素敵な珈琲屋訪問 2019/3/20

Cobaco ne cobaco(コバコ・ネ・コバコ)

いつもありがとうございます。

東海地区は昔から喫茶文化の盛況な地域で、特に名古屋や三河、岐阜などは全国でも喫茶店の数の多い地域としても、モーニングの豪華さにおいても有名ですよね…(笑)

愛知県、岐阜県では、飲食店業の内でも「喫茶店」の占める割合がとても高いようです。少し前の総務省統計局発表データによると、全国の飲食店のうちで喫茶店が占める割合の平均は24.3%です。東京都は17.7%、大阪府は36.1%。です。喫茶王国といわれている愛知県は41.5%で、岐阜県は40.4%と突出しています。喫茶店で使う金額も、愛知県は全国平均の約2倍、岐阜県は約2.5倍となっています。

また、人口の割合に対して喫茶店が多い県は、高知、愛知、岐阜、和歌山、大阪で、なぜか高知県が全国一位です。単純に件数が多い県としては、大阪、愛知、東京、兵庫、の順になっています。なんと驚くことに、愛知県の喫茶店の数は東京より多いのですよ。

しかし、喫茶店の経営は実際にはそんなに楽なものではありません。私は以前このブログで、個人経営の喫茶店は斜陽産業の最たる業種と書きましたが、喫茶店の数は、平成4年から26年間の調べだけでも、チェーン店などを除いた個人経営の喫茶店は60%も減少しているのです。

個人の喫茶店経営は苦境時代なのです。

いかがですか?

個人経営の特徴ある喫茶店の減少により、日本全国、チェーン店とコンビニとスーパーが中心にあって、どこの街の風景も景色も同じようになってきたように思いますよね。
私の地域でもたまに個人経営の喫茶店が出来ますが、定年退職された方が自宅の一部を改築して趣味程度に開業される方がほとんどです。

技術も特徴も無いそういった喫茶店は、数年もすると大半の店は閉店してしまいます。
なぜなら、実際に開業してみると、喫茶店は拘束時間が長く毎日長時間こまめに働かなければならないので大変です。

定年を迎えてからするので年々体力も衰えますので、また、ほとんどの方が趣味で始められるので、「お客があまり来なくてもいい!」と思って始められるのですが、実際に少数の来客では労力に対しての見返りが少なく、経費や光熱費などが負担になり、数年もして仕事に慣れ飽きてくるとだんだん気力がなくなり、閉店という方が多いのです。

では喫茶店を駐車場も含めた土地から確保して「生業」として開店しようとすると、これはかなりの金額になりますので、数十年継続して繁盛させなくてはなりませんので大変ですし、先が読めませんので開店に踏み切るにはかなりの資金と勇気がいります。

こうしてよくよく考えてみると、個人喫茶店が減少の一途をたどるのは悲しいかな仕方のない事かもしれません。

私の珈琲教室の生徒さんには「喫茶店を始めたい」と通ってくる方が多くいらっしゃいます。そして、毎年、2〜3人の方が喫茶店もしくは珈琲店を始められます。始められる方は開店前に何年も教室に通われ技術をしっかり修得しますので、どの店も地域で愛されている店ばかりです。

私は、3月の名古屋中日文化センターの珈琲教室の後に、豊田市で1月にオープンした「COFFEE 喜多町喜多琉」さんと安城市で10年くらい営業している「自家焙煎珈琲と手作りケーキの店Cobaco ne cobaco」さんを訪問してきました。

COFFEE 喜多町喜多琉

「COFFEE 喜多町喜多琉」(〒471-0027豊田市喜多町4-35)さんは、今年の1月8日に豊田市の駅前に國井さんご夫婦が新たに建てられオープンした珈琲店です。

國井さんご夫婦は瑞浪教室に数年前から通っていて(開店後も受講しています)、モカコーヒーのとても好きな方で、技術もさることながら人間性がとても素晴らしく、私自身とても楽しみにしているお店です。

平日は奥様の智子さんと奥様のお母様が中心で営業していて、旦那さんは会社の休みの土日だけ手伝っています。大通りから一本入ったところにありますが、かえってそれがくつろぎの空間を醸し出しています。

