星座誕生物語 2019/4/5

星座は今から5000年ほど前、古代バビロニアの羊飼いが創ったと言われている。

●星座はいつどこでだれが創った?

 私たちが何気なく見上げている星座、いったいいつ誰がつくったのだろう。星座のルーツを求め時代をさかのぼってゆくと、紀元前3000年、メソポタミア文明にたどり着く。

 当時チグリス・ユーフラテス川のほとりで、羊飼いをしていた古代バビロニアのカルディア人たちは、毎晩星を羊にたとえて、数を数えて遊んでいた。ところが星空の中を一定の道筋をたどりながら、変な動きをする5つの明るい星を発見したからたいへん。「これはきっと国や人の運命を操っている星に違いないなんと恐ろしいことだ」。
 そこで、これらの星の位置を表すために、その道筋に沿って12の住所をつくり、おひつじ・おうし・ふたご・かに・しし・おとめ・てんびん・さそり・いて・やぎ・みずがめ・うおと呼ぶことにした。こうして星占いが始まったのである。やがてこの住所は、空全体に広がり、星座という名の住所録が完成したということらしい。

最初に星座を体系的にまとめたのは、アレクサンドリアの自然哲学者プトレマイオス。

●天文学事典「アルマゲスト」に基本48星座デビュー
 羊飼いが作った星座は、フェニキア人によってギリシャへと伝えられ、ギリシャの詩人たちは、自身の作品に星座を取り入れたり、昔からギリシャに伝わっていた伝説や昔話と星座を融合させて、星座のギリシャ神話を創った。

 西暦200年エジプトのアレキサンドリアの天文学者プトレマイオスが書いた世界初の天文学の事典「アルマゲスト」に48星座が紹介され、星座が天文学の世界にも登場した。このプトレマイオスの48星座が、現在の星座の基になっている。

バイエルとラカイユが南半球の星空に新設した星座。

●西暦1600年代星座新設ブーム到来
 1600年代に入り大航海時代が始まると、それまで星座がなかった南半球の星空に、ドイツのバイエルやフランスのラカイユが新しい星座を作った。ところが、これがきっかけとなって、新しい星座を作ることが大流行し、星座の数はあっという間に100を超えてしまった。

 なかには自分の愛する猫を記念して「ねこ座」を作ったり、仕えている王様に献上するために星座を作ったり、オリオン座を「ナポレオン座」にしようとする動きもあった。まさに星座乱立時代だったのである。

1928年国際天文学連合は、星座の数を88とし、東西南北の線で星座境界線をひいた

★1928年、星座は88に決定
 この状況は1928年の国際天文学連合総会で終止符を打たれることになった。無秩序に増えてしまった星座をどうするか議論されたのである。そのとき星座など「廃止してしまおう」という過激な案も出されたという逸話もあるが、「5000年も脈々と受け継がれてきた星座をなくすわけにはいかない」という意見が大勢を占めたのだろう。星座は抹殺を免れた。そして星座を星座の形に沿って東西南北の線で区切る境界線を引いて区画整理をして、プライベートな星座は削除し88星座にすることで収拾することになった。その結果、新設された星座のうち27星座が消えたのである。

4月中旬の20時ごろの星空

●星座は夜空の文化遺産
 春の星空は、天の川から離れてしまっているために星数が少ないうえ、春霞のためどことなく寂しげだが、それでも見えている1等星を数えてみると10個もある。このうち春の星座で輝くのは、しし座のレグルス、うしかい座のアルクトウルス、おとめ座のスピカの3個だ。

 北の空には冬眠から覚めたおおぐま座が昇り、頭上にはしし座が駆け上り、南の空には、春を楽しむようにおとめ座が優雅な姿を見せる。

 5000年前に羊飼いが見上げたのと同じ星空を、おじいさんも私たちも眺め、子供や孫も見上げるのだろうなんて思うと、夜空の文化遺産とも言うべき星座たちを、いつまでも残してゆきたいと、あらためて思ってしまう。

PR情報

記事一覧

10月11日は「十三夜」のお月見

9月13日は、中秋の名月だったが、お月見はされただろうか?名古屋では、夕方は曇りがちで名月は見えなかったが、暗くなったころには雲間からちらほら顔を出して…

2019/10/10

9月6日の夜空は月と木星・土星がランデブー

8月12日には月と土星の大接近が見られたが、9月上旬にも月と木星・土星のランデブーが見られる。

2019/9/6

8月7日は旧暦の七夕 もう一つの織姫星と彦星

7月7日は七夕。天の川の西と東に離れ離れになった織姫星と彦星が、1年に1回だけ会うことができる大切な日。ところが伝説では、雨が降ると天の川の水かさが増し…

2019/8/7

今日7月5日は一年で最も「太陽が小さい」日

近年は、その年に最も大きく目る満月をスーパームーンと言って盛り上がっているが、太陽も大きく見えたり小さく見えたりする。その理由はもちろん地球が太陽の…

2019/7/5

「かみのけ座」って知ってる?

かみのけ座という星座を知っているだろうか?さわやかな風に乗って春の星座たちが勢ぞろいする6月初旬。おおぐま、しし、おとめ、うしかいといった、そうそう…

2019/6/4

今日5月20日 深夜の南の空で月と惑星が集合

5月下旬の午前2時の南の空には、もうさそり座が南中を過ぎ、いて座が南中しようとしている。そんな夏の星座たちの中で真っ先に目に入るのは、6月11日に衝を迎え…

2019/5/20

星座誕生物語

●星座はいつどこでだれが創った? 私たちが何気なく見上げている星座、いったいいつ誰がつくったのだろう。星座のルーツを求め時代をさかのぼってゆくと、紀元…

2019/4/5

黄道十二宮かに座が見ごろ

●黄道十二宮4番目のかに座 冬の厳しい寒さがゆるみ、春の気配を予感する3月の夜半前、春の星座のトップバッター「かに座」が天頂近くに南中する。4等以下の暗い…

2019/3/13

2月20日の満月はスーパームーン

ふだん何気なく見上げている月、日によって見かけの大きさが変化していることに気が付く人はほとんどいないだろう。ところが実際は、大きさが結構変化している…

2019/2/19

相変わらず明け方の南東の空が賑やか

新年早々の1月2日の夜明け東の空で、月と金星が月の見かけの大きさより狭い0.4度の間隔で並んだ。そしてその下にも木星が、さらに朝焼けで赤く染まった低空では…

2019/1/31

プロフィール

19

達人に質問をする

天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

関連リンク

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(11:00発表)
名古屋
曇りのち雨
21 ℃/--
東京
曇り
20 ℃/--
大阪
曇り
22 ℃/--
  • 東名, 名神, 東名阪道, 名古屋高速で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集