黄道十二宮かに座が見ごろ 2019/3/13

3月の宵、ふたご座としし座に挟まれたかに座が静かに南中する

●黄道十二宮4番目のかに座
 冬の厳しい寒さがゆるみ、春の気配を予感する3月の夜半前、春の星座のトップバッター「かに座」が天頂近くに南中する。4等以下の暗い星ばかりで忘れてしまいそうな「かに座」だが、ラッキーだったのは、太陽の通り道である黄道上にあったこと。おかげで5000年前の古代バビロニア時代から、「かに座」として存在している歴史のある星座なのだ。

かに座は、黄道十二宮4番目の星座。(6月22日〜7月23日に生まれた人の星座)

「かに座」を探すのはそんなに難しくない。ふたご座のポルックスとしし座のレグルスの中間あたりに、星雲状のぼやっとした天体が見つかれば、それがカニの甲羅だと思えばいい。実はかに座のγ(ガンマ)−δ(デルタ)−θ(シータ)−η(イータ)星がつくる四角の中にある散開星団M44が肉眼でかすかに見えているのだ。この星団プレセペの名前で知られている。

このプレセペという響き、レストランの名にでもありそうな感じがしないでもないが、なんと家畜にえさを与えるときに使う「かいば桶」という意味、つまり午やロバのレストランということだ。イギリスでは、この星団のことを、ビーハイブ(蜂の巣)というお洒落な名で呼んでいる。さすが紳士の国だ。

蟹の甲羅の上には、散開星団プレセペ(M44)がちりばめられている。双眼鏡で美しい。

 一方中国では、プレセペが春霞の中にぼんやりと見えることから、積尸気(ししき)と呼んでいるが、これは積み重ねられた屍から立ち上る妖気のことだ。あなたにはどんなふうに感じられるか、ぜひ双眼鏡で見ていただきたい。

かに座は、勇者ヘルクレスに踏みつぶされたあわれな化けガニだが・・・

 さて、ギリシャ神話では「かに座」は、友だちで9本の首を持つ怪物ヒュドラと、レルネーの沼で平和に暮らす化けガニのことだ。ところがひょんなことから事件に巻き込まれ、命を落としてしまうことになる。事件とは、勇者ヘルクレスの冒険物語の、第2番目の相手が友だちのヒュドラだったのだ。

 ヘルクレスとヒュドラとの戦いは壮絶だった。最初のうち互角に戦っていたヒュドラだが、さすがにヘルクレスの怪力にはかなわなかった。そのようすをものかげから見ていた、気は小さいがりちぎな化けガニは、ともだちのピンチを救うために思わず飛び出すと、はさみでヘルクレスの足をありったけの力で挟むのである。ところが大男のヘルクレスにとっては足にくすぐったさを感じただけ、カニを振り払うとその大きな足で踏み潰してしまった。このようすを一部始終見ていた女神ヘラは、ぺちゃんこになった友だち思いの哀れなカニを天に上げて星にしたという。この事件が起こってからカニは薄っぺら姿になり横にしか歩けなくなったとか。

 それにしても、ヒドラの危機を見て見ぬ振りをしていたら命を落とさずに済んだのに、友だちを救おうと飛び出していった気弱なカニは、勇敢なのか愚かなのか、この判断は読者に任せることにしよう。ちなみに私もかに座生まれ、常々このカニのように勇気を持ちたいと思っているのだが・・・・・

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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