國井さんは始めるに当たり、「豊田でコーヒーの好きな方を一人でも増やしたい!特に原種であるモカの良さを知っていただけるように頑張りたい!」って言われました。

秘伝の味「五平餅」

珈琲数種類と手作りのクッキーやケーキなどもありますが、去年放映されたNHKの朝ドラ「半分青い」でブレイクしたあの地方に昔から根付いている「五平餅」も提供していました。

五平餅はお母様が担当されていて手作りで焼いています。お母様は岐阜県境の小原町のお住まいですので、伝統の五平餅の技を幼少のころより身に付けていたのでしょう!珈琲店に五平餅?と思いますが、伝統的な手作りの味わいは、誰にでもできるというものではありません。

ここでしか味わえないオリジナリティー満載のオンリーワン商品ですので素晴らしいと思いました。

美人親子!・・お母様(左)と國井智子さん

そして、お母様の店における役どころもちゃんとご用意している娘さんの気遣いにとても感動いたしました。

場所的にもスペース的にもとても良い店で、これからじっくりと豊田の方々に認められ、この街にはなくてはならない珈琲店となってくれると確信しています。一生懸命応援していきたいと思います。

COFFEE 喜多町喜多琉 店内
Cobaco ne cobaco(コバコ・ネ・コバコ) 店内

その後、安城市で10年以上営業されている、自家焙煎珈琲と手作りケーキの店「Cobaco ne cobaco(コバコ・ネ・コバコ)」(〒446-0054 愛知県安城市二本木町西切替111−3)さんに寄りました。

深田智子さんと娘さん二人の計三人で営んでいて、3年前に、それまで営業していたテナント店から移転して郊外の自分の住まいの隣に新築移転されました。

深田智子さんは、中日文化センター栄の珈琲教室に5年以上通っていただいている(今も継続されて通っています)方で、技術も知識もレベルが高く、珈琲にかける情熱も人間性も素晴らしい女性です。「COFFEE 喜多町喜多琉」の國井さんもそうですが、店にかける情熱は強いのですが、人に対して優しく接して心温まるようなお人柄なのです。

「店創りは人創り。味創りは人創り」と申します。

思いが強くなければ店はできませんが、自分の都合や主義主張が強すぎても良い店にはなりませんし、長く可愛がられる店にはなりません。

私のところにはいろいろな方がお店の開店についてご相談に来ますが、店を開店して長く運営していくには、経済的、経営的、体力的な事も勿論大切ですが、お話していてその人の人柄が一番大切な要素のように思います。

自家焙煎珈琲と手作りケーキの店「Cobaco ne cobaco」さんは、長女の方が珈琲の焙煎を担当して、次女の方がケーキ創りを担当しています。

娘さんは二人とも素敵でおきれいな方ですし、お母さんの深田さんもお若く(笑)おきれいなので美人三姉妹?って感じで、家族の力が一つになって素晴らしい店となっていますので皆さんに愛されているお店なのだと容易に想像できました。

美人三姉妹!? 妹さん(左)、お母さん(深田智子)、お姉さん(右)

焙煎機は古い富士ローヤルの1kg直火式でかなり使い込んでいました。しかし、各所に欠陥があり、排気も不十分でしたので、こんな焙煎機で10年近くも焙煎して珈琲を提供していたこと自体が信じられませんでした。

この焙煎機は自分で買ったものではなく、最初に始めた居抜きのテナント店の時に、前の方が置いていったそうなのです。

はじめはどうやって使うかもわからず、お知り合いの珈琲店の方に焙煎法や操作方法だけを一通り習い、その後、独学で、いいのか悪いのか、快調なのか不良なのかもわからずに、日々試行錯誤しながら良い味を追求し今の焙煎技術を修得したそうです。よって、焙煎機が欠点だらけという事も本人は全く分かっていませんでした。

「この焙煎機では良い豆はできないだろうな」と思いながら焙煎した煎り豆を拝見しましたら・・・、なんとびっくり!

