けている中川真知さんでした。
明治村としては、永井さんに次ぐ二人目の女性運転士だそうです。訓練中とはいえ、ご覧の通りすでに堂々たるハンドルさばきを披露されています。

明治村としては、男女を問わず意欲ある人材が活躍できる場として、今後も運転業務についても担当者を育てていきたいとのことです。

女性の社会進出が進む日本において、鉄道は男の世界という既成概念が、明治をテーマとする明治村でも消え去ろうとしています。

新たな元号が3ヶ月後にはじまることで明治はますます遠くなりますが、その明治の文化・技術を伝承しつつ次の時代に向けた試みを続ける明治村は、ますます楽しくなってきたようです。

ところで、2014年6月から展示されている「名電1号」は、当初予定通り2020年3月までの展示…つまり、あと1年強で展示終了です。未訪問の方は早めにおいでください。そして、永井さんや中川さんが元気に活躍されている姿をご覧下さい。ただし、運転日は固定されていませんので、その点はご了承下さいね。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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