私の想像を覆す素晴らしい煎り上がりなのです。早速淹れて飲んでみましたが、やはりとても良い香味でした。

この焙煎機でこんなに素晴らしい豆が煎りあがるとはとても信じられませんでした。知らないという事は恐ろしいですね。

確かに、知らない、疑わないゆえに、与えられたもので人間の知恵を駆使し工夫するという努力が生まれるのですが、それにしても、そのセンスと努力にはびっくりしたと同時にとても感激いたしました。

味的には何も直すところはありませんが、焙煎機自体が回転不足や排気不足など多くの欠陥を抱えていますので、このまま使い続けるには無理が生じますので焙煎機メーカーにオーバーホールに出すことを提案いたしました。

オーバーホールして欠点を直すと今までの焙煎法が変わってしましますが、これは避けて通れない事なのでやらないわけにはまいりません。彼女のセンスと努力があれば、焙煎機を改良し新しくなってもすぐに修正できると思います。

富士ローヤル1kg直火式焙煎機

店は田園風景に囲まれた素晴らしいシュチュエーションで、駐車場も広く、場所的にも絶好の立地条件ですので、ずっと地元の人に愛され続け、安城にはなくてはならない素晴らしいお店になると思います。

帰宅後、あの焙煎機と焙煎豆を思い出して、自身の今を深く考えました。

「38年焙煎していろいろな経験や技術の向上を積み重ねてきたが、最近は豆と焙煎機に向かう真剣さ緊張感を置き去りにしてはいないか?」と。

良い焙煎機さえあれば良い味の煎り豆が出来るわけではないのだと、あらためて勉強させられました。

今は第2次自家焙煎ブームといわれ、どこの街にも2,3店舗の自家焙煎珈琲店があります。焙煎機も百花繚乱で、日本の優秀な焙煎機メ―カーも増え、世界のありとあらゆる優秀なメーカーの焙煎機も簡単に購入できます。

今の時代、簡単、便利、効率的な焙煎機が多く、どの焙煎機を使っても、煎るという事に於いてはそこそこの焙煎豆が煎り上がりますので、昔のように欠点だらけの焙煎機を駆使して、持てるすべての英知を使い、悩みながら経験を積み重ねて、上手く焙煎できる技術を何十年もかけて必死に修得しなくても良くなりました。

楽といえば楽になったと申しましょうか?簡単といえば簡単になったと申しましょうか?

デジタルの時代になり、人知を使わなくても電子機器やコンピューターのデータ通りに焙煎すればそこそこの味が出来ますし、レギュラーコーヒーが何処でも手軽に飲めるようになってきた軽い時代ですので、楽しむ側もそれで満足してしまう方が多くなったように思います。

最近の焙煎機の進化はAI(電子頭脳)化に向かっているように思います。そのうち人間が焙煎しなくてもAI焙煎となる日が来るのもそう遠くはないように思いますが・・・何か寂しい気がするのは私だけでしょうか?

焙煎を38年も模索してきた(今なお継続中)私に言わせていただけるなら、珈琲屋はクリカエシの毎日ですが、同じことの繰り返しのようで毎日違います。大安や仏滅があるようにその日その日、その年その年日によって全く違うのです。

でもその毎日の変化が楽しいのです。毎日良い日ばかりでしたらいかがですか?特に「焙煎」は、毎日の気候や、豆の状態で一年中変化しますので同じにはなりません。豆によって狙った味によって一釜一釜のドラマがありそれと正対して楽しむのです。それが楽しいのです!

焙煎はデータだけで同じ焙煎はできませんし、もしできたとしてもそれこそ同じ毎日の繰り返しですので楽しくないような気がいたします。焙煎はまさに焙煎士と豆との「一期一会」の世界なのです。

「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」

鰻の世界でもこのような言い伝えがあるように、焼きだけは一生かかっても完成しないのです。

また、「簡単に手に入れたものはすぐに消える」と、この「達人に訊け!」サイトでもおなじみの、真宗大谷派僧侶・川村妙慶さんから教わりました。

そんな考えは古い!といわれれば何も申し上げることはありませんが、私は、簡単、便利、早い、安いという時代の流れの中で機械化されたコンビニコーヒーやファーストフード店、チェーン店などの画一的な味わいなどにいつまでも逆らって人間味のある珈琲創りをしようと思っています。

今の焙煎機とは対極にあるアナログの焙煎機を駆使し、必死に良い珈琲豆の焙煎を模索している若者に接し、初心に帰る事の大切さを考えさせられた珈琲日和でした。

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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